10日深夜に皆既月食があった。私も観察しようと思って欠け始めた頃に外に出たが、冷たい風が強く、暖かい室内から出た体には応えるので、早々に家に戻り観察は諦めた。野外で生物の観察をしている弟は月食の写真を撮っていたので、それを借りる。
全国各地で同時刻に観察されたので、寒い中を頑張ってこの天体ショウを楽しんだ人は多かっただろう。ところがかわいそうな出来事も起こった。兵庫県加西市で午後11時過ぎに、月食を見ようと外に出ていた12歳と8歳の兄弟が軽トラックにはねられて弟は即死,兄も搬送先の病院で1時間後に死亡した。4歳違いの兄弟と言うと、私の息子たちと同じだから、その頃の息子たちを思い出して、身につまされて胸が痛んだ。両親の嘆きはいかばかりだろうかと思う。
許せないのは、この事故を引き起こしたのは53歳の建築業の男性で、呼気から基準値を超えるアルコールが検出され、本人は「酒を飲んで運転していた」と話したことだ。この男は路肩に車を突っ込み、兄弟をはねた。新聞の写真を見ると兄弟が立っていたところにあるガードレールは大きく折れ曲がっていて、ブレーキ痕は見当たらなかったというから、かなり酩酊していたのではないか。
酒飲みというのはどうしてかくも自制心が乏しいのか。もちろん酒が好きでも正気は失わず、まして運転などしない人は多いだろう。しかし、飲酒の挙句に運転して事故を起こした例はこれまで後を絶たない。他人は他人、自分は大丈夫という自惚れがあるのか、車を運転していたら飲まないという当たり前のことができないのは、要するに意地汚い欠陥人間で、世の中を舐めているのではないか。
平成6年に22歳の福岡市職員が飲酒運転出乗用車に追突して、幼い子ども3人を死亡させた事件では、危険運転致死傷罪と認定され、道路交通法違反と併合して懲役20年の刑が確定している。今回の事故を引き起こした男はコンビニで酒を買って飲み、事故の約1時間前に市内のスナックに立ち寄っていたが、既に酔っていて眠そうだったということだ。
失われた幼い命は取り戻すことはできない。この男は自分がしでかした犯罪行為に見合うだけの厳しい処罰は受け受けなければならない