しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「まひるの月を追いかけて」 恩田陸 

2007年09月27日 | 読書
「旅に出る時は、ひどく憂鬱になる」そんな静はまだ2度しか会ったことのない、君原優佳利と奈良に旅をすることになる。
優佳利は静の異母兄弟、渡部研吾の恋人だった。
研吾はフリーのライターで、奈良の取材中に連絡が取れなくなったのだという。
研吾が取材で通った道筋をたどり、研吾を探すのが旅の目的だが、優佳利と会った静はなんとなく優佳利の印象に昔会った時と違う感じを覚える。



まひるの月は微かにぼんやりしている、でも透明感があって綺麗。
そんなちょっと曖昧なものを追いかけているという、タイトルとおりの物語なのかも知れない。
読み出して直ぐに物語に引き込まれる。が、その後が結構のんびり進んでいく。
のんびりではなく、曖昧に、か。
奈良をゆっくり歩いている感覚そのままの雰囲気で、もっと色々な展開があるのかと思ったら、意外と平坦だった。
結局は男女の物語。
形の違う三角関係がいくつか登場する恋愛物語。
恋愛小説はあまり自分の好みではないので、ふーん、で終わってしまう。
でも、読み進めている時はもっと何かがあるのではないかと面白かったけれど、読後に感じるものは、ふーん、そうか、になってしまう。
舞台の奈良は京都とは違う古都。
そんな奈良の雰囲気がとてもよく現されている物語。
最近奈良に行ったのと、法隆寺の方の印象も記憶にわりとはっきり残っているので、舞台の感じは想像がついて、その点では物語をより楽しめた。

途中に挿話されている話、「月のうさぎ」と「ある母親の物語(アンデルセン)」を知っていたが、どちらもやりきれない、残酷な物語。
その他の話も、何となくやりきれない。
「愛のサーカス」とか。「黄金のりんご」とか。
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