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空中庭園

2005-11-14 19:14:43 | 映画 カ行
映画館で、出演:小泉今日子/鈴木杏/板尾創路/広田雅裕/大楠道代/原作:角田光代/脚本、監督:豊田利晃の「空中庭園」を観ました。

●ストーリー
東京郊外の団地に住む京橋家には、家族に秘密は持たないというルールがあった。
しかし、実際には家族それぞれが秘密を抱えていた。

長女のマナ(鈴木杏)は、イジメが原因で高校に行っておらず、弟のコウ(広田雅裕)も、自分の住む街並みに興味があり、授業をサボリがち。
父親の貴史(板尾創路)も、二人の愛人と不倫中であった。

そして、いつも笑顔を絶やさない、妻の絵里子(小泉今日子)にも決して言えない秘密が……。

そんなある日、偶然にも父親の愛人であるミナ(ソニン)とコウが知り合いになり、家庭教師を引き受けることになる。

何も知らない絵里子は、ミナを夕食に招待するのだが、帰ってきた貴史は、ミナの顔を見て驚いてしまう。
妻と愛人に囲まれ、貴史は、生きた心地がしないまま食事をするのだったが……。

●感想
最近、気になっている作家の角田光代さんが原作者で、キョンキョン主演ということなので、この作品は「必ず観よう!」と決めてました。

ストーリーは、キョンキョンが妻を務める京橋家の人々を中心に、彼らの秘密の部分を描いて行くのですが、家族全員にちゃんとした見せ場が用意されていて、不要なキャスティングや演出が極めて少ない、良くまとまった作品でした。

キョンキョンの夫役が板尾さんだったので、どんな演技をするのか興味があったのですが、マゾっ気があり、コソコソ浮気に励む、頼りない大黒柱の貴史にピッタリだったので、板尾さんの確かな演技力と監督の演出の上手さに感心してしまいました。

京橋家の人々を演じた役者さん達の演技が、見事だったので、それぞれに楽しませてもらったのですが、中でもキョンキョンの母親・木ノ崎さと子を演じた、大楠道代さんの怖さと優しさのメリハリをつけた演技は、作品全体をビシッと締めていて、観ていて気持ちが良かったです。

監督の豊田利晃さんは、残念ながら公開前に覚醒剤所持で逮捕されてしまったのですが、この作品を観る限りでは、無駄なところが少ない演出や編集の上手さ、CGに頼り切らない映像作りには、多大な才能を感じますので、出所した際は何とか、監督に復帰して再起を計って欲しいと思いました。

●採点
私のこの作品に対する評価は75点です。

どこにでもある様な一般家庭の影の部分に目を向けた発想が素晴らしいと感じさせる作品でした。

キョンキョン演じる、いつもは笑顔を振り撒いている絵里子が段々と壊れて行き、家族の前で本性を露わにしていくシーンには、怖さを感じ、思わず目を惹きつけられてしまいました。

原作がどのように絵里子を描いているのかは、読んでいないので分かりませんが、この役をキョンキョンに任せた事が、この作品の魅力をアップさせている事は間違いないでしょう。

本作を観賞後、どうしても原作者である角田光代さんの文章が読みたくなり、1000円を出して、この作品の続きである「夜道の家族」が載っているパンフレットを購入したのですが、無駄のない言葉の並べ方と女性ならではの描写の細やかさに読みやすさを感じ、今彼女の作品が持てはやされている理由が分かった気がしました。

だから、この作品は、直木賞作家・角田光代のファンの方々と、妻と愛人を前にして、緊張のあまり料理の味が、全く分からない食事をした経験のある方におすすめ致します。

最後にどうでもいいことなんですが、「たとえ顔が真っ赤に染まったとしても、やっぱりキョンキョンは可愛いなぁ~」って思ってしまったのは私だけでしょうか?

それでは、また何か観たら書き込みします。



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