中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

水草たい肥配布見学

2019-03-20 15:17:21 | びわ湖

3月16日(土)は、高島で水草堆肥の無料配布に立ち会わせていただいた。水草堆肥を受け取りに来た方にインタビューを行うのが私の仕事だ。配布は午前10時から午後2時までの予定だったので、10時5分に近江今津に到着する新快速で到着。と、ここまではよかったが、案内に記載されている場所「JR近江今津駅南」に行っても、そこには自転車置き場しかない。。。その南は道路で、その南は、JRの線路になっている。。。JRの職員に確認しても分からず、県庁に電話しても土曜日のため応答がない。うろうろと探しているうちに、上司から連絡があり、HPに場所の記載があることが判明!11時、現場に到着することができた!ところが、到着した時は、水草配布を希望する長い車の待ち行列がやっとさばけたところで、絶好のインタビューのタイミングを逃してしまう。「JR近江今津駅南」と書いてあった時に、正確な配布場所を事前に確認しなかった私は、フィールドワーカーとしてどうよ、と言われそうだ。とほほ。

朝は晴れていたのだが、12時前後は猛烈な雨が降る。全身ずぶぬれになり、手はかじかんでしまい、思うようにメモがとれなかった。ただ、意外に多くの方がインタビューに答えて下さり、中には水草堆肥をどのように使うのかを見せてくださることを約束してくださった方もいて、今後につながりそうでほっと胸をなでおろす。

育てる野菜はそれぞれで、水草たい肥を加えることで、サトイモやジャガイモはよく育つけれども、サトイモは逆にツルばかり伸びてしまい、イモができなくなるらしい。たい肥をどんどんやればいいというものでもないらしく、興味深い。ニンニクやショウガは虫がつかないので初心者には育てやすいそうだ。そういえば、実家の庭にもショウガやニンニクがあった気がする。こうして育てた野菜は、子供、親戚、近所、友人などに分配されているようだ。

(JR湖西線からの眺め)

ところで、こうしてびわ湖の湖岸を通ることが何度かあるが、びわ湖の眺めは瀬戸内海に似ていると思った。瀬戸内海育ちの私から見ると琵琶湖はまさに「海」だ。このことを財団の方にすると、「饗庭(あいば)」という地名がびわ湖西岸にあり、ここは瀬戸内海から移り住んだ人たちの集落だと言われているということだった。しかも饗庭には、厳島神社に似た小さな神社(白鬚神社)があり、ちょっとした観光スポットになっているらしい。「饗庭が瀬戸内海に似ていたから、瀬戸内海から来た人たちはここに住んだのかもしれませんね」という、淡海環境保全財団の方の言葉も頷ける。

(瀬戸内海 山口県周防大島対岸からの眺め)

いままで、びわ湖での私の仕事ははっきりしていなかったが、ようやく研究テーマも明確になった。これからは、人類学的フィールドワークの手法を使って、水草たい肥の研究プロジェクト自体を研究テーマとすることになる。自らを研究プロジェクトチームの一員として位置づけ、プロジェクトの変化だけではなく調査者としての自らの変化をも記録していく、そういう研究プロジェクトの民族誌を書きたい。私の研究分野の文化人類学は、状況の把握、異なる立場の理解、ひいては問題となっていることそのものの理解は得意だが、さて、その問題の解決は?となると不得意である。その先の問題解決は様々な学問分野の研究者、行政や市民などの様々な主体と協力していく必要がある。そのための場づくりに、これから私も参加したいと思っている。