中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

近江八幡市岡山小学校 ゆりかご水田米試食会に参加

2019-11-19 18:50:08 | びわ湖

 

今日は、水草堆肥を用いて米作りをしている浜田さんに誘われて、近江八幡市の岡山小学校での環境教育の授業で、オープンチームサイエンスの取り組みについてお話をした。

まずは、びわ湖事務所の方お二人、そして私。子供たちの前で話すのは初めてだけど、なんだか楽しくお話できたかな、と思う。他の方は専門家なので、スライドも専門的な内容を入れていたが、私は農業政策も農学も全くの素人。だから、スライドも子供向けの言葉で作ってきた。これがよかったようだ。なんと5分のプレゼンが終ると、子どもたちから拍手が!?最後に米作り代表の浜田さんのお話。子供たちからの質問は、魚に集中した。田んぼはさかなのゆりかごっていうけど、他の魚がさかのぼって、フナを食べることはないのか?という鋭い質問が!私も「ないの?」と疑問に思ったが、ニゴロブナなどを食べるブルーギルなどの外来魚は、流れをさかのぼるという習性がないのだそうだ。こうして一つ一つ疑問がわかると、私まで楽しくなる。

そのあと、給食を一緒にいただいた。最後に小学校の給食を食べたのは、40年以上も前なのだ!こんな機会はそうそうあるものではない。普段はご飯やおかずが少し残るそうだが、今日は完食!私も、ご飯を二膳いただいた。

子どもたちの笑顔、好奇心に満ちた顔、キラキラした瞳、、、だけではなく、もちろん眠そうな子も、早くご飯を食べたいよ~という子もいる(笑)。なかでも子供たちにゆりかご水田米を熱く語る濱田さんの嬉しそうなお顔が一番印象的な試食会だった。

 

びわぽいんとテストイベント@まの浜清掃ボランティアに参加

2019-11-19 08:40:39 | びわ湖

日曜日は、NPO琵琶故知新が主催する「びわぽいんとテストイベント@まの浜清掃ボランティア」に参加した。まの浜は、滋賀県大津市のちょうどびわ湖大橋の北、堅田駅の近くにある。このNPOには、地球研のオープンチームサイエンスも関わっている。午前中は浜に打ち上げられた水草の清掃活動。まの浜の宿、きよみ荘のご主人山田さんは夏場は毎日、今の時期は数日に一回、浜に打ち上げられた水草を集めている。今の時期、あまり水草は打ちあがっていないけれど、それでも軽トラにいっぱいになった。

山田さんはもともとは湖水浴客が快適に泳げるようにと浜辺の清掃を始めた。昭和の初期まで、水草はたい肥として田畑で用いられており、それを知っていた山田さんは、近所の家庭菜園で使ってもらうようにしたのだ。水草を集めて、畑にもっていくという簡単な作業ではたい肥として使えない。庭木の剪定で出た枝や葉をたい肥に変えて袋詰めにして販売している所はよくあるが、剪定された枝や葉にはごみはまざっていない。でも、水草は水の中にあり、ビニールの破片、釣り糸、釣り針、たばこの吸い殻、農業で使うロープなど、さまざまなものがまざっている。畑にまくにはこれを取り除く必要があるのだ。こういう作業も、参加者は体験できたことはよかったと思う。

1時間半ほどで作業は終了。その後は楽しいバーベキュー。

 

水草は、たい肥として使おうと思うと、二夏掛けて発酵させる必要があるが、その他にもいろいろな使い方がある。乾燥させただけの水草は、畑の畝と畝の歩くところに敷いておくと、靴に泥がつかない。数か月たつと、土と一体化するので、それを畝にすきこんで土づくりができる。そしてなんと、サトイモの乾燥を防ぐために盛り土の代わりとして使ったり、一本ネギなどの白い部分を長くするために、盛り上げたりする土の代わりとしても使う。いま全国で休耕田が増えているが、田んぼを家庭菜園として使うには、土の改良が必要になるが、土づくりにも水草を使うことができるのだ。なんといろいろな用途に使える「水草」。もちろん水草の用途は、もともと知られていたわけではなく、この家庭菜園をされている方一人一人が試行錯誤して考え出されたこと!この水草を、悪臭を放つ厄介ものから、マルチに使える「便利モノ」に使えるように広めていくのも、私たちのプロジェクト「オープンサイエンス」の仕事の一つ。

お土産に、いろいろな野菜をその場で引っこ抜いてくださった。サニーレタス、サトイモ、ネギ、空心菜、おまけとして、イチジク、むかご、カラスウリ。

日曜日は、いろいろな方と出会い、な~んとなくの道筋が見えてきたよい一日だった。地球研に入る時に、2年半でびわ湖の水草のコミュニティを作ってください。2年半は短いですよ、と言われたが、もう1年経ってしまった。あと1年半で、水草問題を解決するためのコミュニティがどこまでできるか。とにかく頑張ろう。

今日は、これから近江八幡の小学校で、水草堆肥を使ったコメ作りをしていらっしゃる方と一緒に、環境教育の出前授業にエキストラ出演します。このまえお土産に、「魚のゆりかご水田米」をいただいたので、お返しの気持ちを込めて、頑張ってきます!

家に帰りさっそくサトイモを調理するが、、、煮過ぎたため、崩れて見るも無残な姿に。。。しょうがないので冷凍してサトイモポタージュを作ることにする。。。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

びわ湖環境ビジネスメッセにいって考えたこと

2019-11-07 10:59:14 | びわ湖

ずいぶん前になるが、、、先月18日びわ湖メッセにいった。かれこれ、何日前だろう???この間、プライベートで忙しく、書こう書こうと思いつつ、途中でブログをほったらかしてしまっていた。昨年は、滋賀県庁、明豊建設、山室木材のブースしか行かなかったのだが、今年は株式会社コクヨ工業滋賀、国土開発、京都信用金庫も行ってみる。

コクヨ工業滋賀は、植物のヨシを使った環境ビジネスを紹介していた。ヨシはもともとは、屋根やよしずに使われているもので、ヨシを扱うヨシ問屋などもあったという。びわ湖周辺では産業として確立しており、かなりの利益を上げていた商売人もいたという。それが戦後になり次第に使われなくなり、びわ湖沿岸のヨシが荒れ果ててしまったという。これを利用し、景観をよみがえらせようというのが、コクヨ工業滋賀の取り組みだ。ヨシを使ったノート、名刺などの紙製品を商品化し、滋賀県にある企業に協力を呼び掛けて結成されたヨシ狩りボランティアを考えた担当者の話を30分以上も伺った。

面白かったのは、当初はヨシを使った環境ビジネスがあまりうまく行かず、会社における自身の立場も難しくなった時期があったという。それでもめげずに仕事を続け、時間はかかったが、現在のようにメディアからも注目される環境ビジネスに成長したという。この方の言葉、「理解のあるトップと情熱のある社員がいないとだめ」この言葉は印象的だった。

国土開発のフジミンは、フルボ菌を使って水草堆肥の発酵を促すもの。担当者の方は生き生きとしており、情熱のある社員がいないとダメ、というコクヨ工業滋賀の担当者の方の言葉通り、情熱のある方だった。

琵琶湖メッセで久しぶりに県庁の方に会う。県庁の方は、一般の家庭で、それぞれ少しずつ畑を持って家で食べる野菜の一部を生産できるようになるといいという。例えば、ロシアのダーチャの縮小版のようなものだろうか。ダーチャとは週末の家(別荘)で、ロシアではそれほどの富裕者層ではなくともかなりの割合で自宅から数十キロという近場にダーチャを持っている。たいていは金曜日の夜に都会の家からダーチャに行き、土日はそこで畑仕事や保存食づくりをして、日曜日の夜に都会の家に帰ってくるのだという。もともとは購入食料だけでは生活が成り立たないため、政府から土地を支給されたものだ。それは現在でも続き、私が調査に訪れた町でも、土曜日にインタビューを申し込んでいたのだが、金曜日にダーチャに行って、土曜日の昼間に帰ってきてインタビューに応じてくれた。写真はもともとダーチャだったところに移り住んだ方の家庭菜園。

いろいろ調べると日本には日本にあった面白い取り組みがあることがわかってきた。大阪府豊中市には、定年退職後の男性を対象とした市民農園があるという。男性は定年後コミュニティに入ることが苦手とされるが、組織の中で生きることを得意としてきた男性は、自分たちで市民農園をうまく運営してしまうのだそうだ。なにより仲間と行う農作業は楽しいし、中性脂肪値は劇的に改善されるし、いいことずくめだそうだ。男性には男性にあったコミュニティへのかかわり方があるのだと思った。市民農園のようなものと水草堆肥、、、つながる方法があるかもしれない。。。半農半Xとまではいかなくとも、食べるものを少しは作ることは、食や農に対する興味が持てるようになるきっかけだと思う。

豊中市の市民農園の取り組みは HPで紹介されています。https://s-sapo.net/archives/697

 


初めて、びわ湖を車で走る!

2019-10-13 13:28:47 | びわ湖

台風の被害がまだまだ出ており、心配です。

 

最近、水草たい肥の調査に着手している。

先週水曜日には、びわ湖バレー、びわ湖内湖、米プラザ、水草たい肥を使った本格的な家庭菜園などを、きよみ荘のご主人と一緒に、見学&インタビューした。

びわ湖水草に関するビデオ作品(というかほとんど記録・・・)を作ろうとo思っているので、今日はその状況確認や家庭菜園インタビューが中心。ただ、お天気が素晴らしくよく、案内してくださったきよみ荘のご主人がタダのびわ湖バレーロープウェー券を持っていたので、これはいかない手はない!と、びわ湖テラスを経て、蓬莱山の頂上まで登る。びわ湖テラスには庭があり、そこは昔はベゴニアの庭だったのだそうだ。それが今では少し違う種類の花も植えてあった。外国人環境客、日本人観光客もわんさか訪れ、なんと冬もスキー目的以外の観光客もいるそうだ。この庭で水草たい肥を使ってもらえると嬉しいのだが。。。

さて、次は、びわ湖内湖と中浜水泳場を見学。堅田から約10キロのびわ湖の北湖にある。内湖は水草ではなくヒシが一面に生い茂っていた。ヒシは食べられるそうだが、トチの実と同じく食べるまでに手間がかかるという。中浜水泳場は、水は透明度が高くきれい。水草はどこにもない!浜辺で会ったのは、全員外国人。オーストラリア人の女性グループ、イギリス人の男女、ドイツ人の男性二人組、ニュージーランド人男性一人。なんとイギリス人の男女は水着を着て泳いでいたし、ドイツ人の男性は全裸であおむけに寝転がって自慢の入れ墨を披露していた。。。印象的だったのは、イギリス人は「どこから来たのか?」という私たちの問いに、「スコットランドから来たのよ」と答えた。またドイツ人の男性二人は、悪いことをしているという意識は多少あるのか、カメラを持った私をちらちら見ていた。はっきり「ここでは服を着ないと、公序良俗罪でしょっ引かれますよ!」、あるいは「見たくないのでやめてください」と言うべきだったか。。。どうせ誰もいないんだから、好きにさせてあげようと思ったり。。。複雑な気分だ。

さて、お昼ご飯を食べて、約束していた家庭菜園に向かう。

この家庭菜園では、稲わら、田んぼのそばに生えた雑草などに加えて、打ち上げられた水草をきよみ荘のご主人が集めたものもたい肥として使っている。思っていたよりも、大きな場所で、もともと田んぼだったところを、数人で借りているという。田んぼだったので、水路がしっかりしていたのが良かったそうだ。水草は、びわ湖に繁茂し、台風などで浜に打ち上げられたもの。水草は空気に触れると腐敗し、悪臭を放つ。だから問題なのだ。これは廃棄処分にされるので、たい肥に使うというのはとてもいいアイデアなのだが、問題は水草が毎年コンスタントに繁茂するわけではないし、水草をたい肥に使うことに科学的効果もわかっていない。江戸時代からたい肥として使っていたので、野菜に悪いわけではないのだろうが。。。

育てているのは、カボチャ、枝豆、オクラ、ナス、ネギ、玉ねぎ、キャベツ、などなど。ただ、もともと田んぼだったのを、野菜用に土を作らないといけないので、またまだ土壌改良中なのだそうだ。

みなさんそれぞれ家庭菜園を始めたのは、数年前。老後の趣味にするには体力が必要だし、試行錯誤も必要なので、「農」を趣味にするなら早めにしないと間に合わないという。実は私もちょっと考えているので、地球研野菜クラブに入ったけど、どうなんだろう。お土産に、カボチャをいただく。一か月くらい置いて、ポタージュにすると最高においしいらしい。あっというまの2時間が過ぎ、夕方になったので、あわてて次の場所に。

最後はびわ湖大橋たもとの米プラザ。ただ、時間が全然なく、宿のご主人は5時までに帰らなくてはいけなかったので、ちょっと見てお土産を買ってさっさと帰る。ここには、水草は大量繁茂しており、しかもだれも処理している形跡はない。ただ、水草か生き物の調査をしている人がいただけだった。。。夏ではないので、それほどの悪臭はないが、決してよい景観とは言えない。ただ、調査が押してしまい、夕方になってしまったので、よい写真も撮れなかった。

この日は、初めての車での移動を伴う調査。初めての方にお会いするのもちょっとテンションが上がるが、車の運転を知らないところでする、というものかなりの緊張が走った。。。実はタクシー代は規定により調査では出ない。以前仕方がないので自腹でタクシー代を支払ったら、アッというまに日当を超えてしまったので、水草関連企業やたい肥利用者についての調査をどうするかが問題だった。なんとか車での調査の初日をクリアし、水草たい肥を使っている方々にもインタビューに行けそうだ。近所のペーパードライバーズコースに行った甲斐がありました。

 

 


水草たい肥配布見学

2019-03-20 15:17:21 | びわ湖

3月16日(土)は、高島で水草堆肥の無料配布に立ち会わせていただいた。水草堆肥を受け取りに来た方にインタビューを行うのが私の仕事だ。配布は午前10時から午後2時までの予定だったので、10時5分に近江今津に到着する新快速で到着。と、ここまではよかったが、案内に記載されている場所「JR近江今津駅南」に行っても、そこには自転車置き場しかない。。。その南は道路で、その南は、JRの線路になっている。。。JRの職員に確認しても分からず、県庁に電話しても土曜日のため応答がない。うろうろと探しているうちに、上司から連絡があり、HPに場所の記載があることが判明!11時、現場に到着することができた!ところが、到着した時は、水草配布を希望する長い車の待ち行列がやっとさばけたところで、絶好のインタビューのタイミングを逃してしまう。「JR近江今津駅南」と書いてあった時に、正確な配布場所を事前に確認しなかった私は、フィールドワーカーとしてどうよ、と言われそうだ。とほほ。

朝は晴れていたのだが、12時前後は猛烈な雨が降る。全身ずぶぬれになり、手はかじかんでしまい、思うようにメモがとれなかった。ただ、意外に多くの方がインタビューに答えて下さり、中には水草堆肥をどのように使うのかを見せてくださることを約束してくださった方もいて、今後につながりそうでほっと胸をなでおろす。

育てる野菜はそれぞれで、水草たい肥を加えることで、サトイモやジャガイモはよく育つけれども、サトイモは逆にツルばかり伸びてしまい、イモができなくなるらしい。たい肥をどんどんやればいいというものでもないらしく、興味深い。ニンニクやショウガは虫がつかないので初心者には育てやすいそうだ。そういえば、実家の庭にもショウガやニンニクがあった気がする。こうして育てた野菜は、子供、親戚、近所、友人などに分配されているようだ。

(JR湖西線からの眺め)

ところで、こうしてびわ湖の湖岸を通ることが何度かあるが、びわ湖の眺めは瀬戸内海に似ていると思った。瀬戸内海育ちの私から見ると琵琶湖はまさに「海」だ。このことを財団の方にすると、「饗庭(あいば)」という地名がびわ湖西岸にあり、ここは瀬戸内海から移り住んだ人たちの集落だと言われているということだった。しかも饗庭には、厳島神社に似た小さな神社(白鬚神社)があり、ちょっとした観光スポットになっているらしい。「饗庭が瀬戸内海に似ていたから、瀬戸内海から来た人たちはここに住んだのかもしれませんね」という、淡海環境保全財団の方の言葉も頷ける。

(瀬戸内海 山口県周防大島対岸からの眺め)

いままで、びわ湖での私の仕事ははっきりしていなかったが、ようやく研究テーマも明確になった。これからは、人類学的フィールドワークの手法を使って、水草たい肥の研究プロジェクト自体を研究テーマとすることになる。自らを研究プロジェクトチームの一員として位置づけ、プロジェクトの変化だけではなく調査者としての自らの変化をも記録していく、そういう研究プロジェクトの民族誌を書きたい。私の研究分野の文化人類学は、状況の把握、異なる立場の理解、ひいては問題となっていることそのものの理解は得意だが、さて、その問題の解決は?となると不得意である。その先の問題解決は様々な学問分野の研究者、行政や市民などの様々な主体と協力していく必要がある。そのための場づくりに、これから私も参加したいと思っている。