放送作家村上信夫の不思議事件ファイル

Welcome! 放送作家で立教大大学院生の村上信夫のNOTEです。

総額2兆円の給付金論争。

2008年11月16日 08時39分43秒 | Weblog
 おはようございます。
 総額2兆円の給付金について数日、テレビのニュースも新聞も「反対!」との報道が続いている。

 そもそも、この案は、公明党の定額減税から始まり、福田赳夫の退陣を経て混迷している。数ヶ月前は生活支援が目的だった政策が、その後の金融危機を経て、今、求められるのは景気対策。その変化にも関わらず、提案者の公明党が実施に固執しているせいでもあるのだ。
 この混乱、第一は政府与党だが、第二は連立与党の公明党の責任も大きい。先の地域振興券と同じ道であり、それに対する評価の違いともなる。
 当時、地域振興券は、ウィキペディアでも触れているように、与党である自由民主党からも「ばら撒き政策」だと強い批判が挙がったが、公明党の強い要望により導入された。当時、当時の堺屋太一経企庁長官は、「高度に政治問題であり、経済政策とは思っていない」と語ったように、公明党とりこむ政治的思惑の産物だった。また、内閣官房長官であった野中広務は、「地域振興券は公明党を与党に入れるための国会対策費だった」と後に話したともいわれている。

 そして、この政策を実行した内閣は、1月14日、自民党と小沢一郎が代表の自由党の連立による小渕第一次改造内閣が発足し、そのもとで実施された。10月5日にはは公明党がくわわり、自自公連立政権が発足した。
この時、「世界一の借金王」と自ら公言したように公共事業の乱発しのも小渕・小沢政権である。わずか一代で100兆円を超える借金をつくった。経済ブレーンは、リチャード・クー氏で、今の麻生太郎の経済の師匠である。ちなみに亀井静香氏など、小泉政権と袂をわかった人たちもまたクー氏を講師に勉強会をしていた。
 小沢民主党は、給付金を「選挙目当てのばらまき」と批判しているが、過去の反省はどこにあるのだろうか・・・。それは、北朝鮮政策への反省のない、社会民主党や、二代続けて政権放り投げに反省しない自民党も同じなのだが。
 給付金の賛否両論、参考まで引用する。

(参考)松山市議 八木健冶氏のHPから
http://yagi.typepad.jp/413/2008/11/post-d4cb.html

定額減税の実施が、なぜ場当たり的で人気取りなのかについては、投稿者が論及していないのでよくわからないのだが、ただ投稿の論旨から判断すると、国家財政が潤沢ではない時期に実施するのはいかがなものか、だから場当たり的で人気取りということらしい。定額減税は、赤字国債を発行して実施するのではなく、財源もはっきりしている。
 財政が厳しいことだけを理由にして、定額減税のような国民の生活を下支えし、消費を喚起する政策について、場当たり的で人気取りというのであれば、民主党がマニフェストに掲げている、1人月額2万6000円のこども手当、農業の「戸別所得補償制度」、はては、高速道路の全線無料化は、将来への見通しのない人気取りの最たるものではないだろうか。
 もう一点、99年の地域振興券については、、<今回の定額減税は、かつての地域振興券と同じ>と言っている。そこで公明党が提唱した地域振興券について、マスコミは「ばらまき」批判を展開し、「世紀の愚策」とまで言ったことは記憶に新しい。しかし、全国三千百二十万人を対象に総額七千億円が投じられた地域振興券の効果について、当時の経済企画庁は、約九千世帯を対象に実施したアンケート調査を基に、使用額の三二・七%が新たな消費を呼び起こした。これは、GDPの個人消費を○・一%押し上げ、波及効果を含めるとGDPを年率○・一%も押し上げた。そのことからも地域振興券が個人消費を呼び起こすとともに、商店街の再生など地域活性化にも一定の役割を果たしたことは間違いない。
 地域振興券は総額七千億円だったが、今回の定額給付は、国民の全世帯が対象であり、総額は二兆円と、前回の地域振興券と比べても、桁違いに大きい。金額も単純計算で四人家族で六万円超、年度内に実施され、支給は現金かクーポン券にするか、さらに子ども、高齢者加算も検討されているという。キーワードは即効性。GDPの六割が個人消費で占められていることをからも、疲弊しつつある地域の商店街をよみがえらせ、経済に活力を取り戻す起爆剤として期待したい。


(参考)「日本共産党の知りたい聞きたい」2000.1.24http://www.jcp.or.jp/faq_box/001/200124_faq.html

公明党が消費喚起に力があったと宣伝してきた地域振興券(商品券)は、もともと消費刺激・地域振興の効果が疑問視されて「天下の愚策」といわれ、”自民党は、公明党をとりこむ思惑から、公明党の「商品券」構想を受け入れた”と指摘されたものでした。地域振興券は、九八年の臨時国会で七千億円の予算がつけられ、九九年一月から四月にかけ、十五歳以下の子どものいる世帯、老齢福祉年金などを受給する六十五歳以上の高齢者を対象に、一人二万円分が配られました。
 昨年八月、経済企画庁は、地域振興券の消費喚起効果を試算し、「消費の押し上げ額は二千二十五億円程度」で、GDP=国内総生産の個人消費を〇・一%程度押し上げると推定されるとのべました。これは、消費刺激効果が小幅でしかなかったことを政府自身が裏付けるものでした。
 昨年十二月に発表された、経済企画庁の九九年版『経済の回顧と課題』(通称・ミニ経済白書)では、個人消費を〇・一%程度押し上げるという推計も消え、むしろ交付金額の多くが貯蓄に回されたことを強調するものになっています。年金者世帯では「地域振興券で受け取った額の六五%をとりあえずは貯蓄に回し」、子ども世帯も「年収が多いほど貯蓄に回った比率が高いが…年収が四百万円未満の世帯でも、六八%を貯蓄に回し」たとのべています。

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