しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「わが愛しき娘たちよ」  コニー・ウィリス

2010年10月29日 | 読書
「わが愛しき娘たちよ」  コニー・ウィリス     ハヤカワ文庫SF
  FIRE WATCH        大森望・他・訳

12編からなる短編集。

「見張り」Fire Watch  高林慧子・訳
1940年、戦時下のセント・ポール大聖堂にタイムトラベルしたバーソロミュー。
大聖堂を守ろうとするが、ナチスのスパイが潜入しているとの噂もある。

「埋葬式」Service for the Burial of the Dead  高林慧子・訳
川で溺れて死んだエリオットの葬式。
それはエリオットには婚約者がいるのに、アンと待ち合わせをしたからだった。
アンは、ひっそりと葬式に参加する。
そんなアンの前にエリオット現われる。アンは思わずエリオットを隠す。

「失われ、見出されたもの」 Lost and Found  高林慧子・訳
子どもが違うことに使われていた秘宝を発見する。

「わが愛しき娘たちよ」 All My Darling Daughters  大森望・訳
地球から離れたコロニーにある女学校。
タヴィは科学の力で誕生した子なので、両親はいない。
夏休みが終わり、ボーイフレンドとのSEXを心待ちにしていたタヴィ。
なんと男の子はみんなペットとして、テッセルと言う小さな茶色い動物を持っていた。
タヴィのボーイフレンド、ブラウンは、そのテッセルを“ドーター・アン”と呼び、夢中になりタヴィの相手をしてくれない。

「花嫁の父」 The Father of the Bride  小野田和子・訳
眠り姫の父親の話。

「クリアリー家からの手紙」 A Letter from the Clearys  大森望・訳
届いては欲しくない手紙を郵便局から持って来てしまった子ども。
この世界で生き残っているのは、自分達だけという証明。

「遠路はるばる」 And Come from Miles Around 小野田和子・訳
日食を見に、アリゾナに集まる人々。
その日が曇りになりそうで、迷う人達に中で、メグは大丈夫を太鼓判を押す。
それはあることを見たから。
当日、空は晴れ、綺麗なコロナが見えた。

「鏡の中のシドン」 The Sidon in the Mirror 酒井昭伸・訳
シドンとは水素井戸のこと。
爆発を起こしやすいので、火気厳禁の惑星に降り立った、人を写し取るミラー。
ピアノを弾きのミラーは〈ジュエルの館〉で、パールに出会う。

「デイジー、日だまりの中で」 Daisy, in the Sun  大森望・訳
太陽に異変が起ていた。
デイジーは大人になり自分の身体が変化するのを拒絶していた。

「通販クローン」 Mail-Order Clone  大森望・訳
通信販売でクローンが買えると申し込む。
やって来てのは、外見は似ていないクローンだった。
その後、その会社は詐欺だったことが分かる。
経営者は行方不明。
もしかしたら、誰かにクローンになりすましているのかも。

「サマリア人」 Samaritan 小野田和子・訳
猿に洗礼を施すのはどうなのか。

「月がとっても青いから」 Blued Moon 酒井昭伸・訳
言語の生成、言葉をつくるとは。
きちんと話すこととは。




この短編集の中で、「わが愛しき娘たちよ」が1番の話題作。
表現の仕方が過激なのと、内容も確かに過激。
人間は、支配したいという気持ちがあるのを、露骨に見せられたような。
男は支配することが1番の楽しみだと。
全員がそうではないと思うが、突きつけられると嫌悪を感じる。
しかし、世の中、痴漢があるのはそんな気持ちがあるからなのかも知れない。

「見張り」はダンワージィ教授やキヴリンも登場するタイムトラベルもの。
変えられない結果を知って、その場にいることの辛さ。
破壊される運命のものを見て、永遠などないと思う。
しかし、その時にそこにあったもの、居た人達を心に刻むことによって永遠は存在する。
先日、聞いたような言葉。
歴史はその場で終ってしまうものではなく、繋がって永遠になる。
そう考えると、やはり歴史を知ることは大切なのだと思う。

読み終わってから、あれはどういう意味だろうと考えてしまうものがある。
解釈の仕方は、人それぞれでいいのだろうか。
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