間もなく入試の季節。中学受験戦線の頂点に君臨する名門中学でも不祥事は起き、風説となって受験を考える親の不安を煽っている。そこで、学校説明会では聞きにくい名門校の裏事情について、各校に直撃。各校の説明からも、見えない校風が挟り出された。
開成168人、灘103人、筑波大附属駒場100人、麻布91人、桜蔭67人、聖光学院65人、駒場東邦61人、栄光学園57人……。
2010年の東大合格者数を高校別に並べると、上位はすべて中高一貫校である。これら名門中学と、ゆとり教育に汚染された公立中学を天秤にかければ、09年も首都圏だけで約6万人、小学6年生の5人に1人が、国私立(最近は公立も)の中高一貫校を受験する理由が、自ずと推し量られよう。
年が明けると西日本や千葉、埼玉の中学で入試が始まり、2月1日に東京、神奈川でも解禁になる。不況の影響で11年の受験者は、
「前年に比べ、4~5%減ると思われます」
森上教育研究所の森上展安所長はそう言いつつ、「しかし」と続ける。
「上位校はむしろ受験者が増加するでしょう。東大合格者数が伸びた学校が人気を集め、今年度は駒場東邦や攻玉社、聖光学院などです。高校募集をやめて完全な中高一貫になる海城も人気。女子校も、東大合格者が増えて学費も安い豊島岡女子学園でしょうね」
また、受験に詳しい精神科医の和田秀樹氏は、
「いい学校に来る勉強ができる子は、親もしっかりしていて、愛情もきちんと注がれていることが多い。だから、進学校では問題が起きる可能性が低い」
と言い、それは大学進学と並ぶ、親のもうひとつの期待である。が、むろん、名門校とて、問題がまったく起きないわけはない。「不祥事」を耳にして不安を募らせる受験生の親は多く、さりとて、学校説明会ではネガティブな質問はしにくい。そこで、各学校の知られざる“裏事情”について、学校に直接聞くことにした。
東京の“男子御三家”から始めよう。09年夏、開成高校3年生が自宅に放火、祖母を焼死させる事件が起きたが、その後、学校はどんなケアをしたのだろうか。しかし開成学園は、根橋敏郎教頭名の書面で、
「個人のプライバシーの問題でもあるので、お答えできません。そのつど適切に対応しております」
と答えるだけである。
次に、橋本龍太郎、福田康夫の両元首相や自民党の谷垣禎一総裁など、錚々たる顔ぶれが輩出している麻布中学。校則がほとんどない自由な校風で知られ、不祥事もよく聞こえてくる。
10年1学期に高校生が窃盗で退学になったとの話が伝えられたので、彦坂昌宏校務主任に聞いた。すると、
「退学者が出たのは7、8年ぶりですので、大きなショックに包まれました」
と認めて、説明する。
「学内で他の生徒の財布から数千円単位でお金が抜かれることが2、3カ月の間に多発したので注意していました。犯人がわかり、本人も認め、話し合いがもたれ、本人も学校には残れないとのことで自主退学の形を取りました。その後、校長が一学期の始業式で、自由には表裏一体で道徳的観念が必要だと改めて指導しました。本校では問題が起きると、必ず保護者と生徒に事態を説明します」
昨年5月、文化祭の後夜祭で生徒が投げたマイクが女子高生に当たりケガをさせた、という話もあるが、
「事実です。音楽に合わせのて数名の生徒がおもちゃのマイクを手に踊って最後に投げ、1つが女子生徒の顔に当たったのです。補償は生徒の保護者たちと学校によって済んでいますが、今後も綿密に連絡を取り合って、経過を伺っていきたいと考えております」
情報は包み隠さないという姿勢らしく、良し悪しはともかく、開成とは対照的な校風のようである。
続いては武蔵。
「在校生の保護者から“休講が非常に多い”と聞いて不安になっています」
と、ある受験生の母親が言うので、学校に問うと、
「保護者からの意見なども随時聞く姿勢をとっておりますので、取材の必要はないかと存じます」
残念ながら回答者は名前も名乗らない。森上氏は、
「武蔵はプライドが高い」
と言うけれど……。
10年の東大合格実績で武蔵の24人を大きく上回った駒場東邦では、10年夏に水泳部で、中学生に液体を飲ませるなどのイジメがあった、との情報がある。河内輝明教頭に尋ねると、
「うちの学校もイジメはありますし、万引きも起こります。そういうときはどこが悪いかなどを、生徒を集めて言い聞かせ、保護者にも事実を伝えます」
こう前置きして、言う。
「10年の夏休み、水泳部で集団のイジメがあったと発覚しました。苛められた生徒から9月頃、教員に申告があり、調査して事実と判明、間もなく当該クラブの保護者にのみ事情説明しました。ことさらに事を大きくしたくないという判断です。話に尾ひれがつくのが一番怖いのです。一方、生徒には、やったことがよいことか、悪いことか、それだけを考えさせました」
ちなみに中学受験塾の四谷大塚の偏差値は、開成71、麻布67、武蔵63、駒場東邦65。パラつきは小さいが、学校の対応には、偏差値では測れない差があるようだ。
続いては神奈川。同偏差値67の聖光学院は、徹底した受験指導で進学実績を急伸させてきたが、
「受験に直結しない理科の実験が少ないらしい」
と受験生の保護者は不安顔。ネットにもそんな書き込みが多いので、学校に聞いた。すると理科の教員でもある村山郁男教頭は、
「ネット情報にお答えするつもりはありません。理科の実験が少ないかどうかもお答えしません」
やはり神奈川で、偏差値63の浅野はどうか。09年10月、高校生が校舎から転落死したが、出井善次教頭と前田渉高校部長は、
「子供たちの気持ちを考えて対応し、お父様、お母様にも嘘偽りなく話すという基本姿勢は崩しません」
と言って、続ける。
「昨年、悲しいことに高校の生徒が1人、事故で亡くなりました。警察の判断は事故とのことです。早い段階で当該学年の生徒に説明し、続いて、他の学年に起こったことを説明し、3~4日、学校を休業にしました。その間にお父様、お母様方への説明集会を午前1回、夜2回行い、日が経ってからPTAや新入生、受験生の保護者にも説明しました。また、当該学年の全生徒と面談を行い、カウンセラーの数を倍にして心のケアを行いました」
逗子開成は09年、理事長が校長や教頭を解任、前教頭が理事長を提訴したと報じられた。袴田潤一校長は、
「訴訟があったのは事実ですが、お話しすることはありません。事実関係を申しますと、前理事長は09年末までが任期で、理事会評議会で選任されませんでした。前教頭は復職しています」
古傷に触れられたくないのは、08年2月に中学生がイジメを苦に自殺した多摩地区の桐朋も同様で、
「具体的な内容についてはコメントを控えたい」
と、荒井嘉夫高校部長名で返答するに止まった。当時、高校生だったOBは、
「なぜ起きたのか僕らに説明はなく、マスコミにも情報を出さないので、隠蔽だと考える生徒が多かった」
と話すのだが……。
女子校はどうか。東京の“女子御三家”筆頭、桜蔭では、成績不振者に他校への転出を奨めると言われている。真偽を質すと、マスコミの取材には、原則として答えないのだそうで、
「知りたい人は保護者会にくればいい」
豊島岡女子学園では、鬱病を理由に解雇された女性教諭が、裁判で解雇の無効を訴えている。学校は、
「係争中で答えられない」
と言うので、原告である元教諭の支援者に聞くと、
「03年頃、校内で盗難が多発し、保護者から被害届を出したいと相談されて上司に話すと“被害届は出さないでもらえ”。1人で対応させられているうちに、鬱病と診断され、業務多忙でさらに悪化……」
10年は、東大に24人が合格して話題になったが、そこに至る過程には、いろいろ苦労もあるようだ。
関西の中高一貫校で不祥事というと、06年に高校1年生が自宅に放火、義母と弟妹を焼死させた東大寺学園を思い出す。東大と京大を合わせて100人以上の合格者を出している名門だが、櫟原聰教頭は、
「問題が起きれば、責任のある地位のものが応対させていただくつもりです。大きな事件以外では、たとえばイジメを受けたら、担任を中心にカウンセリングの場がもたれます。苛めた側は厳しく処分します」
関西でトップの灘でも窃盗が起きたという。成田雅英教頭に尋ねると、
「本校は中1から高3まで担任団が替わらず、キメ細かに生活指導を行っています。ご指摘の通り10年、生徒による窃盗はありました。その生徒は本校に在籍中なので、詳しいことは教えられませんが、学年集会を開いて保護者への説明も行ったことは述べておきます」
兵庫で灘に次ぐ甲陽学院では最近、生徒が生徒を刃物で傷つけた、という。
「9月の文化祭の準備期間、仲間うちで言うことを聞く、聞かないという諍いの中で、その生徒が篆刻刀を相手に向けてしまった。不慮の事故に近いと思っていますが、当事者の親を学校に呼んで説明した上で、加害生徒は自宅謹慎にしました。その間、担任が毎日、自宅を訪問、ケアしました」
大川貴史教頭がそう答えたが、ここも東大と京大を合わせ、100名近く合格している名門校である。
それにしても、天下の名門校といえども様々な問題を抱え、日夜解決に腐心しているものである。
「不思議なもので、この取材対応の結果は各校の校風や、私たち専門家の間での評判と見事に符合します」
と、教育評論家の尾木直樹氏が驚いて言う。
「私が“いいな”と思うのは駒場東邦、麻布、浅野の3校。生徒の主体性を大事にする風通しのいい学校で、教師の質も高い。開成や聖光学院、武蔵はどうでしょう。開成や豊島岡女子、逗子開成の“係争中”や“プライバシー”という文句は、その通りですが、もう一歩踏み込んでほしい。桜蔭も残念。甲陽学院と灘は評価していいでしょう」
そして、こう続ける。
「情報開示は学校選びにおいて、極めて重要なポイントです。人間的な温かさや度量の広さ、良識レベルの高さなどで学校を選ばなければいけません」
偏差値万能からそろそろ脱すべき、ということか。
週刊新潮2010年12月30日・2011年1月6日新年特大号
開成168人、灘103人、筑波大附属駒場100人、麻布91人、桜蔭67人、聖光学院65人、駒場東邦61人、栄光学園57人……。
2010年の東大合格者数を高校別に並べると、上位はすべて中高一貫校である。これら名門中学と、ゆとり教育に汚染された公立中学を天秤にかければ、09年も首都圏だけで約6万人、小学6年生の5人に1人が、国私立(最近は公立も)の中高一貫校を受験する理由が、自ずと推し量られよう。
年が明けると西日本や千葉、埼玉の中学で入試が始まり、2月1日に東京、神奈川でも解禁になる。不況の影響で11年の受験者は、
「前年に比べ、4~5%減ると思われます」
森上教育研究所の森上展安所長はそう言いつつ、「しかし」と続ける。
「上位校はむしろ受験者が増加するでしょう。東大合格者数が伸びた学校が人気を集め、今年度は駒場東邦や攻玉社、聖光学院などです。高校募集をやめて完全な中高一貫になる海城も人気。女子校も、東大合格者が増えて学費も安い豊島岡女子学園でしょうね」
また、受験に詳しい精神科医の和田秀樹氏は、
「いい学校に来る勉強ができる子は、親もしっかりしていて、愛情もきちんと注がれていることが多い。だから、進学校では問題が起きる可能性が低い」
と言い、それは大学進学と並ぶ、親のもうひとつの期待である。が、むろん、名門校とて、問題がまったく起きないわけはない。「不祥事」を耳にして不安を募らせる受験生の親は多く、さりとて、学校説明会ではネガティブな質問はしにくい。そこで、各学校の知られざる“裏事情”について、学校に直接聞くことにした。
東京の“男子御三家”から始めよう。09年夏、開成高校3年生が自宅に放火、祖母を焼死させる事件が起きたが、その後、学校はどんなケアをしたのだろうか。しかし開成学園は、根橋敏郎教頭名の書面で、
「個人のプライバシーの問題でもあるので、お答えできません。そのつど適切に対応しております」
と答えるだけである。
次に、橋本龍太郎、福田康夫の両元首相や自民党の谷垣禎一総裁など、錚々たる顔ぶれが輩出している麻布中学。校則がほとんどない自由な校風で知られ、不祥事もよく聞こえてくる。
10年1学期に高校生が窃盗で退学になったとの話が伝えられたので、彦坂昌宏校務主任に聞いた。すると、
「退学者が出たのは7、8年ぶりですので、大きなショックに包まれました」
と認めて、説明する。
「学内で他の生徒の財布から数千円単位でお金が抜かれることが2、3カ月の間に多発したので注意していました。犯人がわかり、本人も認め、話し合いがもたれ、本人も学校には残れないとのことで自主退学の形を取りました。その後、校長が一学期の始業式で、自由には表裏一体で道徳的観念が必要だと改めて指導しました。本校では問題が起きると、必ず保護者と生徒に事態を説明します」
昨年5月、文化祭の後夜祭で生徒が投げたマイクが女子高生に当たりケガをさせた、という話もあるが、
「事実です。音楽に合わせのて数名の生徒がおもちゃのマイクを手に踊って最後に投げ、1つが女子生徒の顔に当たったのです。補償は生徒の保護者たちと学校によって済んでいますが、今後も綿密に連絡を取り合って、経過を伺っていきたいと考えております」
情報は包み隠さないという姿勢らしく、良し悪しはともかく、開成とは対照的な校風のようである。
続いては武蔵。
「在校生の保護者から“休講が非常に多い”と聞いて不安になっています」
と、ある受験生の母親が言うので、学校に問うと、
「保護者からの意見なども随時聞く姿勢をとっておりますので、取材の必要はないかと存じます」
残念ながら回答者は名前も名乗らない。森上氏は、
「武蔵はプライドが高い」
と言うけれど……。
10年の東大合格実績で武蔵の24人を大きく上回った駒場東邦では、10年夏に水泳部で、中学生に液体を飲ませるなどのイジメがあった、との情報がある。河内輝明教頭に尋ねると、
「うちの学校もイジメはありますし、万引きも起こります。そういうときはどこが悪いかなどを、生徒を集めて言い聞かせ、保護者にも事実を伝えます」
こう前置きして、言う。
「10年の夏休み、水泳部で集団のイジメがあったと発覚しました。苛められた生徒から9月頃、教員に申告があり、調査して事実と判明、間もなく当該クラブの保護者にのみ事情説明しました。ことさらに事を大きくしたくないという判断です。話に尾ひれがつくのが一番怖いのです。一方、生徒には、やったことがよいことか、悪いことか、それだけを考えさせました」
ちなみに中学受験塾の四谷大塚の偏差値は、開成71、麻布67、武蔵63、駒場東邦65。パラつきは小さいが、学校の対応には、偏差値では測れない差があるようだ。
続いては神奈川。同偏差値67の聖光学院は、徹底した受験指導で進学実績を急伸させてきたが、
「受験に直結しない理科の実験が少ないらしい」
と受験生の保護者は不安顔。ネットにもそんな書き込みが多いので、学校に聞いた。すると理科の教員でもある村山郁男教頭は、
「ネット情報にお答えするつもりはありません。理科の実験が少ないかどうかもお答えしません」
やはり神奈川で、偏差値63の浅野はどうか。09年10月、高校生が校舎から転落死したが、出井善次教頭と前田渉高校部長は、
「子供たちの気持ちを考えて対応し、お父様、お母様にも嘘偽りなく話すという基本姿勢は崩しません」
と言って、続ける。
「昨年、悲しいことに高校の生徒が1人、事故で亡くなりました。警察の判断は事故とのことです。早い段階で当該学年の生徒に説明し、続いて、他の学年に起こったことを説明し、3~4日、学校を休業にしました。その間にお父様、お母様方への説明集会を午前1回、夜2回行い、日が経ってからPTAや新入生、受験生の保護者にも説明しました。また、当該学年の全生徒と面談を行い、カウンセラーの数を倍にして心のケアを行いました」
逗子開成は09年、理事長が校長や教頭を解任、前教頭が理事長を提訴したと報じられた。袴田潤一校長は、
「訴訟があったのは事実ですが、お話しすることはありません。事実関係を申しますと、前理事長は09年末までが任期で、理事会評議会で選任されませんでした。前教頭は復職しています」
古傷に触れられたくないのは、08年2月に中学生がイジメを苦に自殺した多摩地区の桐朋も同様で、
「具体的な内容についてはコメントを控えたい」
と、荒井嘉夫高校部長名で返答するに止まった。当時、高校生だったOBは、
「なぜ起きたのか僕らに説明はなく、マスコミにも情報を出さないので、隠蔽だと考える生徒が多かった」
と話すのだが……。
女子校はどうか。東京の“女子御三家”筆頭、桜蔭では、成績不振者に他校への転出を奨めると言われている。真偽を質すと、マスコミの取材には、原則として答えないのだそうで、
「知りたい人は保護者会にくればいい」
豊島岡女子学園では、鬱病を理由に解雇された女性教諭が、裁判で解雇の無効を訴えている。学校は、
「係争中で答えられない」
と言うので、原告である元教諭の支援者に聞くと、
「03年頃、校内で盗難が多発し、保護者から被害届を出したいと相談されて上司に話すと“被害届は出さないでもらえ”。1人で対応させられているうちに、鬱病と診断され、業務多忙でさらに悪化……」
10年は、東大に24人が合格して話題になったが、そこに至る過程には、いろいろ苦労もあるようだ。
関西の中高一貫校で不祥事というと、06年に高校1年生が自宅に放火、義母と弟妹を焼死させた東大寺学園を思い出す。東大と京大を合わせて100人以上の合格者を出している名門だが、櫟原聰教頭は、
「問題が起きれば、責任のある地位のものが応対させていただくつもりです。大きな事件以外では、たとえばイジメを受けたら、担任を中心にカウンセリングの場がもたれます。苛めた側は厳しく処分します」
関西でトップの灘でも窃盗が起きたという。成田雅英教頭に尋ねると、
「本校は中1から高3まで担任団が替わらず、キメ細かに生活指導を行っています。ご指摘の通り10年、生徒による窃盗はありました。その生徒は本校に在籍中なので、詳しいことは教えられませんが、学年集会を開いて保護者への説明も行ったことは述べておきます」
兵庫で灘に次ぐ甲陽学院では最近、生徒が生徒を刃物で傷つけた、という。
「9月の文化祭の準備期間、仲間うちで言うことを聞く、聞かないという諍いの中で、その生徒が篆刻刀を相手に向けてしまった。不慮の事故に近いと思っていますが、当事者の親を学校に呼んで説明した上で、加害生徒は自宅謹慎にしました。その間、担任が毎日、自宅を訪問、ケアしました」
大川貴史教頭がそう答えたが、ここも東大と京大を合わせ、100名近く合格している名門校である。
それにしても、天下の名門校といえども様々な問題を抱え、日夜解決に腐心しているものである。
「不思議なもので、この取材対応の結果は各校の校風や、私たち専門家の間での評判と見事に符合します」
と、教育評論家の尾木直樹氏が驚いて言う。
「私が“いいな”と思うのは駒場東邦、麻布、浅野の3校。生徒の主体性を大事にする風通しのいい学校で、教師の質も高い。開成や聖光学院、武蔵はどうでしょう。開成や豊島岡女子、逗子開成の“係争中”や“プライバシー”という文句は、その通りですが、もう一歩踏み込んでほしい。桜蔭も残念。甲陽学院と灘は評価していいでしょう」
そして、こう続ける。
「情報開示は学校選びにおいて、極めて重要なポイントです。人間的な温かさや度量の広さ、良識レベルの高さなどで学校を選ばなければいけません」
偏差値万能からそろそろ脱すべき、ということか。
週刊新潮2010年12月30日・2011年1月6日新年特大号
それを集めて記事にするとか嫉妬以外の何者でもない