ぷちとまと

FC東京、もう飽きた。

日本のサイドバック

2007年07月29日 03時14分11秒 | 足球
●攻撃性能ゼロのサイドバック

戦犯扱いするつもりはないのですが、アジアカップでの6試合を通じて、他と比較して格段にレベルが劣っていたポジションについて触れておきたいと思います。加地と駒野の両サイドバック。彼らは世界どころかアジアでも全く通用しないことが、この大会で明らかになりました。

彼らの運動量がエンジンの役割を果たしていたことは評価しているのですが、せっかく高い位置まで上がっても、攻撃に貢献したプレーは限りなくゼロに近かったと思います。彼らがたとえば高精度のクロスでも持っていたとしたら、2分1敗に終わった決勝トーナメントのうち、少なくとも1つは勝利できたのではないでしょうか。エンジンだと評価しましたが、非常に燃費が悪いのです。

韓国との3位決定戦では、韓国は彼らを全くケアしていないかのような印象さえ受けました。彼らにボールを持たれても、中央を固めておけば大丈夫だと考えていたのではないでしょうか。


●サイドバック問題の対策を考える

現在サイドバックのレギュラーである加地・駒野の特徴は、簡単にまとめるとこのような感じになるでしょう。
・運動量は豊富
・攻撃力はない
・守備力もあまりない

2つの欠点のうちの1つでも解消してくれるのであれば、今後も起用する価値もあるでしょうが、それほど伸びしろは期待できなさそうですし、少なくともアジア大会で採用した4-4-2システムを継続するのであれば、彼らを使ったところで同じ問題が残るだけです。以下では、「メンバーを変える」と「システムを変える」の2つのアプローチで、サイドバック問題の解決を探ってみようと思います。

□メンバーを変える

実際問題、日本にはいいサイドバックの絶対数が少ないと思います。思い切って、内田と安田を使って育てるのも面白いかもしれません。U-22で反町に預けるよりは、ずっといいでしょう。

本職の選手がいなければ、ポリバレントな選手を使うことを考えるでしょうが、今野を交代で起用したように、当面は現実的な案だと言えるでしょう。この場合は攻撃よりは守備面のメリットが大きくなるでしょうか。

準決勝のサウジ戦で、相手の2トップに対して日本は3バックにしなかったのですが、リスクを冒して攻撃の枚数を増やしたかったのだと、試合後オシムはコメントしています。ですが、今野をサイドバックで使うなり、坪井をセンターバックに入れて阿部をサイドで使ったりすれば、加地や駒野と同程度にボールを運ぶ役割も果たせる上に、3バック気味の4バックという守り方ができたのです。

本題から逸れますが、サウジ戦で3バックにしなかったことに関して批判はあるものの、僕は悪くなかったと思っています。世界を相手に戦うには、日本人選手の個人能力では、どこかでリスクを冒さないと勝てないという考えには共感できるからです。センターバックが阿部でよかったのかというのは、関連しつつも別の問題です。


□システムを変える

システムを変えると言っても、加地と駒野を使うか外すかで、適したシステムは異なってくるでしょうから、簡単な問題ではありませんが、いくつか挙げてみたいと思います。

・サイドを厚くする(4-3-3, 4-2-3-1など)

前線にサイドアタッカーを配置することで、加地と駒野が攻撃参加する回数を減らすという発想によります。ピッチの2/3を運び屋としてボール回しに参加し、ラストの1/3は前の選手に委ねます。

実は、オシムはこのことを考えていたと思います。それが初戦と最終戦の4-5-1ではないでしょうか。問題は、サイドバックと同じかそれ以上にウィングタイプの選手が日本に少ないこと。山岸や水野に太田ではサイドハーフといったところでしょう。バルセロナにおけるロナウジーニョやメッシの例もありますが、ウィングタイプでなくとも突破力やドリブルがある選手はサイドに配置してもいいでしょう。でなければ、1トップが孤立します。

アレックス、佐藤寿人、永井雄一郎、鈴木規郎あたりの選手は、サイドアタッカーとして期待できそうですし、4-2-3-1であれば、サイドアタッカーとしては弱い中村俊輔をトップ下で使える上に、4-3-3では物足りない水野や家長も、サイドの戦力として期待できるかもしれません。

ただし、
・1トップを張れるストライカーが常時確保できるかどうか
・日本の強みである中盤が3枚になる
といった問題があります。

・サイドバックを撤廃する(3-4-3など)

レベルの低いサイドバックなら無理に置かなくてもいいという発想によります。中盤が厚くなる一方で、相手のサイド攻撃に対しての守備が課題となります。前線に関しては、上に書いたような1トップ+サイド攻撃という特徴になります。


攻撃力のないサイドバックの問題について考えてみたら、4-3-3や3-4-3といったシステムが出てきました。これらはオランダの代名詞ともいえる、ボールがよく動くサッカーで頻繁に採用されているシステムです。ただし、優れたメンバーを最大限に活かせるシステムが、そのチームにとって最良のシステムですから、4-4-2だから駄目だという訳ではありません。最適なメンバー・システム・戦術を探っていくのが、これからの課題です。

よくよく考えてみれば、たとえば中村俊輔を活かすためにトップ下を置くシステムを採用するというのは考えられますが、加地と駒野のためにシステムを変える必要など、全くありませんよね。無駄な時間を使ってしまいました(笑)