好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。※かつては名探偵コナンと逆転裁判、今はシティーハンターとADV全般の話題が主。

『屍人荘の殺人』を読みました。(ネタバレなし)

2019-11-21 | その他ミステリ

『屍人荘の殺人』(by今村昌弘)、読了。

ハードカバーで初版が世に出た時、大いに話題になった事を記憶している。
ネット上では、とにかく凄い!という感想があふれる一方、
細かいネタバレは誰もが徹底的に伏せているという不思議な状況が、
長く気になっていた。

それが近々、実写映画化される事から、
書店で文庫落ちを平積みで見かけるようになった。
世間様で本格的なネタバレが広まる前に、
気分転換として、さっと読むかと手に取った。結果。


ページをめくる手が止まらず、読み終えるのが惜しくてたまらない夜だった。


ストーリーの出だしは、本格ミステリなら、ごくありふれた物。
ミステリ好きの大学生コンビが。とあるサークルの合宿に参加する。
まるでクローズドサークルのような建物で、あれこれあって。そして。

ここから先は、未読の方はとにかく読んでほしい。
確かにコレなら、ネタバレするのは野暮の極み。なるほど納得。

ただ、実写映画版はどうやら、原作から大幅に設定を変えている模様。
例えば『インシテミル』のように、作風からして違っているかも。
比較するのが待ち遠しいような、怖いような。

それでは。また次回。


病棟殺人は法廷へ。

2019-11-20 | その他ミステリ

映画『閉鎖病棟 それぞれの朝』を劇場へ見に行く。

今回はシュミで見た作品ではない。
社会的労働の一環で、チェックせざるを得ない状況になったため消化。
因みに原作既読。

ストーリーを説明すればシンプルだ。
タイトル通り、精神科の入院患者たちの群像劇。

この映画で特筆すべきは、出演者の演技に尽きる。
幻聴や妄想といった具体的な症状は真に迫る。
社会的に由々しき行動を取る事もあるが、登場人物は“概ね”好感を持てる。

問題点は、大きく二つ。

一つは、原作のジャンルがミステリだという事。
つまり、とにかく刑事事件が起きすぎる。
病院内だけで、飛び降り、放火、強姦、殺人。
病院外でも、不貞、殺人、性的虐待。あと、現実離れした死刑描写。

そしてもう一つは、作中の時代設定。
原作は1994年と定められているのが、映画では何故か2007年。
原作のフィルムカメラを、何で映画ではデジカメにしたのか。
彼が一人で端末使って紙焼きできるとは流石に思えないし、
証拠写真だって完全には消せない。
フィルムならネガを捨てればいいが、デジタルは復元できるわけで。
仮にもミステリなのに、整合性が弱いのは本当に残念。

それから個人的に、これだけは言いたい。

検事が証人に向かって「異議あり」言うのは、ゲームの世界だけ!

それでは。また次回。


推理小説オールジャンル勝負!

2019-11-17 | その他ミステリ

『大きな森の小さな密室(by小林泰三)、読了。

気軽に読める本を探してチョイス。
全7話の短編集。

「犯人当て」「倒叙」「日常の謎」
といったテーマを掲げた短編が並んでいる。

お気に入りは、最初の『大きな森の小さな密室』(「犯人当て」)。
じっくり注意して読めば、怪しい人が誰か、見抜ける読者は多いはず。
密室のハウダニットにこだわると答えが見えなくなる。

『正直者の逆説』は、まさに純然たる論理パズル。
ネット上の解説を読んでもサッパリ分からないのは、
私だけじゃないと思いたい。

その、ネット上の解説によると本作は、
他作品の『密室・殺人』や『忌憶』を読んでからの方が
より楽しめるようだ。
……読まねばならない本がまた増える、と覚書。ゼイタクな悩みだ。

それでは。また次回。


もつれ絡まる二つの世界。

2019-11-08 | その他ミステリ

『パラレルワールド・ラブストーリー』(by東野圭吾)、読了。

今年見そびれた映画の原作。
いつか読もうと、書店の平積みを買うだけ買って、長く後回しにしていた。
因みに、初出は1995年。

序盤の第一印象は悪くなかった。
併走する二つの列車で視線を交わし合う男女が、意外な形で再会する。

そこから……何だか分からなくなる。
奇しくも主人公が小説を読んでて「よく分からない」と言ってる場面が
あるのは、まさか自虐ネタなんだろうか。

恐らく原因の一つは、なまじ作者に理系の知識が備わっている事。
「パラレルワールドに居るかのような記憶の混乱」があり得るかどうかを、
たぶん作者自身が一番信じてない。
そのため、そういった超常的な出来事を成り立たせるための専門用語ばかり
頻発され、肝心の部分――二つの世界の差異が後回しになってしまっている。
その上、二つの世界の時系列も、ごく微妙に交錯したまま流れていくため、
何だか分からない内に終盤になだれ込んでしまう。

最後まで読んでも、後味は良くなかった。
結局コレ、男女二人が、男一人を追いつめて苦しめただけじゃないかと。
今までの東野作品は、読んでスッキリ氷解する物が基本と思っていたから、
個人的には残念でした。

それでは。また次回。


警官も人の子、という物語。

2019-10-25 | その他ミステリ

『雪虫』(by堂場瞬一)、読了。

堂場作品を読むのは初。 
「鳴沢了」シリーズ第1作。

「競馬シリーズ」(byディック・フランシス)のような
漢字二文字の熟語タイトルが気になってはいた。

読むのをためらっていた理由は単純。 
警察小説、苦手なんです。

事件の構造自体はシンプル。
50年前の事件と現在の事件とのつながりは、 
早い段階で、或る程度まで察せる。 
が、当然と言えば当然。
そもそも、私が頻読する本格路線とは作風が違うのだから。

「警察もの」で扱われるテーマは事件そのものでなく、 
そこにまつわる数々の確執だ。
地方と中央、所轄と本部、階級の上下、世代の差。
そして、「人間である前に警官」という理想と、
「警官である前に人間」という現実。 
それで大抵は、これが現実なんだと悲しい答えを突きつけられる。

シリーズの続きを読むのは、もう少し先になりそう。
スポーツものの『8年』は読んでみようと覚書。

それでは。また次回。


アヒルと鴨は何が違う?

2019-09-27 | その他ミステリ

『アヒルと鴨のコインロッカー』(by伊坂幸太郎)、読了。

オススメのミステリとして紹介されているのを見かけてから、
何年も図書館で借りそびれ、結局古本屋で買った。
(『死神の精度』と同じ経緯)

実は、途中まで読んだところで暫くページを止めてしまっていた。

この物語は、現在の語り手である「椎名」と、
2年前の語り手である「琴美」とで、交互に進められていく。
この内の「琴美」の方で取り上げられる
ペット殺し事件があまりにもおぞましく。
直接描写はないものの、だからこそ想像力が刺激されて耐えがたく。

それでも何とか堪えて読み進めていく内に、
ネタバレだろう領域に入った時に、
なるほど確かにヒザを打った。
タイトルにある「アヒルと鴨」の意味を思い知った。
ただ、「コインロッカー」の方は未だによく分からない。
ラストシーンに出てはきたけど、もっと深い意味があったりするのかな。

それでは。また次回。


高校生探偵 in 80's。

2019-08-11 | その他ミステリ

『アルバイト探偵(アイ)』(by大沢在昌)、読了。

全4話の連作短編集。

男子高校2年生男子の冴木隆(さいき りゅう)が、
私立探偵の父親・涼介の依頼を手伝い、または代行する物語。

彼らの住んでるアパートの名前が「サンタテレサ」だったり、
喫茶店の名前が「麻呂宇(マロウ)」だったり、
分かる人にはニヤリとする小ネタが散りばめられてる。

因みに初出は1986年、つまり昭和61年。
今から約30年の隔たりがあるわけだが、
それにしたって、この隆の奔放さには目を丸くした私。
酒も煙草も単車も女も難なくこなすハイスペック。
昔の自分だったら眉をひそめただろう描写もしばしばあった(苦笑)。

私が驚かされたのは、大沢氏の文章の多彩さである。
書かれた時代を差し引いても、
『新宿鮫』や『俺はエージェント』と全く違う。

今後は涼介の過去と、隆の生い立ちが少しずつ明かされていくのかな。
時間をかけて読み進めていきたい。

それでは。また次回。


ベテラン私立探偵、事件に奔る。

2019-08-03 | その他ミステリ

『縞模様の霊柩車』(byロス・マクドナルド)、読了。

1962年作。
マクドナルドは、チャンドラーやハメットや、そしてパーカーと並ぶ、
本格的ハードボイルドの代表。

主人公の私立探偵、リュウ・アーチャーは、
(当時の)40代ゆえに老境寄りの振る舞い。

依頼人は或る夫婦。
娘の付き合ってる男性を調べてくれと言う一見普通の内容。
その男性の素性を追い、捕らえるまでが第一の段。
本番はその先。
登場人物がどんどん増えて、紹介一覧のページと首っ引きになる私。
洋物は、名前を覚えられないのが毎回ネックだ。

あまりに話の風呂敷が広がって、これ収拾がつかないんじゃないかと
(私が)思い始めたところで次の展開。
自分としては、ここから先が、この作品の真骨頂。

たった一つの証拠品と、序盤に堂々と書かれていた伏線とが結びつき、
真犯人が浮かび上がっていく。
さあこれで解決だ、と思ったところから繰り返す新展開の波も楽しめた。
後に調べ直して、リュウ・アーチャーのシリーズ第1作の
タイトルも押さえた。
何度も言うが、今年はハードボイルド系の本、攻め続けるぞ。

それでは。また次回。


孤高の捜査官は新宿にて。(その2)

2019-07-14 | その他ミステリ

『新宿鮫 II 毒猿』(by大沢在昌)、読了。

口絵に新宿御苑が出てきた時点で、しみじみ感じ入ってしまった。
昔だったら、この図を見て冷静ではいられなかったはずだから。

本作は、私が未読時に想像していた「新宿鮫」の印象に近かった。
前作の本格路線から一転し、純粋な活劇が中心。
登場人物たちの関係図は、早い段階で全て明かされる。
台湾を発端とする、殺し屋と刑事とマフィアと、
彼らの事件に関わる事になる女性。

終盤は、新宿御苑が戦場と化す。
あるいは、一方的な殺戮の跡地か。
誰も倒せない殺し屋・毒猿(ドゥユアン)は、戦い抜いて世を去った。
残された女性が、台湾の海を見に行ける事を私は祈る。

90年代の新宿の時代背景を知る事が出来たのは大きな収穫。
都庁が移転した事で、社会は表も裏も大きく動いたというわけか。

ただ、感性の幼い私としては、残酷描写が少々きつい。
拷問とか爆弾とか、お手柔らかにしてもらいたく。
どうか今後、無事に読み進められますように。

それでは。また次回。


私立探偵、それは現代の騎士。(その2)

2019-06-28 | その他ミステリ

『誘拐』(byロバート・B・パーカー)、読了。

『ゴッドウルフの行方』と『失投』の間に当たる作品。

因みに1974年作。

恋人(ステディ)になるスーザンが初登場する作品と聞いていた。

邦訳タイトルを見た時点では、てっきり彼女がさらわれるのかと思っていたが、
「GOD SAVE THE CHILD」という原題を見て自分の勘違いを知った。

とある家庭で、行方不明になった子供を捜してほしい
という依頼を受けるスペンサー。
単なる失踪事件のはずだったのが、誘拐事件へシフトするものの、
最終的には、家庭問題へ行き着く。
途中で殺人事件も挟まったりしながら。

両親への感情に悩み苦しむ子供に、
スペンサーは文字通り体を張って戦い、自分の考えを投げかける。
他人のためにどこまで一生懸命になれるかどうかが、
人として大切な事の一つだと。

なお、スペンサーの飯テロぶりは本作も快調。
スーザンとの軽妙なやり取りも読んでいて心地いい。
出会いから結ばれるまでがスムーズなのも好みです。

それでは。また次回。