好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

アクセサリでも世界は滅ぶ。SFでは。

2024-02-14 | 物語全般
『物体O(オー)』(by小松左京)、読了。

全10話収録の短編集。

小松作品の作風は、自分にはあまり合わない。読んでいて毎回気持ちが沈む。
けれど読書好きを名乗るなら知っておくべき作品が多いのも事実。
作品の総数自体、非常に多いし。

表題作もそういった有名な作の一つ。
日本列島の上に突然現れた、オーでありゼロである“何か”の話。
基本設定こそ荒唐無稽だが、その“何か”のもたらす厄災はあまりに凄惨であり、正視に耐えない。
ところで、私はてっきり指輪と思って読んでいたが、確かにそれだと(楕円じゃなく)正円になってしまうから間違い。
アクセサリーに詳しい知人に尋ねたら、昔あったバネ式タイプなら楕円になるし、外れて落ちても輪が閉じるだろうとの事。

以下、感想の列挙。
『ダブル三角』 性別不定の三角関係。今時のジェンダー論に通じる。
『返還』 移民2世以降の立場がない。もっと言えば、昆虫とかに返すのが先かも。
『先取りの時代』 今、ランドセルとか1年以上前から探し始めるよね。
『イッヒッヒ作戦』 食事前後には絶対に読むべからず!
『仁科氏の装置』 自己肯定感の低い一方、承認欲求の高かった人なんだと思う。
『骨』 時間の逆転した世界。死にオチ。ホラー。
『墓標かえりぬ』 ドタバタ調なんだが、根本的にグロい。
『あれ』 高度経済成長時代でも、世の閉塞を嘆くのは変わらないと知る。

それでは。また次回。

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