しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「真昼の誘拐」 森村誠一 

2024年04月07日 | 読書
「真昼の誘拐」 森村誠一  光文社 カッパ・ノベルズ  

東都大学教授の宮本洋一郎が、愛人の八木橋紀子との密会を終え帰宅すると、妻の邦子が首をネクタイで絞められ死んでいた。
そして、3歳の息子、操が行方不明になっていた。
動揺した宮本は紀子に電話をして知らせる。
紀子は清純派の人気女優で、宮本とは売れる前に知り合っていた。
駆けつけた紀子に宮本は警察に届ける事を拒否し、誘拐犯からの連絡を待つと言う。
その間、邦子の遺体は冷蔵庫に隠す。
しかしその夜、犯人から連絡がなく、2人は自分たちから訴え掛ける事にする。
新聞広告と、翌朝紀子が出演するテレビのモーニングショーで呼びかける。
紀子は番組の宣伝にカムフラージュさせ犯人に、「自由ヶ丘メゾン518号室、717の945×に連絡してください」と。
テレビでその住所を聞いて驚いた男がいた。
作家の牧野啓介だった。






殺人、誘拐と深刻な内容なのに、コメディかと思える物語。
帰宅して妻が死んでいるのに、冷蔵庫に入れるだろうか。
連絡のない犯人に呼びかけと言うのも、考えられない。
そして、新聞やテレビで自宅の情報を公開してしまう。
しかし、この本が出版されたのは、1973年。
携帯電話は勿論、インターネットもない時代。
住所や電話番号を言った所で、反応があるのはその住所のごく近くだけなのだろう。
こんな時代も生きてきたのに、随分昔に感じてしまう。
宮本がジタバタしながら物語は進んで行き、結構面白い。
しかし、証言するはずの人物が次々と死亡してしまうので、事実は推測だけになる。
まあ、実際にはそんなこともあるだろうけれど、物語なので、読者には分かるように書いて欲しい気がする。
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