ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

朝食を抜いて医師国家試験に落ちた大学生

2017-06-18 17:51:04 | 医療
タンパク質の話のときに登場した自治医大の香川靖雄教授が語ったことだが、自治医大の
出身者で医師の国家試験を受けた人間を調べたところ、不合格だった受験者は、決まって
朝食抜きの習慣の持ち主であった。

自治医大は全寮である関係上、食事の管理がきちんとできる。右の事実が分かってからのち、
同大学では朝食を重要視するようになり、医師国家試験の合格率は郡を抜いてよくなったと
いう。さらに、同大学では1978年、79年に、朝食を抜く学生と抜かない学生との成績の
比較を行なった。両者の明瞭な差異は、「栄養学雑誌38」に見ることができる。

この現象も、脳の温度で説明がつく。その含まれる栄養に関係なく、食事をすれば体温が
上がる。そのピークは約一時間後に来て、約三時間後に元に戻る。これを「食事の特異的
作用」と言う。結局、食事を摂って一時間後に試験会場に入るのがベストコンディションと
いうことになる。朝食抜きの人間が不合格だったと気づいたことは、お見事と言うほかはない。

食物が口に入れば咀嚼が始まる。そこでは神経伝達もあり筋肉収縮も起こる。そして
消化酵素の生産もあり分泌もある。さらに胃の筋肉の活動もあり、さらに数種類の消化酵素
生産もある。これらの物理的・化学的変化では、すべてエネルギーが消費されている。

一般にエネルギー消費は、必ずエネルギーのロスを伴うという大原則がある。たとえば
電球のフィラメントに電流を流すと、その電気エネルギーはけっしてすべてが光になるわけ
ではない。エネルギーのロスは熱エネルギーの形を採る。だから電球は熱くなるのである。
このエネルギーの損失が人体でも起きる。それが食物の得意作用なのだ。

食物の特異的作用と呼ばれる体温変化は、それに並行する形で脳の温度変化を惹き
起こす。その結果、知的作業能力も変化するのである。
 
その知的作業能力の向上は、医師の国家試験という難関が突破できるかできないかを
分けるほど大きなものだったのである。

─『脳細胞は甦る 分子栄養学が明かす活性化の原理』三石巌著 
 クレスト社刊

■分子栄養学を踏まえての食物のとり方は、すばらしいものだ。自然食の良さの根拠に
なるものだと思う。なぜ、昔からの食べ物が身体に良いのかは、分子栄養学から
みると理にかなっているということが判るような気がする・・・

以前に紹介した、三石氏の文を取り上げてみる。

「脳が必要としているのは、ただ一つ、ブドウ糖だけだ。砂糖は、そのブドウ糖の
有力な供給源になる。だから、頭を使う仕事をしている人や受験生は、積極的
に砂糖を食べて自分の「脳力」が全開になるようにすべきなのである。

ブドウ糖が不足していると、それを補うために肝臓がブドウ糖を作りはじめる。
糖新生と呼ばれる働きである。その際、骨格から取り出されたタンパク質が
材料として使われる。それをわざわざブドウ糖にかえるわけで、そのためには
多大なエネルギーが消費される。エネルギーが大量に発生すれば活性酸素
も大量に発生する。それを避けるためにも、十分なブドウ糖を摂取しておく
必要がある。

なぜ、砂糖罪悪感が広まったのか
もちろん、ブドウ糖の供給源は砂糖だけではない。即効性という点では砂糖
がベストだが、米飯やパンなどが持っているデンプンもブドウ糖を含んでいる。

とくに朝は、ブドウ糖を十分に含んだ食品を食べなければいけない。朝食を
抜くなどもってのほかだ。そんなことをしたら、いわば「脳死」状態で仕事や
学校に出かけていくようなものである。頭がボーッとしたままスタートしたのでは、
ろくな一日にはならないことだろう。

すぐに頭をフル回転させたかったら、なるべく朝食に甘いものをたべたほうが
いい。ご飯一膳、パン一枚でもいいから、かならず食べるようにする。どうしても
時間がなければ、バナナ一本でも構わない。
「甘さ控えめ」がありがたがられるご時世だが、世の中、そんなに頭を使い
たくない人が多いのだろうか。」

これを読めば朝食をとる大切さがわかる。

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