2018年のブログです
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河合隼雄さん編集の『ユング派の心理療法』(1998・日本評論社)を再読しました。
このところ、なぜかユング派が気になっていて、この本も本棚の隅に見つけて、読みました。
ちょうど20年前の本で、じーじも2~3回読んでいるはずで(?)、付箋も2種類の付箋があちこちに貼られ、アンダーラインも引かれているのですが、例によって、記憶はあいまいで、またまた新鮮な(?)気持ちで読んでしまいました。
面白かったです。
古い本なので、今は大家になった人達の中堅時代の論文が多いですが、みなさん、当時は日本に13人しかいなかったユング派の資格を取った人たちで、当時の熱意みたいなものが伝わってきます。
もちろん、中身もそれぞれ多彩で、深く、今読んでも勉強になりますし、いろいろと刺激されるところが多いです。
今回、印象に残った第一は、人と人が傷ついて出会う、という視点。
今はユング派でも、その後の展開がありますし、精神分析でも議論されていますが(北山修さんなども述べられています)、やはり大切な視点だろうと思います。
それと関連しますが、第二は、転移と逆転移。
互いに傷つきながら、治癒に至るという考え方は、なかなか意味深いです。
第三は、イメージの重要性。
無意識からのイメージに重きを置くユング派らしい論点だと思います。
総じてユング派は、私見では、人間の自然治癒力や無意識の治癒力に重きを置いているように思いますが(もちろん、一方で、無意識の破壊力についても警告をしています)、安易に陥らない、真摯で全体的な無意識との対話が大切になってくるように感じられます。
そして、ここには、精神分析がいうところのエロスや攻撃性との統合も含まれてくるのだろうと思います。
読んでいると、本当にいろいろな意味で刺激を受ける本で、さらに深く考えてみたいと思いました。 (2018 記)