風の中でダンス

なんでもない毎日をちょっとメモしてみる。

初夏のディープインパクト<フィクション>

2006年12月14日 | Weblog
木々の葉をゆらす風の音を聞きながら彼は地平線を見ていた。しずかだ。仲間たちも午後の静けさにまどろんでいるのかもしれない。そんななかふと耳に懐かしいような足音が近づいてきた。「もしかして、あれは・・・」彼はじーと垣根の向こうを見た。やっぱり、それは懐かしい相棒だった。「ユタカさんだ!」「ディープ♪」彼はゆっくり歩いていった。「ちょっと知らん顔してみようかな・・・」
「あれ、ディープ・・・もう忘れたのかなあ?僕だよ、ぼくっ。でぃーぷだよね?君。でもいつものおでこの星がないじゃないか」
「ああ、あれね。あんまり目印になるからちょっと草で汚してみたんだ・・これがほんとのほしくさ
「なんだよ、ディープ。へたなしゃれをいってるじゃないか」
「ユタカさんには負けますよ・・・」
「元気だった?ほんと、久しぶりだなあ」ユタカはディープの首をなつかしそうに撫でた。
「ユタカさんも元気だった?最近は何に乗ってんの?いい馬はいた?」
「君ほどのはいないよ、ディープ。君は最高だったよ。誰もみてないからちょっと乗っててもいいかな」
「どうしようかな・・・はは、」ユタカはえいっとばかりにディープにまたがった。鞍のないディープに乗るのは初めてだ。
ディープはゆっくりと歩き出した。彼は思い出していた。ユタカと一緒にいろいろな場所で走ったことを。
飛行機にも乗った。あの時はちょっと悲しいことがあった。また飛行機に乗って帰ってきたあと、彼の周りはやりきれない重苦しい空気が淀んだ。その後、走ったときはとても気持ちよかった!みんなが彼とユタカの名をよんで大きな歓声が沸き起こった。やっぱり先頭で駆け抜けなきゃいけないんだ!

そんな日々を思い出しながら彼はまた、走りたい!と思った。

なんて思うんじゃないかなあ、ディープは。
本屋さんはディープ本でいっぱい
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ボーナスフィーバー | トップ | 今年の打ち身・・・ »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事