ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

人とつき合う上で、日本人に欲しいのは──河盛好蔵

2016-06-29 19:25:11 | 知恵の情報
人とつき合う上で、日本人に欲しいのは、エスプリよりユーモアであるように思われる。
機知縦横で、他人の悪口に巧妙で、世相について毒舌を弄する人は日本人のなか
にも決して乏しくない。

しかし、彼らの毒舌は妙に人の心を冷たくする。他人の欠陥を突く目は実に鋭いが、
自分自身に対してはひどく点が甘いから、聞いているうちに、本人の根性のケチ臭さが
だんだん見え透いてきて浅ましくなってくる。
もともと風刺というものは、われわれに圧迫感を与える強力な存在に向けられるものであり、
またそれであればこそ意味があるのであるが、徒に自分だけをえらく見せようとする
頭のよさは、エスプリにしても、あまり高級なエスプリとはいえないだろう。

たしかに日本人には自己を他人の目で眺めることのできる感覚に乏しい。われわれの
ユーモアは、「言葉でひとの精神をくすぐる技術」以上には出ていない。他人の愚かさを
笑う前に、まず自分の愚かさを笑うことから始めたら、われわれのつき合いは、もっと
なごやかなものになるにちがいない。

─『人とつき合う法』河盛好蔵~『古典の知恵 生き方の知恵』古今東西の珠玉のことば2 
  谷沢永一著 PHP研究所より

枡添氏のことで、マスコミに踊らされると大衆は簡単に他人の愚かさを笑う、ということが
よくわかった。インタビューを見ていても相手の愚かさは笑うが自分もずるいところが
あるとか、相対的な捉え方をする人は、いなかった。

河盛氏のように「日本人が自己を他人の目で眺めることのできる感覚に乏しい」とは
思わない。この感覚は、人間が本来持っている感覚だと思うから。相手の立場になれない
というのは、昔に比べて物質文明が豊かになり、他人と助け合わないと生きていけない
という大事なことに気がつかなくなっているからではないか・・・

最新の画像もっと見る

コメントを投稿