しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「邪悪な少女たち」  アレックス・マーウッド 

2017年05月17日 | 読書
「邪悪な少女たち」  アレックス・マーウッド   ハヤカワ・ミステリ文庫    
 The Wicked Girls       長島水際・訳

11歳の2人の少女、裕福な実業家の娘アナベル(ベル)・オールデイカーと貧困家庭のジェイド・ウォーカー。
2人は4歳の幼女クロエを殺したとして有罪になり、別々の矯正施設へ送られる。
25年後、ベルはアンバー・ゴードンとなり遊園地の清掃部の責任者として、ジェイドはカースティ・リンゼイとなりフリーのジャーナリストとして暮らしていた。
2人は保護観察下におかれ、2度と会ってはいけない事になっていた。
その夏、遊園地で女性の死体が発見される。
第一発見者がアンバーだった。
ジェイドは取材に訪れアンバーと出会い、お互いが相手を認識する。
11歳の2人と4歳の少女に起こった事も同時に書かれて行く。








邪悪なのは誰だろう。
どうして4歳のクロエが死ぬ事になってしまったのか。
その出来事が起こったのは2人がクロエと出会ってからたった3時間のこと。
現在進行形の事件よりも、こちらの方が気掛かり。
真相が分かれば、けっして邪悪な殺人とは言えない。
あっさりと子どもを見捨てる親は、邪悪か。
しかし、クロエの死に責任がない訳ではなく、2人はそれをずっと心に留めて生きている。
何故25年後に出会った時に声を掛けてしまったのか。
それはその事を話せる相手が他に居なかったから。
誰かに話したいと言う思いは分かる。
それで何かが解決する訳ではないのは分かっていても。
隠していた過去が分かった時の周りの反応は過剰とは言えない物だろう。
法的には罪を償った事になるが、だから何もなかったことにはならない。
ただ、正義を振りかざす群集心理の怖さも。
せめて関わらないと言う、それだけでもいいだろうに。
真実は分からないけれど、人を殺したと言われている人と普通に付き合えるかと問われたら。
難しい問題。


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