中原聖乃の研究ブログ

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マーシャル諸島という名前

2015-09-02 14:17:47 | マーシャル諸島の紹介

マーシャル諸島という名前はおかしいと思いませんか?どう考えても、現地語じゃない。そう、これは、「マーシャル」というイギリス人の名前です。1778年、マーシャルを船長とするイギリスの囚人護送船がオーストラリアに囚人を降ろしたあと、東インド会社にチャーターされて広東に向う途中で、マーシャル諸島を二度目に「発見」したのでした。一度目の発見は、1526年、スペイン人探検家によるものでしたが、それから1778年の二度目の発見まで、実に250年間というもの、西洋社会から忘れ去られた存在だったのです。

ちなみに、1778年と言えば、アメリカが独立宣言した2年後で、英国人探検家ジェームス・クックがハワイを「発見」した年です。このころの日本は、天明の大飢饉に至った火山の爆発と冷害などの異常気象に苦しんでいた頃だそうです。

さて、もともとは、マーシャル諸島の海域の西半分を「ラリック」、東半分を「ラタック」、北部を海の端という意味の「カピンメト」と呼んでいました。ラリックは現在では、「ラリック列島」などと勝手に「列島」をつけて書かれていますが(私も書いてきました)、ラリックは海も陸も含む広い地域名のように使われてきたのではないかと私は思います。このような現地名は地図上には示されず、「マーシャル諸島」とされたわけです。

そのほか太平洋上には、たくさんの現地語ではない地名があります。ニューギニア島、ブーゲンビル島、イースター島、クリスマス島、ソロモン諸島、ニュージーランド、オーストラリア・・・きりがありません。

例えば、核実験が行われたキリバス共和国のクリスマス島は、ジェームス・クックがクリスマスの日(12月25日)に上陸したためにこう名づけられましたし、森村桂の『天国にいちばん近い島』で有名になったニューカレドニアは、ラテン語で「新スコットランド」という意味です。ほかには・・・ググることでだれでも簡単に調べることができます。

そもそもオセアニアという区分名。これもギリシア語から来ていますが、訳のわからない生き物が住む場所という意味なのだそうです。とっても失礼です!

ハワイはサンドイッチ諸島と命名されましたが、現在どうしてハワイと呼ばれているのでしょうか。現地語を使い続けるのと西洋の地名に変更されるのとの違いは、発見後早い段階で西洋名もつけられないうちから支配されるか、地理上の発見後地図上に記されてしばらくたってから、つまり西洋の名前が西洋社会で知られるようになってから支配されるかの違いのような気もします。

先日、アラスカのマッキンレー山が、先住民族の呼び名「デナリ」に改名されました。マーシャル諸島もいつか改名するでしょうか。「ラリック・タラック・カピンメト共和国」。このほうがKAWAIIくって、いいと思います。ただしマーシャル諸島で改名の動きは全くありません。