今日、12月9日は夏目漱石忌にあたります。1916年、満49歳 胃潰瘍で他界しました。
漱石については、当ブログ記事、
若さんの “神楽坂研究(4)夏目漱石は神楽坂大好きでした(2016.10.8)”および
“神楽坂研究(5)まち飛びフェスタ(2016.11.11)”に詳しく記述されています。
また、今朝のNHKニュースでは、アンドロイド漱石が放送されていましたし、
明日夜には、NHKテレビで「漱石悶々」(豊川悦司、宮沢りえ)が放送されます。
地球温暖化に関しては、当ブログの昨年 2015.11.26の記事「COP21」にその概要を
紹介していますが、この「パリ協定COP21」に至るまでの、地球温暖化に対する世界の
取り組みと更なる今後の課題等について書かれた「地球温暖化は解決できるのか」~
パリ協定から未来へ~(小西雅子著、2016.7.20、岩波ジュニア新書)を読んで、改めて
本題の重要さを理解するとともに、日本を含む世界の国々の取り組む姿勢のエゴさ加減を
垣間見ましたので、もう一度このテーマについて記事アップした次第です。
この本の著者、小西雅子氏は、畑仲間の、Ka氏(高崎市在住)の姪御さんにあたる方だ
そうで、現在、WWFジャパン自然保護室次長兼気候変動・エネルギープロジェクトリーダー
という要職を務め、日本気象予報士会副会長、昭和女子大学非常勤講師など幅広く活躍され
ています。この9/29には、東京八重洲ブックセンターで発刊記念講演会を開催されました。
小西氏の著書
そもそも、ことの起こりは、産業革命以降ずっと排出し続けてきた温室効果ガス(二酸化
炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなど)の影響により、地球温暖化が進行しているという
ことなんです。中でも、1850年頃から石炭エネルギーにyる工業化の進展により急激に炭素
排出量が増加し、この130年間に世界の平均気温は0.85度上昇したとされ、日本では過去100年
で平均気温は1.3度上昇しているそうです。 平均気温が1度上昇するということは、大変な
ことで、今より1.5万年前の氷期の平均気温と現在との差は、わずか4~7度低かったに過ぎな
いと言っています。それが、100年(という短い期間)で1度などというのは論外のスピード
だというのです。
1988年、今から28年前に、気候変動に関する国際政府間パネル、IPCCが発足し、世界中の
科学者の統一見解として、国連の温暖化に関する報告としてまとめられています。 これまで
に5回の報告書が発表されています。 このIPCCの活動を受けて、1992年(今から24年前)に
「気候変動枠組条約」という初めての温暖化防止条約が採択されたのです。気候変動条約
第1回締約国会議(COP1)が、1995年にスタートし、毎年12月に開催されるというベースが
出来たのです。
国際条約には、「採択」「批准」「発効」という3つの段階があって、国際会議で合意され
るのは「採択」で、それを各国内で検討・審議してこれに賛同した場合「批准」(受諾、
加入)となり、批准国が一定数を超えると、その国際条約は効力を生じ、批准国には、これ
を守る義務が生じる「発効」となるのです。 地球温暖化に関する初の採択が「京都議定書」
(1997年、COP3)で、日本は2002年にこれを批准しました。で、2005年にこの京都議定書が
発効したという流れになっているのです。
しかし、この京都議定書には、当時新興国は含まれず、先進国(OECD加盟国)による内容
で、先進国だけに温室効果ガス排出制限が課せられることになっていたため、その後の新興
国の急速な発展により、特に中国、インドなどの排出量は、当時の先進国を上回る程となり、
京都議定書の意味は薄れてしまいました。
温室効果ガス排出量は、その国の産業発展と連動しているため、新興国の急速な産業発展
は、直接排出量の増加という結果につながり、国際的にこの問題に取り組む場合、各国の産業
発展と排出量が裏腹の関係にあり、そして、さらに先進国の先行排出量が累積されていること
への不公平性など、各国の利害がマチマチで、ここに本問題の国際条約の難しさがあると訴え
ています。
それでも、延々と難航を極めたこの問題も、2015年には、先の京都議定書に続き、「パリ
協定」(COP21)が採択され、2020年以降の温暖化対策が決まったのです。 産業革命前に
比べて気温上昇を2度以内に抑えることを長期目標に据え、その実現のために今世紀後半には
排出量を実質ゼロとすることが明記されたのです。 問題提起から約30年を要してようやく
成立したのです。 今後は、このパリ協定に基づき具体的なルールつくりが行われるのです
が、各国は削減目標を提示して、5年ごとに見直し、新たな目標を提示することが義務付け
られています。5年ごとにその進捗状況と温暖化防止対策の具体的な進捗状況を合わせて報告
するという枠組みなのだそうです。
日本は、2020年目標として、3.8%削減(2005年比)を発表しましたが、これは国際社会
を失望させた低レベルの目標で、京都議定書での目標よりも後退した内容で、もはやリード
的立場ではなくなっているのです。2030年目標でも、1990年比換算で日本は18%削減に対し
て、アメリカ27%、欧州連合40%とかなり見劣りしています。科学立国として少々お寒い感
じです。
排出量削減対策は、先のブログにもありますが、①省エネルギー、②低炭素エネルギーの
活用、③二酸化炭素排出の多い石炭をやめる の3つの柱で、これを総合的に推進してゆく
必要があるとしています。 原子力はクリーンエネルギーですが、安全・安心面、使用済み
燃料処理等に大きな問題があり、個人的には即縮少したいと思いますが、40年を超過した運転
に踏み切る等の政策が採られました。 さらに、再生可能エネルギーの振興策を強化して、
科学立国らしく世界をリードする政策が欲しいところです。 併せて、街中の身辺をみても、
まだまだエネルギーの無駄遣いが横暴しているんですね。
大きな国レベルの政策とともに、先ずは地球温暖化問題を一般市民に広く浸透・理解して
もらうことが大事であると思います。
WWF活動 小西氏報告より
先月行われたCOP22に出席された小西氏のレポートから、その一部をいかに抜粋しま
した。
「アフリカのモロッコ、マラケシュにおいて2016年11月7日から18日まで開催されていた
第22回国連気候変動枠組条約(COP22)及び第12回京都議定書締約国会合(CMP12)が終了し
ました。21世紀末までに、温室効果ガスの排出をゼロにすることを世界が約束した「パリ
協定」が発効して、初めての国際交渉となった今回の会議。交渉は最終日の深夜まで続き
ましたが、期待されていたパリ協定のルール作りは、無事にスタートすることが決まりまし
た。」