日本国家の歩み 


 外史氏曰

   すばらしき若者たち
 
   祖国日本の行く末

  

ものすごい先生たちー28 ( 京坂間の往来-3  ・京街道 )

2008-05-24 02:48:45 | 幕末維新
                   寺田屋浜と 三十石船(旧写真)

吉田松陰、 田中河内介、 真木和泉守

すごい先生たち-28

田中河内介・その27 (寺田屋事件ー16)


外史氏曰

京坂往来ー3

京街道

   京坂を結ぶ陸路は京街道または大坂街道と呼ばれ、大坂城京橋口北の京橋( 八軒家船着場の少し上流、寝屋川に架かる ) を起点として淀川左岸を、守口・枚方・淀・伏見宿( 以上を京街道四宿という ) へと上って行く。 途中、淀城の南で木津川に渡した淀大橋を渡り、淀城北側で宇治川に渡した淀小橋を渡る。( 明治以後に木津川、宇治川の付け替え工事がなされ、それぞれ淀川、桂川との合流点は下流の現在地,八幡付近になり 木津川・宇治川・桂川の三川がここで一つになり、淀川と名を変えて大阪湾へと向かうようになった。)

   淀と伏見間は宇治川右岸を行く。 この淀、伏見間の街道は伏見街道( 淀堤 あるいは山崎街道 ) と呼んでいる。 この淀堤は後、慶応四年正月五日、「 鳥羽・伏見の戦 」の戦場となり、なかでも淀町に近い千両松付近はその最激戦場の一つであった。

   京街道は豊臣秀吉による淀川左岸の文禄堤の構築によって成立した( 淀堤も同じである )。 それ以前、淀川沿いの沼沢地帯は主要道路とはならなかった。 ところが秀吉が天正十一年( 一五八三 ) に大坂城、同十六年淀城、次いで文禄三年( 一五九四 ) に伏見城を築くと、連絡の道路が必要になる。 つまり、今の高速道路である。 そこで、文禄年間いわゆる毛利三家 ( 毛利、小早川、吉川 ) に、この堤防をつくらせた。
   このようにして大坂と伏見とを結ぶ最短路としての京街道が、諸大名を動員した淀川左岸の築堤工事に伴う堤防道として誕生したのである。 これは治水工事と軍用道路を兼ねた土木工事でもあった。

    此の大坂・伏見を結ぶ京街道は、東海道の延長で、いわゆる東海道五十七次の一部である。 五十三宿の大津から逢坂山(おうさかやま) を越えた所の追分( 髭茶屋 ) で京都三条へ行く街道と別れ・伏見・淀・枚方・守口の宿を通り、大坂の京橋に達する街道でもある。 尚、京街道四ヶ宿は、他の東海道には見られない「 片宿 」 という問題が常に生じていた。 これは淀川水運の利用と、西国街道( 淀川右岸 ) の利用により、人馬継立の荷物が片道だけとなり、帰途は空荷になることの問題である。

    【 元和五年( 一六一九 ) に大坂が幕府直轄となり、城代をはじめ大名、旗本が常駐するようになると、京街道は幕府公用の主要道路となって守口・枚方・淀・伏見の四つの宿駅が置かれた。 古来東海道は大津から三条大橋に達する路線であったが、幕府は参勤交代などで江戸と国元を往来する西国大名が、京に入って朝廷と接触するのをきらい、また経済的な地位が高まった大坂を重視し、京街道を東海道として公認したのである。 したがって江戸幕府道中奉行所が作成した『 東海道分間延絵図 』 と『 東海道宿村大概帖 』 は、この道筋を掲載している。】  (大阪の街道 神野清秀著より)

   


外史氏曰

   要するに大坂から京へ上る場合、たとえ志士たちから遅れての出発でも、早駕籠ならば、出発時間によっては船でゆっくり上る志士たちを途中で追い越すことが十分可能である。
   このあたりの事、大事を前にした志士たちにしては少し油断があったのか、それとも別な考えでもあったのかは分らない。

   京都義挙は、志士それぞれが自ら選んだ道である。 その決死の心意気は誰にも劣らぬ程充実している。 しかし、急編成のしかも初めての藩を超えた寄合世帯の義挙団では、全体を束ねる強力なリーダーが最初から居らず、統一的な戦略・統制の面でどうしても弱点が出るのは仕方のないことである。 そう言う意味で戦術に緻密さが欠けていたとしても、義挙の効果の大きさからすれば、許されるかも知れない。

   気分の昂揚とは別に、船の歩みはのろい、春の陽光のもと水面に揺られていると妙に落ち着き、ゆったりとした気分になる。 眠気が襲う、気が緩む、そこはもう天下泰平の世界である。 酒でも飲みたくなる。 これは一世一代の大勝負・維新回天の魁としての志士団が戦場に向かう舞台としては、少々不釣合いではありませんか。 大事の前のゆとりといえばそれまでだが。

   吾が敵は まさに幕閣にあり、敵は藩邸にあり 汝能く備えよ!

   頼山陽先生の「 本能寺 」の詩ではないが、こうとでも言いたくなるよ・・・

               つづく 次回

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