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ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

「相手を必ず動かす英文メールの書き方」その2

2010年06月30日 | 英文ライティング
先日ご紹介した「相手を必ず動かす英文メールの書き方」(ポール・ビソネット著)の中身を少しご紹介したいと思います。様々な「依頼」の書き方です。

“Please send it by Friday.”という表現は、「礼儀正しい依頼の仕方ではあるけれども、書き手は、相手の立場を自分よりも下に位置づけていることになる」という説明が本の中にありました。では、具体的には、どう書いたら適切なのでしょうか?


1. 非常に丁寧な依頼表現として、相手に「ノー」と断る余地を与える表現があります。「受け入れてもらえるはず」という期待をあまり表に出していない表現です。5つの例文が載っていますが、3つをご紹介します。

Do you think you will be able to send it by Friday? (~できると思いますか?)
Will you be able to send it by Friday? (~できるでしょうか?)
Is it possible for you to send it by Friday? (~するのは可能でしょうか?)


2. 次に、同じように丁寧な表現ではあるけれども、積極的な意思が表れている表現。本には、全部で15の例文が書かれていますが、3つをご紹介します。

I hope you will be able to send it by Friday. (~していただければと思います。)
It would be helpful if you could send it by Friday.(もし~していただけれると助かります。)
We would be grateful if you could send it by Friday.(もし~していただけると、私たちとしてはありがたいです。)


3. また、ソフトでかつポジティブな依頼(相手に「ノー」と断る余地を与えているものの、相手が依頼に応じてくれることを前提としている)の表現としては、21の例文が載っています。そのうちの3つをご紹介します。

We would appreciate it if you could/would send it by Friday. (~していただけると、私たちとしてはありがたいです。)
May I ask that you send it by Friday. (~するようお願いできますでしょうか?)
Will you send it by Friday? (~してくれますか?)


4. さらに、締切日や条件付きの普通の依頼、とは言ってもキツイ依頼表現として、25の例文があります。その中の3つをご紹介します。

Thank you for your prompt attention in sending it by Friday. (~までに迅速に・・・するようご配慮いただければ幸いです。)
Sorry for the rush, but we need you to send it by Friday. (急ぎですみませんが、~までにあなたに・・・してもらう必要があるのです。)
May we remind you that you promised to send it by Friday? (~までに・・・するとあなたにお約束いただいたことを、再確認させてください。)


5. そして、指示としては丁寧な表現ではあるけれども、相手に「ノー」と断る余地を与えていない表現が13例載っています。その内の3例。

Would you send it by Friday? (~してもらえますか?)
Please send it by Friday. (どうぞ~してください。)
We would like to thank you in advance for sending it by Friday. (~していただけることに、前もってお礼を申し上げます。)


6. そして、相手に「ノー」と断る余地を全く認めていない、直接的な命令表現として、21の文例が載っています。その中の3つをご紹介します。

We need you to send it immediately. (直ちに、あなたに~してもらう必要があります。)
We expect you to send it by Friday. (あなたには~していただけると思っています。)
We require you to send it by Friday. (~することをあなたに要求します。)


上記をご覧になっていかがでしょうか?日本の学校教育では、最後の5.と6.の例文などを安易に教えているような気がします。あなたの英文を読んだ相手は、どう思うでしょうか。怖いですね。まず、日本語を読めば、書き手が、どの程度、相手との上下バランスを考えているのかわかると思います。考え方は、英語も同じなのですね。

ビジネスを英語で行う場合、高度なビジネス英語の勉強より、この本一冊お読みになることから始めた方がよい気がいたします。この手の本は、今までなかったのではないでしょうか。自分の立場が相手と比べて上なのか、下なのかの状況によって使い分けるように説明がなされています。英語のネイティブスピーカーであるからこそ書けた本、と感じました。


ユラーナ

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「相手を必ず動かす英文メールの書き方」

2010年06月26日 | 英文ライティング
ポール・ビソネット著の「相手を必ず動かす英文メールの書き方」という本を読みました。




やさしい英文を使っていますが、ビジネスを成功させるには、「相手とのパワーバランスが成功の鍵」とあります。

「パワーバランスとは?」という部分を書き出してみます。

「それぞれの戦略を使うときには、自分と相手の人間関係におけるパワーバランスを考える必要がある。自分自身の位置づけと、相手が持つ力を考慮しなければならないわけだ。たとえば、”Please send it by Friday.”(どうぞ金曜日までにそれを送ってください)は、礼儀正しい依頼の仕方ではあるけれども、書き手は、相手の立場を自分よりも下に位置づけていることになる。なぜなら、指示に従うのは相手のほうだからだ。相手によっては、こうした位置づけを快く思わない場合もあるだろう。(たとえそれが事実でも。)」

「英文メールを書く際には、まず相手にこうした位置づけをあたえていいのかどうか、相手の気難しさの程度を判断しなければならない(それがまた礼儀正しさやメールの丁寧度につながる。)」

「どんな状況でも、自分がどんな立場で書くべきかは推測できるはずだ。たとえば、押しの強い上司の役割なのか(”Send it by Friday.”)、一般的な上司の役割なのか (“Please send it by Friday.”)、非常に腰の弱い上司の役割なのか(”I wonder if it would be possible for you to send it by Friday.”)、自分で想像がつくだろう」


今までの学校教育では、Pleaseがつけば丁寧な表現と習った方が多いのではないでしょうか。しかし、英語のネイティブスピーカーには、「失礼だな」と思われて、ビジネスに失敗している例も多いのかな、とこの本を読みながら思いました。

日本語でも、目下の人間から単に「金曜日までに送ってください」と書かかれば、むっとする気がします。「大変お手数をおかけして恐縮ですが、金曜日までにお送りいただければ幸いです」と書かれればどうでしょう。(「今時、そんな日本語書かないよ」、と言われそうですが。)

この本では、様々な依頼の表現を載せています。ソフトな表現からキツイ表現まで、100の実戦用フレーズが満載です。英語でビジネスをされていらっしゃる方は、一読されることをお勧めします。


ユラーナ
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「英語で話す『日本の心』」

2010年04月01日 | 英文ライティング
「英語で話す『日本の心』」和英辞典では引けないキーワード197」という本を読んでいます。読むというより、「英文日本大事典」なので、ときどき手に取って、眺めているという感じです。





まえがきには、次のようなことが書かれています。
「故E.O.ライシャワー元駐日米国大使をチェアマンとする外国人参与会が項目選定にあたって、とりわけ強く主張したことの一つが、日本的な社会構造、人間関係、慣習、心理構造を解説する項目を立てることでした。その結果『あきらめ』、『遠慮』、『頑張る』、『腹』、『顔』、『生きがい』等々の日本固有の言葉や日本語的な使われ方が、日本人の思想や行動を理解するうえで必須であるとして項目になりました」

この本には、「侘」「武士道」「孝」「タテ社会」「神」「悟り」といった日本語の説明と、対訳の英語が載っています。英語の勉強をするというより、日本語の説明を読んで「なるほど、そういう語源なのか、そういう意味なのか」と感心しています。しかし、ここに載っているキーワードは、今の日本では、ほとんど廃れつつある言葉ばかりかもしれません。

ちなみに、「縄張り」の説明は、次のとおりです。
「藩、領土、勢力範囲を意味する比喩的表現。縄を境界線に張って神の神聖な地を線引きする民俗習慣からきたもの。鎌倉時代以降、軍陣の設営地や城の敷地などを意味した。(中略)「縄張り」の概念は、企業や官庁でも重要である」

以前勤めていた会社では、赴任してきたドイツ人上司が、一所懸命日本語の勉強をしていました。普段の会話は英語で行っていましたが、日本語に少し慣れてきたかな、と思ったところで、上司の出がけに、私は日本語で「気をつけて、行っていらっしゃいませ」と言ってみました。

すると、「ちょっと待て。その『気をつけて』とは、どういう意味か?」と英語で訊かれました。「Take careです」と答えたら、「それはわかっている。『気をつける』というのは、神道でいう『気』を身にまとうことか?」とさらに訊かれ、困ってしまいました。そんなこと考えたこともありませんでしたし。

残念ながら、この本にも「気」について、そこまでの解説はありませんが、「日本の心」を英語で話せるようになるには、まず、日本語と日本文化と歴史を知ることが必要だと痛感させられます。


ユラーナ

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Appreciateの用法

2010年03月07日 | 英文ライティング
「ビジネス英語の真髄」という本を読みました。著者は、林行雄さん。出版社は、開拓社。



目から鱗のことがたくさん書いてあります。文法といえば、中学、高校までですべて習得したはず・・でも、ビジネス英語の文法って習う機会はなかったですね、私は。この本は、ビジネス英語を書く際に大切な文法について、丁寧に解説してくれています。
一例を挙げますと、I appreciate your reply.とI would appreciate your reply.は、どう違うのか、が説明されています。前者の場合は、すでに返事が手元に来ていて、それに対してお礼を述べていることになります。つまり、「お返事どうもありがとうございます」ですね。それに対して、後者は、依頼の文章であり、「お返事いただければ幸いです」という意味になると。

Cambridge Advanced Learner's Dictionaryで、"would appreciate"を引くと、"used when you are politely requesting something" という意味が載っていました。つまり、「何かを丁寧に依頼するときに使う」ということですね。今まで、I would appreciate it if you could give me your reply.のように、丸覚えで使っていましたけれど、意識して使えるようになると、自分の書く英文に少し自信が持てるような気がしてきますね。
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