しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「蝦蟇倉市事件2」  秋月涼介・他 

2011年04月14日 | 読書
「蝦蟇倉市事件2」  秋月涼介・他    東京創元社

海と山に囲まれた、風光明媚な街、蝦蟇倉。
この街ではなぜか年間平均十五件もの不可能犯罪が起こるという。
マンション、レストラン、港に神社、美術館。
卒業間近の大学生、春休みを迎えた高校生、会食中の社会人、休日を過ごす教師。
舞台も人も選ばずに、事件はいつでも起こっている―。
様々な不可思議に包まれた街・蝦蟇倉へようこそ!
今注目の作家たちが、全員で作り上げた架空の街を舞台に描く、超豪華競作アンソロジー第二弾。
               <裏カバーより>


「さくら炎上」 北山猛邦
高校生活で孤独な私は、正反対な陽子と友達になる。
春休みに、その陽子が同級生の男子と待ち合わせているのを見て、思わず後をつける。

特に蝦蟇倉市でなくてもいいような。
しかし、陽子の行いが、誰にも気が付かれないとは。
警察は情けない。  


「毒入りローストビーフ事件」 桜坂洋
レストラン「骨皮山」で、大学時代の同級生4人が食事をする。
突然、ひとりが死亡する。
3人は事故ではないことを暗黙で納得し、理論的に犯人捜しを始める。

幾つも理論は出るが、結局殺される人にはそれなりの理由がある。


「密室の本――真知博士 五十番目の事件」  村崎友
密室で殺された男は押し入れの中にいた。
その押し入れには、襖が歪んで開かないほどの本が押し込まれていた筈なのに。

押し入れの本の移動先は、天井裏かと思った。
天井板までたどり着くのが大変か。
しかし、このトリックは実際にやって見て欲しい。うまくいくのか疑問。


「観客席からの眺め」  越谷オサム
高校の吹奏楽部の顧問、勝田が殺される。
部員の今村と智代は、その事件を語りながら、心の中ではまったく違う思いがあった。

殺人の起こった背景は少々ドギツイ。
しかし、2人の心の中は、そのことと反して、優しさがある。
悲しさがある物語。


「消えた左腕事件」  秋月涼介
蝦蟇骨の森の美術館で起きた殺人事件。
犯人は、被害者の顔をつぶし、左腕を持ち去る。
側の絵画の人物も同じ様に、顔をつぶし、左腕が切り取られていた。
防犯カメラに映る容疑者が4人。
真知博士を囲み、推理が始まる。
  
なるほどと思える推理。
なるほどと思えない、殺し屋の登場。


「ナイフを失われた思い出の中に」  米澤穂信 
16歳の少年が3歳の女の子を刺し殺す事件が起きる。
その2人は姪と叔父の関係だった。
ルポライターの太刀洗万智は、少年の書いた手記を手に入れ、事件の真相を知る。

蝦蟇倉市を駆け回り、解決する物語。
少年の複雑な思いがよく分かる。
謎解きも面白かった。



蝦蟇倉市事件の2冊目。
きっと書かれたのは、1とそんなに変わらない時期なのだろう。
リンクするところはあまりない。
登場人物として、真知博士は活躍しているが。
少しずつ話題に出てくる、「十王還命会」をメインに書く人がいない。
かなり怪しい黒の組織のようなのに。
こんなのが街にあったら、やはり嫌だろうな。
そして、蝦蟇倉市はナイフなどの刃物で刺されて死ぬ人が多いことが分かった。
何故だろう。
2作続いて、背中にナイフが突き刺さった殺人。
いっそのこと、蝦蟇倉市の不可能犯罪はすべてナイフを使ってにしたら、なんて。
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