旅が好き・そして日々の時間で気の付く事を。

旅では人々の生きた来た跡を訪ねてみたい。
時間が出来たので、今までにしなかった事に手を出してみようと思う。

日本残酷物語 5 近代の暗黒

2020-05-23 23:52:42 | 日記
 コロナで急に時間が出来た、この歳まで働いて来たのだから少し体を休めとの事かと。
今回の本は、昨日までに残すところ30%あるが感想を少し。


 徳川から明治へ、西欧に追いつき追い越せの時代。底辺の人々には過酷な環境があった。
北海道の道と鉄道を作った有名な「タコ部屋」は官製のラゲール(強制収容所)だった、田舎の女の子を使い長時間労働の末肺を病み捨てられた人たちの繊維産業、飢饉の東北の農民は女の子なら間引きをし、育ったら売って糊口をしのぎ、九州の炭坑の閉鎖された囲いの中であまり過酷さに逃げ出したらリンチも。北海儀業のご存じ「蟹工船」。人知れず消された人も多い。

 小作農を組織化する中で政府の弾圧の手足となったのは警察。政府は誰の見方だったのか。世界を相手に戦うまでになった経済は誰の犠牲の上にあったか。お国の為と戦って手足を失った兵たちのその後は?、我々の年代の人間は駅前に立ちアコーデオンを鳴らしていた白い服を着た松葉杖の人たちを知っている。
 残りの30%のページは、朝鮮からの出稼ぎや逃げてきた人たち、そしてもっと底辺の人たちの事が書かれている。

 ほんの100年と少し前、祖父母の父母の時代から父母の時代の事。北海道の血で築いた鉄道は次々廃線に、炭鉱は産業遺産になったが消えた人々の跡は書かれたものから想像するしかない。

今の豊かさが続くと思うのは甘いかも。
宮本常一の文が好きで、周防大島や高知の梼原に行ってみたい。