「春夏秋冬そして春」

2003年韓国・ドイツ
原題：봄 여름 가을 겨울 그리고 봄
英題：Spring, Summer, Fall, Winter... and Spring

先日コロナで亡くなった韓国のキム・ギドク監督への追悼鑑賞。

湖上に浮かぶ小さな寺を舞台に四季を通して人間の一生を描く。
人間の業と欲、そして輪廻、なんとなく仏教的な匂いがする。

最初はギドク監督とは思えない静かで叙情的だと思って観てたのだが
観終わって、、やっぱりギドクだなと。。
しかも後半にはご本人が役者として熱演。

誰かがこの作品をギドク最高傑作という人がいたが、、
突っ込みどころはあるにしても、確かにそう思える彼ならではの作品。
つーか、これが最後の作品だったら良かったのに、、って思えるほどに達観してる。
個人的には全ての作品を観たわけじゃないからまだ何とも言えないけどね。

どちらにせよ、もう新作を観れないか、と思うとギドクの死はホント残念無念。
素晴らしい作品の数々、、ありがとう。R.I,P

湖上に浮かぶ寺の四季の映像、、それだけでも見る価値のある1本。
とにかく美しい。そして人間は哀しい。

https://www.youtube.com/watch?v=_DWtZ7RYzPU

「魚と寝る女」

2000年韓国
原題：섬

キム・ギドク監督の2000年作。
池に浮かぶいくつかの小屋付きのいかだ。
そこを管理する女性とそこに逃げ込んだ殺人犯の奇妙なお話。

原題を和訳すると「島」
後に制作の「春夏秋冬そして春」に繋がるシティエーション。
これまたギドクならではシュール。

DVD特別映像インタビューでのギドク談。
低予算でもアイデアと情熱で良い映画は撮れる！って。
まさしくそれを実行して結果を出したって事だ。
この頃はまだ荒削りな感もあるが、、やっぱりすげーなギドク。

例によって痛たたたっなエグイシーンも有るのでこの手に慣れてない方は覚悟して観てね。

https://www.youtube.com/watch?v=yE--7OsA_V4

「凪待ち」

2019年日本

ギャンブル好きなダメ男が恋人の故郷に移住してちゃんとやり直そうと、、、
ところが、、、あああ、、、な話。

主演は香取慎吾。
ナイスジョブ！ナイスろくでなしぶり！
この作品での彼はSMAPどころかジャニーズの香りがしない新人役者なイメージ。
信吾ちゃんホント辞めて正解だったね。
今後とも役者としてのキャリアをしっかり積んでください。
今後が愉しみです。

それにしても、ギャンブル依存症って怖いよなあ。
その辺がしっかり描かれてて良かった。
それにしても白石和彌監督のヤクザチンピラものはホントお見事よね。

https://www.youtube.com/watch?v=cFhJwWEgzoE

「ザ・レイプ」

1982年日本

落合恵子原作の小説の映画化。
強姦の被害にあった女性が、裁判での弁護人などから受けるセカンドレイプや
恋人との微妙な関係の変化を交えながら、自己を見つめ直す社会派人間ドラマ。

当時、評価が高かったこの作品をやっと鑑賞。
物語的には想像通りの定番、、なのだが、、、
いやあ、もう主演の田中裕子の女優魂に敬服。
セリフのみならず表情や仕草で伝える職人芸。
演出、撮影、編集、、みなさんナイスジョブ。
映画をじっくり丁寧に創った古き良き時代の証。

時代は移り変わっても強姦事件は永久に後を絶たない。
個人的にもレイプというものは憎き外道の犯罪だと思うし、ホント許せない。
犯罪者にはもっともっと厳しい罰を与えてほしいものです。
ああ、腹立たしい。。。

永遠の色男の津川雅彦も鬼籍に入り
風間杜夫もイイおっさんになって
田中裕子も白髪のボケ老人を演ずる現代。
時代を感じる1本。

https://www.youtube.com/watch?v=JaVjcaHUmw0
予告編ではなくダイジェスト風。

「あなたはまだ帰ってこない」

2017年フランス・ベルギー・スイス
原題：La douleur

第二次世界大戦時のドイツに占拠されたパリ。
レジスタントとしてゲシュタポに逮捕された夫を待ち続ける妻の苦悩。

自分を俯瞰で観ている演出。
映像のピント合わせで心象を表現。
諸々含めてヨーロッパな空気満載。

ヒロインが特別美人でスタイルが良いわけでもないところがこれまたリアル。
戦争シーンは皆無でも戦時下の重苦しい世相は見事に表現された1本。

https://www.youtube.com/watch?v=ghob8EX8CLw