中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

生きている 生きていく

2011-12-05 09:05:57 | 身辺雑記

高校の教師だった頃、生物の授業で脳や神経系について教えたことがあったが、その際それに関する本を何冊か読んだ。その中に大脳の働きについて「生きている」と「生きていく」の違いについて説明しているのを見た。

 

 「生きている」と言うのは、動物であれ植物であれ、生物に共通した現象で、カビもアメーバーもゴキブリもスミレも「生きている」が、「生きていく」と言うのは、とりわけ人間の大脳前頭葉の働きによる行動だと言う。もちろん人間以外の高等な脊椎動物で、大脳に前頭葉を持つものは程度の差こそあっても、生きていっているが、特に人間の場合は、その非常に発達した前頭葉が、意志や意欲、創造力などをつくり、人間自身を発達させ、環境を変革してきたことが他の動物と違う特長だ。

 

  前頭葉(赤い部分) Wikipediaより

 

 人間として存在する限り、絶えず積極的に生きていかなければならない。高齢や病気、事故のために大脳の機能が損なわれない限り、自分というものを持ち続けることが人間らしいことだろう。もちろん人間らしさには、正義感や道徳心、他や自己を愛し尊重する精神も欠くことはできない。人はさまざまな欲望に捉われ低次元の行動に走ることはあるが、それをコントロールしていくのも人間らしい生き方だ。

 

 中国語で「生きる」は「活huo」と言う。日本語でも「活」は「生きること」という意味だ。活力、活動、活躍、活気、活発などエネルギーに満ちている感じがする。私は、この「活」ということばが好きで、よく「活きる」と書く。このほうが「生きていく」という意味がはっきりすると思う。