酔いどれ反省会

反省出来ない人の反省文

散々ナイト

2011年02月07日 00時54分17秒 | 日記
先日、横浜のSTスポットという劇場に芝居を観に行った時の話。たまたまダンス仲間の一平さんも観に来ていて、お互い「あれ!」なんつって軽く挨拶。
芝居は、2時間弱という上演時間にも関わらず、飽きずに観れた上に、まだ若い劇団なのにものすごい完成度で驚いた。そこの劇団は面白いと言う話は聞いていたが、予想以上に面白かった。負けてらんないぞと、いろんな気持ちがこみ上げた熱い夜。そんな夜は真っ直ぐ部屋に帰れるはずもなく、終演後、一平さんと軽く一杯引っかけようという事に。高円寺であれば迷わず四文屋に直行なんだけど、ここは横浜。普段横浜で飲む事など全くしない二人は、当然のごとく迷子。何だかギラギラと光る看板を掲げたチェーン店はたくさんあるものの、そんなガッツリ「飲み食い、すんだってばよ!!!!」というナルトみたいな気分でもない。そしてナルトは読んだ事はない。若干途方に暮れ始めた時、一平さんが

「さっき、ちょっとおもろそうな店があったんやけど…」

と言う事でちょいと引き返してみる。すると、川沿いに、なんと言うか、ホームレスの方が建てたような、今にも崩れそうなホッタテ小屋が、ずらーーーっと軒を連ねている。あまりのホッタテっぷりに、一瞬時代錯誤に陥ってしまった。。ほとんどの店がおでん屋のようで、店先にぶら下がっている「おでん」と書かれた看板は、当然の面持ちで傾きつつ、風前のともしびみたいなチョロチョロした灯りで照らされている。
一軒一軒、通り過ぎるふりをして店内をのぞいてみると、たいてい50~60歳ほどのママが、サラリーマンのおっちゃん方を相手に、おでんをクツクツと煮込んでいる。どうしたって、「違法」とか「不衛生」みたいな言葉がボンボン頭に浮かんでくるけど、面白そうだし、ネタとして一度くらいこういう場所で飲んでみるのも悪くないだろうと適当な店に入る。かなりの数の店があったけど、何となく「どこが美味しいとか、無いよな」と思って、とりあえず客のいない店を選んで入った。

予想通りドアは今にもはずれんばかりにガタガタ。天井の高さなんか頭上すれすれで、10人も入れないんじゃねえの?というほどに狭い。そのスペースの8割ほどを占めるのが、中央に置かれた、おでんがクツクツ煮込まれたテーブル。そのテーブルをコの字に囲むように丸イスが並べられている。俺らが店に入ると、歯が所々抜け落ちたおばちゃんが、「どうぞお座り下さい」などと甘っちょろい言葉は一切かけず、開口一番

「ぐーーーんつめて、ぐーーーーーーーんつめて」

と、一気に俺らを端の席に追いやる。言われるままに端の席に座った俺らは、とりあえず日本酒を注文し、おでんを各々3本ずつ注文。まぁ、味が良くしみていると言うか、ただ単に煮すぎじゃね?と言うか、そんなおでんをパクつきながら日本酒を傾けていると、サラリーマンの集団がワラワラと入ってきた。どうやら常連集団のようで、「ママ~、10人。10人」と、あきらかにキャパオーバーな人数を言う男性に対して、ママは

「ふざんなよバカヤロウコノヤロウ。いいから入れよバカヤロウコノヤロウ」

と、一言一言の語尾に必ず律儀に「バカヤロウコノヤロウ」をつけるママは、全員を店内に入れて、イスが足りない人には、半分壊れているようなパイプイスを出して座らせた。

「いいからさっさと注文しろよバカヤロウコノヤロウ。熱燗?わかったよバカヤロウコノヤロウ」

この後ママは、信じられない行動をとる。熱燗をつけるために、それ用の銀のカップの様なものに日本酒を入れて、まさか、おでんの中に突っ込んだのだ。

!!!!!!!!!

「おらよバカヤロウコノヤロウ」

暖まった日本酒をとっくりに入れて客に渡す。おでんのダシで日本酒暖めるって、どゆこと????店内で俺と一平さんだけがドキドキしている。。。サラリーマン集団は全員男性で、各々「はんぺん頂戴~」「俺ちくわ~」「大根、たまご、後は、ウィンナー」と注文をすると、当然ママはキレる

「ふざけんなよバカヤロウコノヤロウ。いっぺんに言ってもわかんねえよバカヤロウコノヤロウ」

注文した物は、一つ一つメモってはいるものの、そのうち「昆布巻きもらうよ~」と勝手に自分の箸で取りだすおっちゃん。「勝手に取るんじゃねえよバカヤロウコノヤロウ」とは言うものの、本気でとがめようとはしない。そうなるとあちこちで勝手におでんを取り出すサラリーマン。無法地帯である。罵声を吐く事で忙しいママはもはやメモなど取っていない。そういう場所はどうしても巻き込まれてしまうもので、俺も一平さんも無理やり会話に入れられる。酔っ払ったサラリーマンからは愚痴と下ネタしか出てこないらしく、

「よし、かとちゃんから時計回りに初体験の思い出を話していこう!!!!!」

と言う事になり、なぜか俺がトップバッターで初体験話をしなきゃいけなくなった。まぁ、割と笑える話だと思うので全然話しても良かったのだが、あっちのおっちゃんこっちのおっちゃんが、おでんが煮られてる鍋(テーブルの真ん中がくぼんでいる所)に、次々と箸を突っ込んで、その都度ママの罵声が飛ぶので、なかなか話しだせない。笑える話とは言え、見ず知らずのおっちゃんらに話すのも何となくアレなので、話さないで済むなら話したくはない。
酒の足りないおっちゃんは「熱燗!!!!!」と注文。「うるせえバカヤロウコノヤロウ」と言うママは、おでんの鍋の中に突っ込まれたままの銀のカップに、直接日本酒を注ぐ。ママも酒を飲んでるものだから、手元フラッフラ。フラッフラと言うか、ブルブルふるえている。いろいろ危険すぎる。。もはや一升瓶を脇に抱えないと安定して銀カップに注げない。と言うか、全然安定して注げていない。ブルブルふるえる手元は、完全に銀カップをはずれ、ドボドボとおでんの中に日本酒を注ぐ。「ちょっとちょっとママー!!」「うるせえバカヤロウコノヤロウ!!」。ようわからんが、地獄だ。とりあえず初体験話はする事無く、俺らは帰ろうとなり、ママにお会計を頼む。各々日本酒2杯に、おでん串3~4本くらい。四文屋ならば2人で2千円前後ほどだろう。と、余裕シャキシャキの顔で、千円札1枚を握る俺らに対してママは異様な笑顔で言う、

「5千円ですぅ」





なぬ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






ゴセンエン??????どゆこと!!!!!!!!あんだけで五千円????それ本当に正確に計算してんのか????ママ、途中からメモって無かったんじゃねえか??????とは言え、ママは呪われたような笑顔で五千円を待っている。新参者の俺らは文句など言えるはずもなく、すぐさま五千円を渡す。四文屋の倍以上である。。単純計算、おでん串が、1本400円か500円くらいしたって事になるぞ。。どんなぼったくりだ。ふざけんなバカヤロウコノヤロウ!!!!!!!店に火つけたらぁ!!!!!!と思ったけど、まぁ、3万も5万も取られたわけじゃないから、ぼったくりとは言え可愛いものだろう。言うなら、ぽったくりだ。ぽったくられた。だって、ママの計算する時間短すぎたしなぁ。「ああもう面倒だから五千円だバカヤロウコノヤロウ!!!!」って事だろうな。そしてあの「五千円ですぅ」って言う時のママの目ね、絶対に「こいつらならこれくらい巻き上げられんだろうバカヤロウコノヤロウ!!!!!」って目だったしなぁ。

とにかくやられました。散々でしたよ。帰り道、一平さんがポツリ

「今日、何観たんだっけ?」

あれだけ感動した舞台が、見事頭からぶっ飛ばされました。。
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