しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「死は見る者の目に宿る」 ディヴィッド・エリス

2009年11月12日 | 読書
「死は見る者の目に宿る」 ディヴィッド・エリス    ランダムハウス講談社
  Eye of the Beholder   七搦理美子・訳

1989年6月。
マンズベリー大学の講堂で、6名の女性の遺体を発見される。
その中には地元の富豪で政治にも影響力を持つ影の実力者、ハーランド・ベントリーの娘キャシーも含まれていた。
キャシーはマンズベリー大生だった。
被害者の1人でキャシーの友人エリー・ダンカンをストーカーしていた、マンズベリー大学の元用務員テリー・バーコスが逮捕される。
テリーは、ある歌詞どおりの方法で女性を殺害していた。
多数の証拠と自白から、検事補ポール・ライリーは有罪判決を勝ち取り、テリーは死刑になる。
それから16年後、2005年6月。テリーの手口と似た殺人が起こる。
その時、ベントリーの顧問弁護士になっていたライリーの元に新たな事件を予告する手紙が届いていた。



重苦しい雰囲気がずっと続くもサスペンス。
残忍な犯行ということもあるが、始めから何となく釈然としない空気が感じられた。
1989年と2005年が交互に書かれ、現代進行形で過去もことも明らかになって行く。
2005年は犯行を重ねる男の思考も書かれている。
過去の単純な犯行を思われたものが、謎めいて来る。
少しずつ真相が明らかになって行く過程がじわじわと怖い。
得体の知れない、というか何を考えているのか分からない人物たちの腹の探りあい。

心神喪失や妄想型統合失調症の人間の犯罪ということも考えさせられる内容になっている。
マクダーモット刑事の家庭の話も、かなり衝撃がある。
しかし、こういう状況はそこまで行かなくても、現実でも多々ありそうで心が痛い。

ラストも驚きがあるが、真相が語られる少し前に気が付いた。
気が付いて驚き、反感を覚えた。
この事件はお金や権力があるから成り立ったもの。
考え方が、普通の人より自己中心。
その為に犠牲になった人が多過ぎる。
あまり気持ちのいい物語ではないが、そんなことで余計後味が悪い。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「凍れる森」 C.J.ボッ... | トップ | 「瞬間の顔 VOL.3」 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事