『永遠の終り』(byアイザック・アシモフ)、読了。
1955年作。(コレ重要)
時間移動ものが好きなら必須という触れ込みに、遅まきながら読んでみた。
アシモフ作品と言えばまずはロボット、それから宇宙。
一方、時間移動を扱った作品は、本作と、もう1作の短編があるだけだという。
それで、いざ読んでみて、まず独特の専門用語に目がくらんだ。
物語の舞台は、いわゆるタイムパトロール(時間管理)の組織なのだが、本作発表当時はには、そういった類の単語がまだ無い。
「コンピューター」という言葉が、そういった職業(算定士)を差すほど。
タイトルの「永遠(エターニティ)」というのが、その組織名なのである。
しかも、メインの舞台となるのは「482世紀」。
それどころか「111394世紀」なんて時代がキーポイントになってたりする。
そういったヤヤコシイ世界設定を飲み込むまでは大変だったが、冴えないタイプの主人公が恋人を得た辺りから、謎が謎呼ぶ展開に、ページをめくる手が早まった。
全部読み終えて振り返ると、この話はアシモフの「ファウンデーション」シリーズの前日譚である事が明らかになる。
時間管理者たちは、「現実矯正」と称して異常を排除し続け、多様性を失ったために他の星々に遅れを取って自滅する。
よって、人類は歴史の必要悪として──核兵器を使わなければならない。
この時代はまだ、放射能の問題が考えられていなかったとは言え、原爆を必然と断じられる終幕には、釈然としない感覚が残った。
ポール・アンダースンの『タイム・パトロール』も早く読みたいと覚書。
それでは。また次回。