以前、私は●最も大切な自由は「表現の自由」だという記事を書きました。その自由とは少しそれますが、関係のありそうなニュースがあったので紹介しておきます。
(以下引用)
露下院がNGO規制強化法案を可決、開設を許可制に
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051223i515.htm?from=main5
【モスクワ=五十嵐弘一】ロシア下院は23日、民間活動団体(NGO)に対する規制を強化する法案を賛成357、反対20、棄権7の賛成多数で可決した。
上院が可決し、プーチン大統領が署名すれば発効する。プーチン政権は、ウクライナなどで相次いだ政変で、外国からの支援を受けたNGOが大きな役割を果たしたとみており、規制強化は、ロシアでの政変発生の封じ込めが狙いとみられる。
法案では、これまで登録だけを義務付けてきたNGOの開設を、外国NGOをのぞき、当局の審査が必要となる許可制に変更。そして、NGO設立の目的が、「ロシアの主権、政治的独立、領土保全や国益に反する」場合、露当局は登録を拒否できると規定している。
NGO団体側は「極めてあいまいな表現だ。当局者の恣意(しい)的解釈が可能で、政権が気に入らないNGOを禁止することが容易となる」と反発。また、米国も「民主社会の発展にNGOは重要」(ライス国務長官)と懸念を示している。
(引用以上)
都合の悪い者はもみ消してしまえ、という全体主義国家の匂いが強烈に漂ってきますね。
ロシアというのは、ほとんど言論弾圧国家だと言うことができます。●こちらのURLなどが参考になります。●テレビ局を全て国家が掌握しているなどという信じられない話もあるようですね。
そもそも、テレビのようなマスメディアを、言論の自由の主体と見るのはかなり無理があると言えます。テレビというのは、メディアの中では最も設備投資がかさみます。そうだとすると、どうしてもスポンサーが必要になり、その方面からの圧力に弱くなるのです。
さらに、電波は有限だということで、様々な法的規制が課せられるのが普通です。そうなると、今度は国家によるコントロールが及ぶことにもなるわけです。
マスメディアの存在がかえって言論統制をしやすくするということも言えそうです。ロシアの例は、テレビ局が言論統制に屈しやすいという、非常に分かりやすい例だと思います。
そこで、今度はNGOの既成です。これは、「結社の自由」(日本国憲法では21条にある)の規制です。しかも、許可制というのは、原則として禁止するという意味ですから、相当強力な規制です。
結社の自由は、弱い立場の人間が団結して、お互いに支え合うという点で、表現の自由に似た側面、すなわち、「自己実現」「自己統治」に役立つ機能があります。
日教組や共産党や社民党や、もろもろの「市民」団体も、束になることでお互い励まし合って自分の意見や思想を形成しているのです。彼らも日本国民には違いありませんから、そういう結社を作っておかしな主張をする自由はあるのです。
国家の安全を守るという側面はあるものの、ロシアのやっていることは個別具体的な対処を捨てて、自由そのものを殺すという人権擁護法案と類似の性格があるということは忘れてはなりません。
私が前回の憲法の話で述べた理屈からすると、ロシアは次に海外への(からの)インターネット接続に規制を課したり、プロバイダを許可制にしたりするでしょう。私がプーチン大統領だったらそうします。
プーチンの面の皮がいくら厚くても、国内でチェチェン人テロリストどころか、人質まで一緒に毒ガスで殺している超人権侵害国家(●こちらのリンクに記事が出ています)だということは国際的に知られてしまっているので、さすがに「人権擁護法」という名前がついた法律は作れないでしょう。しかし、似たようなものは作る可能性があります。今回のNGO許可制も、その端緒であると見るべきです。
日本にとっては、ロシアは極東での「隣国」でもあります。かの国の国内動向についても、今後の進展を注意深く見守りたいと思います。
(以下引用)
露下院がNGO規制強化法案を可決、開設を許可制に
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051223i515.htm?from=main5
【モスクワ=五十嵐弘一】ロシア下院は23日、民間活動団体(NGO)に対する規制を強化する法案を賛成357、反対20、棄権7の賛成多数で可決した。
上院が可決し、プーチン大統領が署名すれば発効する。プーチン政権は、ウクライナなどで相次いだ政変で、外国からの支援を受けたNGOが大きな役割を果たしたとみており、規制強化は、ロシアでの政変発生の封じ込めが狙いとみられる。
法案では、これまで登録だけを義務付けてきたNGOの開設を、外国NGOをのぞき、当局の審査が必要となる許可制に変更。そして、NGO設立の目的が、「ロシアの主権、政治的独立、領土保全や国益に反する」場合、露当局は登録を拒否できると規定している。
NGO団体側は「極めてあいまいな表現だ。当局者の恣意(しい)的解釈が可能で、政権が気に入らないNGOを禁止することが容易となる」と反発。また、米国も「民主社会の発展にNGOは重要」(ライス国務長官)と懸念を示している。
(引用以上)
都合の悪い者はもみ消してしまえ、という全体主義国家の匂いが強烈に漂ってきますね。
ロシアというのは、ほとんど言論弾圧国家だと言うことができます。●こちらのURLなどが参考になります。●テレビ局を全て国家が掌握しているなどという信じられない話もあるようですね。
そもそも、テレビのようなマスメディアを、言論の自由の主体と見るのはかなり無理があると言えます。テレビというのは、メディアの中では最も設備投資がかさみます。そうだとすると、どうしてもスポンサーが必要になり、その方面からの圧力に弱くなるのです。
さらに、電波は有限だということで、様々な法的規制が課せられるのが普通です。そうなると、今度は国家によるコントロールが及ぶことにもなるわけです。
マスメディアの存在がかえって言論統制をしやすくするということも言えそうです。ロシアの例は、テレビ局が言論統制に屈しやすいという、非常に分かりやすい例だと思います。
そこで、今度はNGOの既成です。これは、「結社の自由」(日本国憲法では21条にある)の規制です。しかも、許可制というのは、原則として禁止するという意味ですから、相当強力な規制です。
結社の自由は、弱い立場の人間が団結して、お互いに支え合うという点で、表現の自由に似た側面、すなわち、「自己実現」「自己統治」に役立つ機能があります。
日教組や共産党や社民党や、もろもろの「市民」団体も、束になることでお互い励まし合って自分の意見や思想を形成しているのです。彼らも日本国民には違いありませんから、そういう結社を作っておかしな主張をする自由はあるのです。
国家の安全を守るという側面はあるものの、ロシアのやっていることは個別具体的な対処を捨てて、自由そのものを殺すという人権擁護法案と類似の性格があるということは忘れてはなりません。
私が前回の憲法の話で述べた理屈からすると、ロシアは次に海外への(からの)インターネット接続に規制を課したり、プロバイダを許可制にしたりするでしょう。私がプーチン大統領だったらそうします。
プーチンの面の皮がいくら厚くても、国内でチェチェン人テロリストどころか、人質まで一緒に毒ガスで殺している超人権侵害国家(●こちらのリンクに記事が出ています)だということは国際的に知られてしまっているので、さすがに「人権擁護法」という名前がついた法律は作れないでしょう。しかし、似たようなものは作る可能性があります。今回のNGO許可制も、その端緒であると見るべきです。
日本にとっては、ロシアは極東での「隣国」でもあります。かの国の国内動向についても、今後の進展を注意深く見守りたいと思います。