超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

「痴漢デッチ上げ」甲南大生の父親は「警察幹部」

2008-06-16 06:59:58 | 週刊誌から
 自首を迫る共犯の女に対し、被告が浴びせ掛けた罵声。それは蒔田文幸(24)の本性を如実に表していた。
「ふざけんな! 俺は絶対に自首なんかせえへん。お前が警察に言って、自首を取り消して来い。お前が自首したら俺は刑務所行きやんけ。そうなったら、お前ら家族も皆殺しにしてやる」
 この恫喝の様子が明らかになったのは5月29日。大阪地裁で開かれた蒔田の初公判でのことである。
 甲南大法学部四年生(退学処分)だった蒔田は、今年1月に大阪・道頓堀で女(31)をナンパし、彼女の家に転がり込む。そして2月1日、女を“被害者”に仕立て地下鉄・御堂筋線で痴漢をデッチ上げたのだった。
「女は社内で50代の男性に“触りましたね”と言って泣き崩れた。そこに目撃者を装った蒔田が現れ、3人は次の駅の駅長室へ。蒔田は警官に“あの男が痴漢です”と告げた」(社会部記者)
 男性は当時、両手をポケットに突っ込んでおり、全くの無実だったが22時間に亘って拘留されてしまう。
 その6日後、共犯の女が自首し、真相が白日の下に晒される。冒頭の脅し文句はこの直後に飛び出した。 
「大阪府警は3月11日に蒔田を虚偽告訴容疑で逮捕。取調べで蒔田は“金欲しさでやった”と自供した。“被害者”と“目撃者”が知り合いだとバレないよう、お互いの携帯から着信履歴やメールを消去していた」(同)
 法学部が聞いて呆れる偽装工作と稚拙な犯行。だが、2人の犯罪はこれだけではない。“痴漢事件”の2日前には、女が誘い出した男性を蒔田が恐喝する“美人局”にまで手を染め、すでに強盗未遂でも再逮捕されている。
 一方、“痴漢事件”で無辜の男性を拘留した警察には蒔田を巡って、さらに厄介な事情が存在するのだ。
 捜査関係者が声を潜める。
「実は、蒔田の父親は現役の京都府警幹部なのです。階級は警部で、所轄署の課長級。この父親に異動の内示が出たのは蒔田が逮捕される直前の3月7日。その後、21日付で別の署に移ったが、これが“左遷”人事と囁かれているのです」
 蒔田は04年末に交通事故を起こしているが、その直後にも“左遷”と思われる異動を言い渡されていた。
「真面目な好人物」(京都府警関係者)と評される父親。だが、不肖の息子の行状を正すことは出来なかった。

週刊新潮08年6月12日号


府警人事異動=京都 (2007/03/08)
 ◇9日付
 ◆警部
▽上京署交通課長(西陣署交通課長)小山裕文
▽同署警務課長(同署警務課長)松村克之
▽同署警備課長(同署警備課長)谷口純一
▽同署地域課長(同署地域課長)蒔田恒広

京都府警
(21日付)
【警部】
▽田辺交通課長(舞鶴交通課長)井上義秀▽木津地域同(亀岡地域同)戸田眞一▽木津刑事同(伏見地域課長代理)丸山堅司▽木津生活安全同(生活安全対策課長補佐)上村一則▽亀岡地域同(地域課地域指導室長補佐)佐古田孝典▽南丹地域同(南地域課長)浦野誠▽南丹刑事同(刑事企画課犯罪情勢分析室長補佐)山岡利行▽綾部地域同(西京地域課長代理)原敬次郎▽綾部交通同(五条同)横山仁▽福知山警務同(宇治警務課長)山内善喜▽福地山地域同(上京地域同)蒔田恒広
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女の地獄  変見自在 高山正之

2008-06-16 06:59:09 | 週刊誌から
 裁判には裁判官が作った相場がある。
 一人殺すと求刑は懲役10年前後。裁判官は判決を、その7掛けにするというのが基本相場だ。
 これにむごい殺し方だとか逆に同情すべき点があれば5%の増減をつける。
 それで「罪と向かい合って生きなさい」と付け加えれば判決が出来上がる。
 実際の裁判もこの通りで、例えば横浜・伊勢崎町で古希間近の夫が若い妻に不倫をなじられ、ナイフで刺し殺した事件は求刑の7掛けで懲役7年だった。
 群馬・安中で理容業を営む妻をカネの恨みから夫が殺した事件は殺し方がひどかった。夫は鉄棒で殴って半殺しにし、灯油をかけて焼き殺している。
 求刑は15年で、判決は7掛けに惨さ5%を加えてぴったり11年だった。
 東京・足立区でNHKの集金人が妻をいたぶり、ついには殴り殺した。
 愛人も同居させるNHKそのものみたいな変態亭主は、その愛人に手伝わせて妻をバラバラにした。
 判決は懲役10年、殺人分が相場の7年、バラバラにした分が3年という計算で、日ごろの暴力は見逃してもらっている。
 この「バラバラは3年」も相場だ。お台場のマンションでフィリピン女性を殺して洗濯機で血抜きをした野崎浩の前科がそれを証明している。
 彼は8年前に当時交際していた女性をバラバラにした廉で裁かれた。
 日本の裁判官は指紋とかの状況証拠を好む。考えないで済むからで、高度な状況証拠は頭が痛くなるので採用しない。
 だから野崎が女性を殺した状況証拠は却下し、バラバラにした分だけで懲役3年とした。ただ殺害は間違いなさそうで、それを加味して3年6月とした。
 裁判とはその程度のもので、だからストーカーしながらでもこなせる。
 ただ、これは男が犯人の場合で、女にはこの相場は使わない。
 例えば福田和子の場合、彼女はカッとなって同僚を殺してしまう。彼女は名を変え、顔も変えて時効ぎりぎりまで逃げ回った。
 逃亡は犯罪者の心理として当然で、それで罪を重くされることはない。
 それに彼女には情状もあった。18歳のとき悪い男につまずき、盗みの手伝いをして捕まった。
 その未決拘留中、彼女は房内で強姦される。収監中の暴力団組長が看守を買収して刑務所内で飲んだり打ったり好きをやった。
 いわゆる松山刑務所事件だが、組長はこのとき彼女に目をつけ、看守に房を開けさせ暴行した。
 彼女が世間に不信感を持つに至った原因だ。
 そんな情状も踏まえればまあ5年でもおかしくないが、判決は仰天の無期懲役だった。
 96歳の母が知的障害の息子の先行きを思って道連れ心中を図ったが、息子だけが死んだ。
 名古屋地裁はそんな母を1年間、拘留させたうえ3年の実刑を宣告した。女に情けは無用。白寿は刑務所の麦飯で祝え、と。
 東京・渋谷で夫を殺して遺体をバラバラにした三橋香織はどうか。
 夫は家庭内暴力の常習者で、彼女を拳骨で殴り、鼻の骨も折っている。
 裁判では検察、弁護側双方が彼女の精神鑑定を行い、「夫からの絶え間ない暴力にさらされ一時的な心神喪失の状態にあった」との鑑定結果が出されていた。
 米国で判例として確定している「殴られる妻症候群」と同じ内容だ。
 男の相場ならバラバラ分が3年。殺しが7年だが、心神喪失を考慮してこっちは無罪。合わせて3年というところか。
 しかし河本雅也裁判長は職権でその鑑定をボツにして懲役15年とした。
 女は原罪を背負うというユダヤ教徒もここまでは差別しない。
 同じ渋谷で兄が妹を殺してバラバラにした。
 同じ地裁の秋葉康弘裁判長は懲役17年の求刑に対して、殺人分は相場通りに7年と計算。
 しかし、バラバラ分については「15にも切り分けた獰猛さはまるで別人」という鑑定を根拠に「別人格の犯行」だからゼロとした。
 というわけで判決は香織の半分の7年だった。
 偏見のない、まともな神経を持った裁判員が待望される理由がここにある。

週刊新潮08年6月12日号
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする