使い回し１話完結ネタ「女子アナの思い出」

猫熊さんのコメント「これでbachなんか弾いた日にゃ、女の子もイチコロかも～」を受けて、「女の子にバッハを弾いて聞かせると、どうなるか」って実体験ですウ。


ずいぶんと前の話です。
その頃僕は、某都立高校の１年生でした。
黒縁メガネの地味な少年でした。

僕と同じクラスに、Yさんと言う女の子がいました。
明るくて、活発で、勉強が出来て、可愛くて、いつもクラスの中心にいるような、太陽のように眩しい子でした。

Yさんに比べて僕は、地味で、目立たなくて、勉強も運動もダメな、ギター少年でした。
Yさんが太陽なら、僕は便所コオロギか団子虫のような存在です。

ある日の放課後の事です。
その日、教室には、YさんとYさんの友達の女の子と、僕の３人だけが残っていました。
その日僕は、ギターの練習があって、ギターを学校へ持ってきていました。

太陽のようなYさんが、便所こおろぎ的存在の僕に、ありがたくも話しかけてきました。

「ねえ、何かギターの曲を、聞かせて。。。」

ドヒー！！！
太陽様から「ギター聞かせて」ってお願いされちゃったあ～～～！！

うろたえながらも僕は、ケースからギターを取り出しました。
そして、その頃練習していたバッハの曲を、静かに弾き始めました。

弾き始めたのですがア、、、
Yさんはじぇんじぇん聞いていない。。。
友達とお喋りを始めて、コロコロと笑ったりしている。

どーしよう、、、
もうすぐ弾き終わっちゃうヨオ。
まだYさんは、楽しそうにお喋りしています。
う～～～～～みゅううううう。

あららア、弾き終わっちゃった。

Yさんはお喋りに夢中になって、弾き終わった事も気づいていない。
「終わったよ」って声かけるのも変だしなア。
しばらくは、ぼんやりとYさん達のお喋りが終わるのを待っていたけど、いつまで待ってもお喋りは終わらない。

なんとなく、ばつが悪いしねエ。
しょーが無いので、僕はこっそりと、教室を出て、いなくなる事にしました。



ギターをケースに入れて、フタを閉める「パタ」って音にYさんは気づいて、、、
そして明るい声で僕に声をかけてきました。

「今の何て曲？」



僕はそれ以来２０年間、人前でバッハは弾きませんでした。


その後Yさんは、某局のアナウンサーになって、今でも報道番組の司会とかしていたりします。