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佐々木譲『警官の条件』2014・新潮文庫-組織の無責任さと男の生きざまを描く警察小説

2024年11月12日 | 小説を読む

 2020年11月のブログです

     *

 佐々木譲さんの『警官の条件』(2014・新潮文庫)を久しぶりに読みました。

 6年ぶり。

 例によって、細かいところは忘れていたので、またまた、ハラハラ、ドキドキしながら読んでしまいました。

 警察官三代目の真面目な主人公(佐々木さんの『警官の血』(上・下)(2010・新潮文庫)に登場)と、陰で「悪徳警官」と噂される派手な先輩刑事。

 この二人の警察組織における生きざまと組織の論理とのせめぎあい、そして、二人の男としての人生が描かれます。

 あらすじはあえて書きませんが、すごい小説です。

 佐々木さんは警察組織と暴力団を描かせるとぴかいちの作家さんですが、本当に詳しく、感心します。

 とてもリアルに読めます。

 そして、組織と個人の問題。

 佐々木さんの警察小説ではいつも焦点となりますし、また、マイクル・コナリーの描くボッシュ刑事などもいつも悩まされている課題です。

 もっとも、考えてみれば、これは社会的な存在として生きる人間にとっては、永遠のテーマかもしれません。

 どんな組織、会社であれ、そこで良心的に働こうと思えば、必ずどこかで直面するテーマなのでしょう。

 そこでどう振る舞い、何を大切にして生きるのかが、人生を決めるのかもしれません。

 運が悪ければ、命を落とす人もいるかもしれません。

 そういうギリギリのところで生きる人たちを描くからこそ、良質の物語になるのだろうと思います。

 せっかくの人生、後悔のないように精一杯生きていきたいと思います。         (2020. 11 記)

 


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