視覚障がい者を導くAI搭載型のスーツケースです。
すでに東京都内の商業施設内で実証試験中であり、コンピューター・ビジョン技
術、測位技術、マップ技術を組み合わせたロボットがスーツケース内に搭載され、
施設内を自由に移動することが出来るだけでなく、障害物を迂回し、行列にはそれ
を認識して、列の最後尾に一定の間隔を保って並ぶなどの機能を果たすのです。
AIスーツケース
(ネット画像IBMより)
視覚障がい者は、これまで、白い杖を頼りに移動したり、盲導犬に導かれたりし
て移動していましたが、AIスーツケースは、それらの機能だけでなく、移動中 目
に入る建物や景色などを音声で知らせたり、行き先を設定することもできる・・な
ど多彩で、さらに、このスーツケースとスマートフォンとを組み合わせてさらに高
度な機能を果たすことが出来る・・とあります。コロナ禍では、ソシアルディスタ
ンスを維持することも可能となったそうです。
開発者は、浅川智恵子氏が中心となり、2020年には『 AIスーツケース・コンソ
ーシアム』を設立し共同開発に取り組まれています。現在最新のAIスーツケースは
第3モデルで、これらのことをやってのけるそうですが、さらに今後、AIショッピ
ングカートに折り畳み椅子を付けて、ディズニーランドや万博会場に配備すれば、
高齢者にも役立ち大いに楽しめると期待が膨らんでいます。
視覚障がい者にとって、「公園の中を散歩したい」「近所を散歩し、こんな店が
近くにあったんだ、と発見してみたい」「ディズニーランドに行きたい」などの要
望が寄せられているという。
この記事は、手元の会報に掲載されている講演録、昨年12月に講演された『科学
技術と共に実現するインクルーシブな未来社会に向けて』(浅川智恵子氏、工学博
士、日本科学未来館館長、IBMフェロー)から概要を紹介しました。
日本科学未来館(お台場)
(ネット画像より)
浅川氏は、11歳の時にプールで怪我をしたことが元で、14歳の時に両眼とも失明
されましたが、スポーツ少女で何でも挑戦されたそうで、1985年に日本IBMに入社し、
ホームページリーダーを開発し、ウエブ上にある膨大なデータを視覚障がい者が音声
だけでどこまで認知できるかなど研究を進められたそうです。2009年にIBMの最高
技術職、IBMフェローに就任し、18年にIBMワトソン研究所に転籍され、21年4月に
日本科学未来館館長に就任されています。
館長の任期は10年あり、氏は最後に『 私は今後十年で、IBMフェロー、視覚障が
い者ユーザー、日本科学未来館館長という立場を融合させ、科学技術が実現する共
生社会の姿を示して行きたいと思います。皆さんと共に垣根を超えた協業を通して、
真のインクルーシブな未来を築いていきたいと思っています。』と結ばれています。
2013年の紫綬褒章を始め、数々の賞を受賞されています。
AIスーツケース・デモンストレーション@コレド室町(日本橋)