ぷちとまと

FC東京、もう飽きた。

児玉清の行進

2006年09月16日 22時56分32秒 | 雑記
NHK「週刊ブックレビュー」の公開録画があったので、千葉県佐倉に行ってきました。
司会の児玉清を生で見たいがために応募したのですが、京成臼井、駅前ショボすぎ。

この日のゲストは、書評が神田紅(講談師)、永江朗(フリーライター)、鷲田清一(大阪大学副学長)で、特集が小川洋子。特集に備えて火曜の夜から『ミーナの行進』を読み始めましたが、何とか間に合いました。

もうね、やっぱり児玉清は児玉清ですよ!!!
2時間の収録のこなし方が、70歳を過ぎてるとは思えませんでした。

さて、せっかくなので『ミーナの行進』についても書いておきましょう。
谷崎潤一郎賞受賞作ですが、多少プロットが甘いとは感じたものの、クオリティを損ねるほどでもなく、素直な気持ちで読み進められるストーリーだと思います。
親戚の家に1年間住むことになった朋子という、近すぎず、かといって遠くもない存在から見た家族のお話という設定が成功したのでしょうね。この距離感なくして、それぞれの個性はあのようには描かれなかったことでしょう。

また、読者の多くは芦屋の洋館で育つような経験はしていないはずですが、それでも「懐かしい」と思わせるいろいろな仕掛けが施されています。ミュンヘン五輪、少年少女時代に図書館で読んだ本、人によって異なるでしょうが、僕にとっては瓶入りの清涼飲料水でした。

さらに特筆すべきは挿絵の美しさで、いずれ出るであろう文庫本では味わえない素晴らしさです。たまにはハードカバーもいいものです。この挿絵の出来のよさが理由かどうかは分かりませんが、映像化するなら実写よりもアニメにしてほしいなと思っています。

とまあ、これでも全然書き切れてなくて、それほど密度の濃い2時間を過ごすことができました。
それもこれも、すべて児玉清のおかげです。
ありがとう、児玉清!

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