中原聖乃の研究ブログ

研究成果や日々の生活の中で考えたことを発信していきます。

ブログ再開

2021-12-04 18:43:44 | 研究報告

長らくブログを書いていなかったので、久々の投稿です。

 2018年に地球研の研究員に着任しましたが、2021年3月に所属プロジェクトが終了し、失職してしまいました。幸いなことに、4月からはプログラムディレクターである杉原薫先生に受け入れていただき、無給の外来研究員として地球研で研究を進めることができました。その後10月からは新しくプログラムディレクターとして着任された松田素二先生のもとで研究員として働いています。

 地球研は、文理融合、異分野研究者との研究、研究者以外の方との協力が推奨されていますが、これがなかなかにむつかしい。地球環境問題の問題を解決するための計画段階から一緒に考えていくというのが、もっとも理想的な形とされています。しかし実際には、地球研の研究者が考える方法では進められなかったり、地域社会からの提案に地球研研究者が応えられなかったりします。ざっくりとした言い方をすれば、専門分野の人材、時間、予算がすべてそろっているわけではないというのが理由になるのでしょう。

 さて、現在は地球研の仕事をしながら、私のライフワークであるマーシャル諸島の核問題に関する研究を進めています。今年は科研による研究「マーシャル諸島アーカイブ」が3年目となり、来年度は4年目の最終年度を迎えます。これはマーシャル諸島の若者自身が被ばく者やその後を生きてきた人に聞き取りをし、その動画や写真などのインタビュー情報をウェブ上で発信していくというものです。共同研究者の渡邉英徳先生、フォトジャーナリストの島田興生さん、株式会社ユーカリア、第五福竜丸展示館の方、ビキニふくしまプロジェクトの方々、関心を寄せてくれている学生さん、マーシャル諸島在住の佐藤美香さん、マーシャル諸島の核問題と温暖化にかかわる二つのNPO、マーシャル諸島短期大学核問題クラブ、など多くの方にかかわっていただいて、助けていただいています。3月に実施したワークショップの動画も完成しました。

https://www.youtube.com/watch?v=aM1M_g8iEJA

 ただ、うまくいっていない部分もあります。私が目の前にあるものに一生懸命になってしまうたちで、ネットでつながることが苦手だということが一つ目。そして、今回も地元の小学校や高校でほそぼそと楽しく、もっと言えばひっそりと実施しようと思っていたのですが、いろいろな方の勧めや紹介で、マーシャル諸島政府と一緒に実施しています。本当にほんとうにありがたいことですが、こういう正式な形で研究を進めたことがないので心理的な負担になっているのが二つ目。

 来年は最終年度。しょうもないぼやきはとりあえず心の中にしまって、論文とは違う形で成果を残すことに精進していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


マーシャル諸島でのデジタルアーカイブワークショップ延期について

2020-03-08 20:37:11 | 研究報告

なんと、2か月ぶりのブログ更新となりました。

マーシャル諸島では水爆実験ブラボーが行われた31日は、核被害者の日(Nuclear Victims Remembrance Day)として休日となっており、政府が毎年式典を行っています。日本でも、8月に広島や長崎でそれぞれの自治体の主催によって原爆投下の式典が行われますが、マーシャル諸島では国の主催で行っています(写真は2004年3月1日の様子)。今年度は、1日ではなく1週間に拡大され、大々的に行われたそうです。実は、今年度から始まった科研Cのプロジェクト「マーシャル諸島デジタルアーカイブプロジェクト」で、この核被害者の日の1週間のプログラムに組み込む形で、二日間の大掛かりなワークショップを行う予定でした。そして「マーシャルと神奈川の未来をつなぐプロジェクト」では、滞在期間中に、横浜にある神奈川学園の生徒の書いたお手紙をマーシャル諸島のコープスクールの生徒に届けてお返事をもらうというお手紙交換を行う予定でした。

ところが、コロナウイルスの日本での流行を受けて、出発の4日にマーシャル諸島政府から延期要請の連絡が入り、今年度の予定はすべて中止となってしまいました。今年末までには必ず実施するとの力強いお言葉をいただきましたが、まだまだ日本や世界での感染拡大は続いており、こればかりはどうなるのか、、、先の見通しは全くつきません。ワークショップはいかなくてはできませんが、お預かりしたお手紙は、先週金曜日に国際宅配便でマーシャル諸島にお送りしました。

科研には、さまざまな方がかかわってくださっています。まずは共同研究者の東京大学の渡邉先生のお二人の院生さんは、デジタルアーカイブを形にするお手伝いをしてくださっています。デジタルアーカイブをワークショップ形式で作っていくにあたって、ビキニふくしまプロジェクトの方々とのコラボで、デジタルアーカイブの枠組みを話し合うことができました。また長年お世話になっているフォトジャーナリストの島田さんが企画したマーシャル諸島スタディーツアーとコラボで、今回のワークショップを一緒にやってくださることになりました。第五福竜丸展示館の方々や学生さんはワークショップのお手伝いをしてくださることになりました。マーシャル諸島の佐藤さんは、日本側とマーシャル諸島政府との橋渡し役を担ってくださいました。そして地球研や、人間文化研究機構の先生方からは、熱意だけはあるけれども、マネジメント力の低い私に多くのアドバイスをくださり、励ましていただきました。オープンチームサイエンスプロジェクトからは、ワークショップの予算が足りないことから、地球研に対して増額予算の請求をしていただきました。こうしてきちんと書き出すこともせず、ただただ、日々の仕事をこなしていたような気がします。改めて書き記してみると、こんなにもたくさんの方にお世話になっていたのだと、、、改めて感謝いたします。

それなのに、こんなことになるなんて、、、いや、こんなときだからこそ、このプロジェクトにかかわってくださっている方々との関係を見直し、グループをきちんと組織化し、マーシャル諸島と密に連絡を取り合い、プログラムをより良いものに仕上げていかなくてはならないのだと思います。そしてなによりも、実は、、、コンピューターとネットが極端に苦手な私は、まずは、デジタルアーカイブ、SNS、アプリ・・・様々なものをきちんと使いこなせるようにならなくてはなりません。(目標が相当低いのですが、、、)

さきほどある方から、お手紙交換プログラムはマーシャル諸島の若者にとってどんな意味があるのか、と聞かれました。とっさには思いつかなかったのですが、よくよく考えてみると、お手紙を一度交換したくらいで、相手のことがよくわかるとか、マーシャルについてもっと知りたくなるとか、自分の書いたお手紙が相手に伝わった実感があった、、、なんてことはほとんどないのだと思います。おそらく、、うまくお手紙が書けなかったとかとか、考えていたお返事と違ったとか、お返事は来たけど意味が分からなかったとか、へんなこと書いてきたとか、さまざまな失望を味わうのだと思います。英語を習い始めたばかりの生徒が、たった一時間の私の話を講堂で聞いて、両国にいきなり素晴らしい対話が生まれることは残念ながらあり得ないのです。(そんなことがおこったら、それは人を陥れる黒魔術に違いありません。)それでも、生徒さんたちには、一回こっきりであきらめるのではなく、間をあけてもいいから頑張って対話を続けてほしいのです。あ~でもない、こ~でもないと考えるその過程こそきっと財産になるのです。たぶん、お手紙をやり取りする意味はそういうところにあるのではないかと思います。

一年間に一度もマーシャル諸島に行かなかったのは、ここ10年では初めてです。マーシャル諸島のみなさん、ちゃんと待っていてくださいね。

 


なんと、堅田のサトイモのうまさよ!

2019-12-06 09:29:55 | 研究報告

2週間ほど前、堅田の家庭菜園を訪問し、お土産にたくさんのお野菜をいただきました。そのサトイモを鳥の手羽先と煮っころがしにしたら、びっくりするくらいのおいしさです。まさに「美味しすぎるサトイモ」です。大量に作って3日間楽しみました。

家庭菜園と言っても、家の庭の一角でちょっとキュウリを植えている、というものではなく、耕作放棄地を借りて、土壌改良を行い、いろいろな野菜を本格的に栽培しています。そして、もちろん、堅田の宿きよみ荘のご主人が集めた打ち上げられた琵琶湖の水草をたい肥に使っているのです。びわ湖の水草がいいのか、耕作者の腕がいいのか、、、きっと両方でしょう!


サイエンスコミュニケーションには「物語」が大切なんだとか。

2019-10-10 21:26:03 | 研究報告

環境トレーサビリティプロジェクトのホームページ作製に関する研究が始まってはや4か月。サイエンスコミュニケーションの本をちょっと読んでいる。ランディ・オルソンという海洋生物学者兼映画監督が書いた本には、科学はストーリーをもって語られるべきと書かれてある。またロバート・クラルウィッチというジャーナリストは、メタファーを使うことが必要と言っているらしい。ストーリーとメタファー!

ウィキを読んでいて、小学校の時の記憶が鮮やかによみがえった。私は理科と理科の先生が大好きだった。

ある日、テストの次の授業で、先生は一問ずつみんなにあてて、解答とその理由を言わせていた。次の問題は、確か沸騰のしくみを説明しなさい、だったような記憶がある。先生「では、次の問題わかった人」私(あ!丸がついてる!)私「は~い!(と手をあげる)」先生「では、中原さん」私(勢いよく立ち上がりながら、自分の解答を見ると、そこにはとんでもない解答が書かれていた。。。。(あ~、下に火が付いたよ~。なんか熱くなってきたね~。熱いよ~。熱いよ~。どうしよう?そうだ、みんなで膨らんで、軽くなってるから、上に昇って行こう~~~!)みたいなことが書いてあったのだ。。。その解答を目で追った私は、(先生、どうしてこの解答が丸なんですか~???みんなの前では読めません~~~~。)と思いつつ、「わかりません。間違えました」と言って座ってしまった。当時の私は、ちゃんとした答えではないけど、一生懸命書いた私を不憫に思って丸をくれたとばかり思っていた。このできごとはずっと気になっていたので、十年ほど前にお聞きしたのだけど、先生は記憶にはなかった。先生!水の分子を主人公にして、沸騰のしくみを物語風に仕立てた私はサイエンスコミュニケーションの素養、ありますか?

GW、中学の同級生と岩国のお城山に登った。お城山は市の植物クラブで先生と一緒によく登った山。ロープウェー駅には、先生の撮影された植物の写真が飾ってあった。天国にいる先生にはもう会うことはできないけれど、ここに一人、先生のミームをしっかりと受け取った人がいます!


環境トレーサビリティホームページ作製

2019-07-24 15:06:53 | 研究報告

先週末、同位体を使った環境トレーサビリティプロジェクトのホームページ作製に関する研究会を開催した。いや、打ち合わせかな?本来、プロジェクトのホームページは、プロジェクトリーダーや担当者がホームページ作成会社と打ち合わせて作るのだが、当初から環境トレーサビリティのホームページは、いろいろな人と対話を重ねて作る方法を用いており、なんと私が、その対話のファシリテートをしていた。

ワークショップ形式でホームページ作製を行うことだけでも新しい試みなのに、今回は、グラフィックレコーディングの手法を取り入れることを提案した。これが結構うまく行き、打ち合わせは楽しいし、思ったよりも早くホームページデザインができそう。

写真はミーティング開始直後と終了後。表情の違いは一目瞭然。