「交際相手としては、決して愉快ではないが、しかし最も役に立つのは、敵であろう。
それは、彼らが将来友となる場合も間々あるから、というだけでない。とりわけ、
敵から最も多く自分の欠陥を率直に明示され、それを改めるべく強い刺激を受けるから
であり、また、敵は大体において、人の弱点についても最も正しい判断を持つからである。
結局、われわれは敵の鋭い監視の下に生活するときにのみ、克己、厳しい正義感、
自分自身に対する不断の注意といった大切な諸悪を知り、かつ行うことを学ぶので
ある。 ヒルティ」
─『幸福論』カール・ヒルティ 草間平作訳「幸福論第二部」岩波文庫
人を許すことは、なかなか難しい。相手を理解しているつもりでも感情がそれを
阻む。結局、自己コントロールをどこまでできるか、自分の生き方のさとりがどこまで、
進んでいるか、なのだろう・・・敵こそ学べる相手である、というのはよくわかる。
人間は自分をよく見てもらいたいし、自分が克己心をもっていきている姿を評価
してもらいたいものだ。そこへ、敵は、いやおうなく、神経を逆撫でするように口をひらく。
しかし、ヒルティのこういった敵に対する道理をとらえていれば、理性的になれる
ような気がする。そうして、自分の生き方をもう一度振り返るようになれば自分の
心は、穏やかになるのではないか・・・ブッダの八正道を学んでいて気がついたが
彼の正語の説明の中に「正しくものを語るというのは、愛と慈悲のある言葉を語る、
愛と慈悲をこめた語調で語る」という方法があり、はっとなった。「語調をこめた」というのは
自分が調整することである。感情に流されず、コントロールできるということをおしゃって
いるのだと思う。あくまで、語調を自分の意志で調整する。敵が師であるということや、
自分の生き方は、慈悲と愛であるという信念、意志で望めばきっと苦境は打開できるだろう。
それは、彼らが将来友となる場合も間々あるから、というだけでない。とりわけ、
敵から最も多く自分の欠陥を率直に明示され、それを改めるべく強い刺激を受けるから
であり、また、敵は大体において、人の弱点についても最も正しい判断を持つからである。
結局、われわれは敵の鋭い監視の下に生活するときにのみ、克己、厳しい正義感、
自分自身に対する不断の注意といった大切な諸悪を知り、かつ行うことを学ぶので
ある。 ヒルティ」
─『幸福論』カール・ヒルティ 草間平作訳「幸福論第二部」岩波文庫
人を許すことは、なかなか難しい。相手を理解しているつもりでも感情がそれを
阻む。結局、自己コントロールをどこまでできるか、自分の生き方のさとりがどこまで、
進んでいるか、なのだろう・・・敵こそ学べる相手である、というのはよくわかる。
人間は自分をよく見てもらいたいし、自分が克己心をもっていきている姿を評価
してもらいたいものだ。そこへ、敵は、いやおうなく、神経を逆撫でするように口をひらく。
しかし、ヒルティのこういった敵に対する道理をとらえていれば、理性的になれる
ような気がする。そうして、自分の生き方をもう一度振り返るようになれば自分の
心は、穏やかになるのではないか・・・ブッダの八正道を学んでいて気がついたが
彼の正語の説明の中に「正しくものを語るというのは、愛と慈悲のある言葉を語る、
愛と慈悲をこめた語調で語る」という方法があり、はっとなった。「語調をこめた」というのは
自分が調整することである。感情に流されず、コントロールできるということをおしゃって
いるのだと思う。あくまで、語調を自分の意志で調整する。敵が師であるということや、
自分の生き方は、慈悲と愛であるという信念、意志で望めばきっと苦境は打開できるだろう。