BS1で録画していた掲題の映画を観ました。 また西部劇です。
1948年制作・公開ですが、物語の時代は1851年の西部開拓時代のテキサス大平原を
舞台に繰り広げられる雄大なスペクタクルと男たちの苦悩と友情、そして義理の親子
(養子)の深い愛情に満ちた人間ドラマとして観ごたえのある物語でした。
主役のジョン・ウエインといえば、「西部劇の神様」のジョン・フォード監督が浮かび
ますが、この映画「赤い河」は、巨匠ハワード・ホークス監督によるもので、ジョン・
ウエインの新しい側面を引き出したとも言われているようです。
(fpd映画スクラップより)
ジョン・ウエイン(役名:ダンソン)の他、この映画で一躍スターダムに上がった、
養子役のモンゴメリー・クリフト(役名:マシュウ)も父親を慕いつつも新しい感覚の
若者を演じた好演技でした。 そして、リオ・ブラボーでも共演している、アカデミー賞
助演男優賞3回に輝く名わき役のウオルター・ブレナン(役名:グルート)もお馴染み
のお茶目爺さん役で、本人の入れ歯がドラマの中でも面白く扱われていました。
赤い河(Red river)はテキサス州に実際に流れる川で、当時の望洋たる平原に物語を
象徴するように思えましたが、ボーデン・チョイスが史実に基づいて執筆した小説を
映画化したとあります。
ダンソンとグルートは、北に向かうルートの幌馬車隊と別れて2人だけで新天地を
求め、新しい牧場を築いて、14年の歳月をかけ大牧場に仕上げ1万頭に及ぶ牛の育成に
成功するのです。1万頭もの牛をテキサス州リオグランデ辺りからミズーリ州(おそらく
セントルイス)まで1600キロを数か月かけて走破を目指す物語なんですね。
1600㎞の旅
(youtubeより)
ダンソンとグルート、それに養子のマシュウそして数人のカウボーイでこの途方も
ない計画に挑み、途中そのほぼ3分の2を進んだ辺りのレッドリバーを北に渡った頃、
ある事件が起こり目的地が変わるのです。
河を渡る1万頭の牛
(共にyoutubeより)
ダンソンの拳銃の凄腕と強靭なリーダーシップとで、途中での強盗団やインディアン
の襲撃など危険極まりない幾多の困難を乗り越えてきますが、長雨と疲労、食糧不足
など焦りも手伝って、次第に人望が薄れ隊の不満も増強してきたとき、息子(養子)の
マシュウは新しい感覚で父ダンソンを抑えて一行を引き継ぎ、父を一人残して鉄道が
通じているとのうわさのあるアビリーンにルートを変更するのです。それでもその
全工程は1000キロもあるのです。
激怒するダンソンは、後日何人かの助っ人を連れて息子の一行を追うことに・・。
(ザ・シネマより)
カメラは雄大な西部の大平原を進む牛の大群を見事に捉えていて、その大群が河を
渡る映像、さらにはこれらの牛の大群が一斉に大暴走するシーンの迫力はすさまじい
もので、CGではとても出せない本物の映像の力を見せつけています。
息子率いる一行は、無事アビリーンに着き、何百頭かの牛は失いますが、牛は高値で
売ることに成功するのです。 全員がホッとしているところに、父ダンソンが追い付き、
息子をいさめ激しく争いますが、困難な仕事を自分に代わり達成してみせた若者に、
世代交代を認めたジョン・ウエインの晴れ晴れとした顔の輝きこそが、本作の主題が
完結したシーンでした。
もうもうと砂塵が立ち舞う広大な開拓期の西部、大群の牛が河を渡る、そしてある
とき大暴走する圧巻のシーン、インディアン襲撃の危険、長旅の披露などなどを乗り
越える勇気と忍耐、男たちのさりげない友情などなど格調高く単なるアクション映画の
西部劇ではなく深みのある印象に残る作品でした。
モンゴメリ・クリフトと ウオルター・ブレナンと
(共に、ザ・シネマより)
Red River Valley /Michael Martin Murphy 赤い河の谷間/マイケル・マーティン・マーフィー (アメリカ民謡)