ぷちとまと

FC東京、もう飽きた。

ヴェンダースの眼差し

2006年05月28日 03時03分03秒 | 映画
ヴィム・ヴェンダース監督の『東京画』を観た。

小津安二郎の撮った東京を追い求めてやって来たヴェンダース。
淡々と映し出される80年代前半の東京。
こういう映像作品を観たかった。

パチンコ店の店員や食堂のサンプルの工場の人たちは、この人は有名な映画監督らしいが、一体何が面白くてずっと撮ってるのだろうかと、不可思議に感じたことだろう。

小津作品と関係の深い笠智衆と厚田雄春を訪ねて取材もしているのだが、僕としては、ヴェンダースのクールな視線だけをずっと追っていたかった。(その取材もまた、彼の視線ではあるのだが)

愛や感動、ストーリー性を求めたりする人には、とてもお薦めできない作品。
そして、小津の撮った東京はもう存在しないのだという喪失感をでっち上げるのもまた安易だ。
どこにそんなものが描かれていただろうか。
作品中に存在していたのはヴェンダースの視線だけだ。
それを追体験できる者だけが楽しめる。

東京画 デジタルニューマスター版 TBD-9125
東京画 デジタルニューマスター版 TBD-9125



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