中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

夏のマーシャル諸島調査の思い出

2018-10-10 18:12:48 | 研究報告

 昨日、来日されているアメリカ人ご夫婦に京都で1年半ぶりに会った。研究の話もできてそれはそれとして充実した時間だったけど、、、「どうしたんですか?お肌が・・・」と言われてしまう。実は今年夏のマーシャル諸島調査で、シャワーを浴びるのがつらいほど真っ赤に日焼けしてしまった。1ヵ月以上も経つので、自分ではだいぶ元通りになったなあ、と思っていたのだが、ただ単にこの色に自分で慣れてしまっただけのようだった。。。

 この夏日焼けした理由というのは、マーシャル諸島国内の飛行機移動で起こったロストバゲージだ。

 マーシャル諸島国内には、エアーマーシャルという国営の航空会社があり、今は確か18人乗りが一機ある。この一機の飛行機が、今日は、このあたりのいくつかの環礁(島)を結ぶルート、明日は違う方面のいくつかの環礁(島)を結ぶルート、というように、日替わりでマーシャル諸島の島々をあちこち飛ぶ。

私が乗ったのは、首都のマジュロ空港からクワジェリン環礁クワジェリン島空港を経て、クワジェリン環礁エレナク島空港に向かうルート。途中のクワジェリン島空港で半数が降り、わたしはエレナク島に向かった。エレナク島について、出迎えの懐かしい人々に会いおしゃべりをし、私の荷物を確認すると、、、ない!前に飛行機に乗ったとき、水と食料がなくおなかがすいて死にそうになったことがあり、手荷物は、財布、パソコン、カメラ、水、食料だけにした。そのほか、ケーブル、電池、充電器、服、洗面道具、漁労調査用道具、調査用書類など、、、すべてスーツケースに入れてしまっていた。もちろん、日焼け止めクリームも。

 荷物がないことをキャプテンに伝えると、「あ、黄色いスーツケースは、クワジェリンにおろしたかしら~?」「次にここに来る時に、持ってくるね~。」とふざけたことを言うので、「5日しか滞在しないし、調査道具が入っているので、いまからクワジェリン空港に行き、荷物を持って引き返してきてっ」、と言ったが、「じゃあ、1週間後に来るわ~」と飛び立っていった。。。滑走路にうずくまり、3分間動けなかった。

 事情を村の人に説明すると、「そうなんだよね。いつもなんだから。今回もあなたと、もう二つ荷物がなくなってるのよ」と。「まあまあ、まずはご飯でも食べろ」と言うことになる。国に一つしかない飛行機で、しかも18人乗りで、どうしてロストバゲージが三つも起こるんでしょうか???これは特殊な技能に違いない。

 8時にマジュロを出て、エレナクに着いたのが10時。引き潮だったので、ボートがサンゴを傷つけてしまうので、2時の満ち潮まで待ち、船でメジャト島に渡る。もちろん、迎えに来てくれている人は、夜通しご飯を炊いたりケーキを作ったりして準備をし、朝4時頃の満ち潮のタイミングで船にのって20分のエレナク島にやってきて10時まで待機する。

 カメラは、村の人のスマホを借りてなんとか記録できそうということがわかる。そして服もマーシャル人は「衣装持ち」だから大丈夫!という。Tシャツ、スカート、下着、すべて借り物で過ごすことになった。こんなんだったら、次回から服は次からはもってこなくてもいいかもしれない。ただし、日焼け止めクリームは売ってないし、島では誰も持っていない。

1週間後に無事に荷物が来る。漁労調査ができるのは次の日しかなかった。土砂降りの雨の中決行し、ますます、喘息が悪化する。しかも雨だから気分が乗らないのか、魚がほとんど釣れない。

私は、体調が絶不調のなか、翌日は再び嵐のなかをロイ・ナムール軍事基地に向かう。ロイ・ナムール軍事空港からクワジェリン空港までは、米軍が運営する無料の通勤用小型ジェット機があり、外国人もパスポートさえあれば自由に乗ることができる。

当初は5日しか滞在しない予定だったが、滞在を伸ばしたので、首都まで帰ることができず、クワジェリン空港から国際線に乗りグアムまで帰るしかない。それを国際線のユナイテッドに伝えると、160ドルの変更手数料を取られてしまう。エアーマーシャルに請求しようとしたが、村の人が無駄だというので、あきらめる。こんなこともあるよね、と言い聞かせるしかなかった。

あと数か月もすれば私の日焼けも落ち着くだろう。それといっしょに、くやしかった&面白かった調査の思い出も薄れていくのかな。

 

 


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