しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「エージェント6」  トム・ロブ・スミス 

2016年12月27日 | 読書
「エージェント6」  トム・ロブ・スミス    新潮文庫   上・下巻
 AGENT6        田口俊樹・訳

運命の出会いから15年。
レオの妻ライーサは教育界で名を成し、養女のゾーヤとエレナを含むソ連の友好使節団を率いて一路ニューヨークへと向かう。
同行を許されなかったレオの懸念をよそに、国連本部で催された米ソの少年少女によるコンサートは大成功。
だが、一行が会場を出た刹那に惨劇は起きた――。
両大国の思惑に翻弄されながら、真実を求めるレオの旅が始まる。
驚愕の完結編。  
    <文庫本上巻裏カバーより>

1980年、ニューヨーク行きの野望を断たれたレオは、ソ連軍の侵攻したカブールで、設立間もないアフガニスタン秘密警察の教官という職に甘んじている。
アヘンに溺れる無為な日々がつづくが、訓練生ナラを伴ったある捜査で彼女とともにムジャヒディン・ゲリラに囚われてしまう。
ここにいたって、レオは捨て身の賭けに出た。
惜しみない愛を貫く男は何を奪われ、何を与えられるのか?-。
     <文庫本上巻裏カバーより>









この前の2つの物語もそうだったが、同じ時代とは思えない社会。
日本がいかに暮らし易いというか、安全な国なのかを思う。
戦争の時代の軍国主義の時は、流石にそうではなかったが。
ソ連も、アメリカも怖い国。
そして他国に支配される怖さ。
それが日々の生活なら、それが普通と思ってしまうのか。
平和ボケしていると言われても、日本に生まれて良かった。
この物語はレオとライーサの出会いから始まる。
だからこそ、その後のレオがライーサを思う気持ちは痛すぎるほど伝わる。
ライーサとの出会いで、レオは変わったのだ。
それまでは機械的に職務に忠実なだけの人間だったのだろう。
その比較がアフガニスタン時代のナラとの捜査に表れている。
人を愛する事と知れば、他人にも優しくなれる。
そんな単純なことではないかも知れないが。
この物語の人たちは愛の為に、人生が変わって行く。
エレナが行動したもの、愛があったから。
ジェシー・オースティンとアンナの夫婦も。
ジェシーが理想に思った社会は、どこにも存在していない。それも悲しい。

そしてレオにはどこまでも過酷な運命が続く。
読んでいて、段々暗くなってしまった。
最後に見えたレオの明るい光も、レオには明るいかも知れないが、本当は全然明るくない。
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