中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

海外の学会で初めてパネルオーガナイザーを務めました。

2018-11-17 09:57:47 | 研究報告

11月8日、フィリピンのUGATが主催する文化人類学の学会で、パネルを組んで発表しました。タイトルはずばり、The Everyday Life of Victims in Radiation Effgects

私たちのパネルが終ると、矢のような感想と質問が来た。まずは感想。「知らなかった」「こんなにひどい出来事なのに、(発表者が)核のない世界が来ると思って、希望を捨てずにやっているのはすごい」「このことはもっと広めるべきだ」などなど。そして思いもよらなかった質問が。「核実験は人体実験なのではないか?」私「それはわからない。ドキュメントが残ってないから。でも私は放射能の人体実験をするために、わざと核実験を行ったとは考えたくない。アメリカの心を信じたい」と言った。でも、実際の私の発言で質問者の気持ちに火をつけてしまってさらなる質問が来た。「実際には、米国は放射能に人体がどう反応したかを調べているではないか。それは人体実験ではないのか?」私は「私はあなたの意見に賛成する。私も、それは人体実験だと思っている。人びとを被ばくさせるためにわざと核実験を行ったとは考えていないが、被ばくしたという状況を使ってデータを取ったのは確かだ。だから、核実験実施後の米国の対応については人体実験であると私も考えている。」とこんなことを言った。こんなにすらすら人前で英語が出てくるとは私も想像していなかった(笑)

でも日本語で答えられたら、二つの質問に対してもっと詳しく、そして違うことも言っていた。「第二次世界大戦下の米国で、核兵器開発を行ったいわゆる「マンハッタン計画」でも、日本への原爆投下に反対してマンハッタン計画から抜けた科学者もいた。また、戦後になっても、水爆開発に反対する科学者もいた。核実験の被害にあったコミュニティを担当した人のなかには、コミュニティの人たちの意見をもっと聞くように、レポートした人もいた。多くの「良心」が、当時の政治の中でつぶされていったと、私は考えている。核実験により被害が出る可能性に配慮していた「ちいさな良心」も捻りつぶされていったと想像できる。小さな良心をつぶさない社会の構築が必要だ」とこんなことを言いたかった。

もう一つの質問に対しては「米国は積極的に人体実験の状況を作ったとは言えない。日本が731部隊を使って中国で行ったようなあからさまな人体実験はしていない。しかし、被ばくした状況をうまく利用して、放射能の人体への影響を調べやすいような状況を整えて、実際にデータを利用したことは確かである。その意味において、少なくとも消極的な人体実験だと思う」・・・英語がもっとできたら、こう言いたかった。ああ、英語がネックだなあ。

実はこうしてブログを書いている今、私がしゃべった英語がまったく思い出せない(笑)そういえば、先日パリの空港で搭乗券の印字が消えて再発行が必要になったのだけど、その時たらいまわしにされて、怒りのツボが押されてしまい、すらすらと見違えるような英語が出てきた(笑)

当初はどうなることかと思ったが、初めての海外学会発表でのパネルオーガナイザー役も終了し、気をよくした私たちは、夜、ベトナム料理、フォーを食べに行く。注文したのは、Pork buto buto reg 日本でも何度かフォーを食べに行ったが、フィリピンのフォー屋さん、死ぬほどおいしかった。そのあと飲み。で、11時頃帰る。

今回のメンバーは文学の小杉世さん、アーティストの新井卓さん、社会学の根本雅也さん、そして文化人類学の私、と多様な専門分野(家)の集まり。新井さんは、世界の複数の美術館に作品が買い取られてもいるすごい方です。みなさん学会参加してもらってありがとう!私たちのパネルに興味を持ってもらうこともできました。思いがけないつながりがフィリピンでできました。こんな私でよかったら、またオーガナイズします。

下はおまけの写真、パラワン島の街中にて。暮らしのバイタリティーを感じた出張であった。


先週、第4回ウェビナー実施しました。「生物多様性分野における研究と実践の隔たりを考える」

2018-11-05 15:02:29 | 研究報告

2018年10月29日、12時15分から13時まで、京王線南大沢にある、首都大学東京の大澤剛士さんの研究室にお邪魔して、ウェビナー。ウェビナーとは、インターネットで中継するセミナーのことで、私も地球研に入って初めて知りました。それなのに、いきなり私が司会進行役です。「人生の恥は掻き捨て」ということわざもあることですし(笑)、なんでもやってみることにします。

前回のウェビナーでは機械の不調で大失敗し、なにもできずに終わってしまったので、今回は失敗はできないと意気込んで臨みました。雲一つない富士山を見たところまでは順調だったのですが、新幹線を横浜駅で降りなくてはいけないところを、うっかり東京駅まで行ってしまい、その上京王線のダイヤが乱れており、開始20分前に到着。ぎりぎりでした。1時間半前に到着し、南大沢の駅でお茶でもするつもりだったのですが。。。

さて、大澤さんのお話は、データのオープン化です。ウェブ配信しているので、こちらで視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=Pn7DAxgsIYo

大澤さんのご専門は、生態学。生態学を使って社会の問題を解決していく、というスタンスで研究をされています。生態学というのは、動物がなぜそういう行動をするのか、植物がなぜそうなっているのか、を明らかにする学問らしい(たぶん)。ただ、私の質問力が足りなくて、文脈から外れた具体的な質問ばかりしてしまう。オオバンゴンソウがどうの、とか、耕作放棄地がどうの、とか。。。本当は情報のオープン化に関する質問をすべきだったのですが、どうも形のないものを思い浮かべるのが苦手で、これから訓練せねば。

さて、大沢さんの主張は、データは基本オープン。そして相手の立場や状況を考慮して、なにをクローズにしていくか「みんな」で話し合う、というものでした。この「みんな」が難しいところだよなあ、と思いつつ、時間がきてウェビナーは終了しました。

ウェビナーが終わった後は、大学のフレンチレストランでランチ。こんなに洒落たレストランが公立の大学にあるなんて、うらやましい限りです。お食事をされているのは、ほとんど外からのお客さんでほとんどが女性です。大学の敷地は多摩丘陵地を切り開いて作ったらしく、とても気持ちのいい空間が広がっています。(が、写真が横になっています。もともと縦に撮ったのですが、ブログウェブに取り込むと横になってしまいます。どうしたら、縦になるのでしょうか。)

ウェビナーがたいした失敗もなく、思っていた以上にうまく行ったので、食もすすみます!ランチの時にも研究の進めかたについていいアイデアが出て、これから楽しみです。(ランチはピンボケです・・・)

今度から、ブログで事前告知が必要ですね。反省です。