Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.411:第7回「教員として職場の近くに単身赴任するということ」の巻

2011年06月26日 | ハイブリッド教員のふぁかるてぃ雑記帳
月に一度のお楽しみ。今週はシバタ先生の「ハイブリッド教員のふぁかるて
ぃ雑記帳」をお送りします。今回は単身赴任教員の悲哀とささやかな楽しみ
について語っていただきました。

>>>>以下シバタ先生より>>>
汐留勤務のサラリーマンを辞め、大学教員になって3年余。それは、この北
九州ののどかな町に単身赴任を始めて3年余、ということでもあります。転
勤ではなく「ここにしか事業所のない組織に転職したのですから、再度転職
するまで東京に戻ることはあり得ません。これを自業自得と言います。

住まいは、職場から徒歩10分の住宅街にある教職員住宅。当然家族帯同で来
ると思われていたためか、古いながらも5部屋+庭つきの1戸建で、都内の
狭小住宅に住む身としては腰が抜けるほどの施しです。でも、土地200平方
メートル付きの中古住宅が2千万円で買える土地ですから、当地の住宅事情
としては驚くことはないのでしょうか。

しかし、住み始めてすぐにわかることは、仕事を終え、その暗い家に帰る辛
さです。しかも昭和40年代に分譲された住宅地ですから、住民のほとんどが
70代。夜10時を過ぎるとシンと静まりかえっており、自ずと家への足が重く
なります。しかも、その途上には本屋もファミレスもなく、あるのは1軒の
コンビニと数軒の居酒屋。その中に私の最重要ライフラインであるショット
バー「g」があります。

シックなたたずまいの「g」。元々気の荒い土地柄に加え、元ヤンのマス
ターを慕って地元の元ヤン今ヤンが沢山集まってきます。ヤンキーにもいろ
いろありますが、ストライプスーツにアイパー系というより(最近そんなの
いないか)、レゲエ風が多い感じ。最近最も仲のいいRクンは身体中に彫り
物があって、私が「Rクン、今度、温泉行こうや」と水を向けると、「イヤ、
自分、お絵描きがあって、ダメなんスよ。行っても家族風呂専門ス」みたい
な感じです。そして「でも回転寿司とかハッスルならいくらでもご一緒シマ
ッス」と、大変気持ちのよい24歳です。

そういう土地でそういう店ですから、スタッフとお客さん、そしてお客さん
同士がすぐに仲良くなります。おそらく顧客平均年齢23歳くらい。そんな中
でも私のようなオジサンも分け隔てなく仲間に入れてくれ「来週、店のス
キーツアーっす」「来月BBQっす」とoff-jtまで誘ってくれたりします。

そしてそういう人々は大変長幼の序というのがしっかりしていて、共同経営
のオーナー(こちらもバリバリ元ヤンの30歳)も、私を見つけては若い衆を
かきわけ丁寧な挨拶に来てくれ、こちらをさしずめその筋のオヤブンみたい
な気持ちにさせてくれます。と同時に、彼らにとって私がガッコーのセン
セーであるとかないとかはどうでもよく、私も妙なエセ聖職者ぶることなく、
地を晒せることもありがたい場所である理由の1つです。

先日は我が家にて宴会で、半分は顔も知らない15人(しかも男女同数)が集
まってくれました。いわゆる独居老人慰問です。お酒も進むと罰ゲームみた
いなノリになり、「ああ、我々の学生時代のコンパは歌とイッキと、せいぜ
いポッキー両方から咥えるくらいでオコチャマだったなあ」と悔いにも似た
邂逅が生まれます。

お開きは朝の4時。ふと我に返ると「ところで、あの8人の女子の中に、ウチ
の学生はいなかっただろうな」と冷や汗が出てきます。翌日店に行って、と
りまとめをしてくれたSクンに「ところでさー」と恐る恐る聞くと、「大丈
夫っスよ。その辺わかってますって」。との答え。
嗚呼、元ヤンサイコー、北九州サイコー!

しかし、「g」を出てほろ酔い気分で向かいのコンビニでよからぬ雑誌を立
ち読みしてでもしていようものなら、突然「センセー、こんばんはー」と見
たことあるような、ないような女学生から声をかけられ、ガツンと酔いが冷
めます。「いや、解剖学の参考にならないかな、と、、、」みたいなオヤジ
ネタも傷を広げるだけと諦め、「君たちも大人なんだからこれを食べて口を
固くしなさい」と季節限定のハーゲンダッツで話をつけます。

職住接近も良し悪し。

長年のサラリーマン生活で錆びついた「リミッター」をどこかでONにしてお
かねばならない窮屈さもハイブリッド教員の定めなのでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿