
2006年度作品。アメリカ映画。
香港映画「インファナル・アフェア」をボストンに舞台を移しリメイク。マフィアに潜入した警察官、警察に潜入したマフィアの息詰まる駆け引きを描いたサスペンス。
監督は「タクシードライバー」「レイジング・ブル」のマーティン・スコセッシ。
出演は「タイタニック」「アビエイター」のレオナルド・ディカプリオ。「ボーン・アイデンティティ」のマット・デイモン ら。
本作のオリジナル、「インファナル・アフェア」は優れた作品だ。
脚本は練りこまれているし、緊迫感にあふれていて、テンポもいい。メイン二人の俳優は存在感があるし、映像の見せ方も悪くない。傑作の部類に入る作品だと思っている。
そんな作品をわざわざリメイクする必要はあるのだろうか? オリジナルが好きなので見ることは決めていたが、そんな多少の危惧はあった。
まずは率直な感想を言おう。
単純におもしろかった。充分に楽しめる作品に仕上がっているのはまちがいないだろう。
その理由は素材がいいからにほかならない。アイデアは僕が傑作と思っている作品からとっているし、しかも監督はスコセッシ。つまらないはずがないのだ。
しかしオリジナルを越えているかと言ったらノーだ。
もちろん独自の味付けはしてあるし、ストーリーも多少いじっていて、前半部を丁寧に描いたのも好感がある。本作の方は連鎖的、かつ陰惨な悲劇として終わっている点が大きく異なっているだろう。
それはそれで全然悪くはない。なにも知らずに見たら、その重厚なストーリーに酔いしれていたかもしれない。
しかし、この映画はリメイクする必然性があったと思えるほどの作品には仕上がっていなかった。
同じ映画という土俵でつくった以上、オリジナルとリメイクを比較されるのは仕方ないと思っている。だからこそ、リメイクにはオリジナルを超える作品に仕上げてほしい。
映画単品として優れているから、★5をつけるけれど、不満の残る作品であった。ないものねだりなのだろうか。
評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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・マット・デイモン出演作
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