超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

「海外脱出」中国人がカナダで大暴走 ノンフィクション作家 河添恵子

2008-08-07 17:12:57 | 週刊誌から
高級マンションはゴミだらけ
市民プールは浴場に…。
中国移民に“占拠”された悲劇

かつて日本人商社マンに駐在希望地を聞けば必ずベストスリーに入ったカナダのバンクーバー。温暖で風光明媚なこの土地が、中国人移民を受け入れたばかりに、大変なことに。イナゴの大群のごとく、押し寄せた中国人は街を汚し、ルールを踏みにじり、そして……。

 北京五輪に向けて、世界中の中国人は一致団結して大会を成功させようと意気込んでいる――新聞テレビはそう伝えてきたが、本当にそうなのか?
「僕は民族主義者だから歓迎しているよ。でも上海人の僕はホテルをとらなくちゃ観られないだろ。北京のホテルはどこもバカみたいな値段。二〇一〇年の冬季バンクーバー五輪を観戦すればいいよ」(カナダへ投資移民した中国人)
 北京出身者ならどうか?
「興味なし。私のパスポートは、もうカナディアンだから、むしろ迷惑(笑)。ふだんなら帰省で三カ月滞在のビザが下りるのに、五輪期間中は一カ月に短縮されてしまったので」
 ……ホンネはこんなものだった。というのも結局、中国人にとっての最大の関心事は「カネ」。北京五輪に向けて急速に膨らんだバブル経済で、いち早くひと儲けした中国人たちは、五輪後のバブル崩壊を見越して、早々に海外へトンズラを決め込んでいたのである。
 カネさえあれば、中国人でいる必要はない、権利と自由を謳歌できる「外国人」になるに限る。以前からそういった行動形態をとってきた中国人にとって、五輪バブルは、「海外脱出中国人」を大量に生み出す大きな機会となった。
 しかし、パスポートは外国人になっても、彼らはあくまで「中国人」。あの手この手の「やりたい放題」で、現地人を駆逐し、世界中に「もう一つの中国」を作り続けている。
 パンクーパー市に周辺都市リッチモンドやバーナビー市などを含めた地域は「グレーター・バンクーバー」と呼ばれる。人口は約二百十三万人。そのうち約四十万人が中国系移民だ。
 なかでもリッチモンド市は人口の半数かそれ以上を中国系が占めている。すでに街の看板は中国語がメインで、英語の方が小さい。元日系スーパー「ヤオハン」の買い物客や、フードコートで軽食を取る人たちの九九パーセントが中国系という有様だ。
 リッチモンド市は、香港の中国返還が決まった八〇年代半ば以降、最初に香港人が移民した場所として知られている。「地名が、拝金主義者である中国人にとって縁起がいい」「街が海抜より低く地価が安かった」「風水的にもいい」などが、移民に好まれたようだ。
 ところが、五輪バブルが吹き荒れたこの数年は、「中華料理店が香港系から上海系、北京系に移りつつある」と言われ、中国大陸からの移民が幅を利かせている。
 そして、彼らが来たことで、かつて商社マンの駐在希望地の上位に必ず入っていた、バンクーバーの街が大変貌を遂げた。
「交通事故が増えた」
 そう顔をしかめるのは、三十年近くリッチモンドに暮らす日本人。最近起きた事件について話してくれた。
「中国で贈収賄の容疑をかけられ、大金を抱えてリッチモンドに逃げ込んできた中国人親子がいます。ボンクラ息子はBMWを買ってもらい、同じような中国人の仲間と、夜中にカーレースをやり、途中で、警察官をひき殺してしまったんです。これまで、平和で安全だった街が……と、住人らは少なからずショックを受けました」
 中国系の移民たちは、免許証は賄賂を渡して買うものだと思っているから、交通ルールを覚えようとすらしないのだという。
「運転が荒いので、すぐ中国系だと分かる。急にUターンするからそれを阻止するため、大通りの真ん中に花壇ができたほどです」(地元住民)
 ぶつけられでもしたら、もっと大変。
「一族郎党、現場にいなかった人間までが目撃者として警察に出頭し、まことしやかにウソ証言をする」(同前)
 公営プールでも近年、シャワールームが大混雑するようになった。原因は中国系の「入浴」。
「石鹸、シャンプー&リンス、歯磨きセットを持参し、素っ裸のまま体をゴシゴシ荒い、歯をガシガシ磨くんです。後ろに長蛇の列ができてもおかまいなし。白人系の人が、『いい加減にして!』と怒鳴っても、しらんぷりです」(バンクーバー在住の日本人)
 トイレ問題も浮上。あるビルのトイレに貼られたポスターは、便座の上に靴のまましゃがんで用を足しているイラストと、その上に大きなバッテン印が。
「中国人は洋式トイレで用が足せないらしく、便座の上にまたがってやるから、便座に靴跡が残るんです。さらに、水洗の習慣がないので、流さないから、トイレが異様に汚くなる」(ビル管理会社関係者)
 最近は、かつての「出稼ぎ」移民とは異なる、「投資移民」が目立つようになっている。とすれば一定の財産を持った富裕層も増えているはずだが、「衣食足って礼節を知る」とはいかないようだ。
 さらに、異常にケチでもあるらしい。美容院を四つ運営する日本人ディレクターは、「中国系移民が増えて売り上げは上がった」としながらも、こう話す。
「ベンツで乗りつけてくるリッチ層でも、ディスカウントには敏感です。それから、『自分の思い通りの髪型に仕上がっていない』とクレームをつけて、暗に値引きしろとか、無料にしろと迫ってくるパターンも目立ちますね」
 ここ数年、偽造の紙幣やカードが使われる事件も多発し、偽札鑑定機を導入したともいう。
 眺めが素晴らしい超高級コンドミニアムを購入したある中国人家庭は、家具のビニールを外さず、「太陽光線が家具や部屋を傷めるから」とカーテンも窓も締め切った状態で生活している。
「転売するときに、少しでも高く売ろうという魂胆でしょう」(不動産仲介業者)
 不動産投機は中国人の十八番ではあるが、もう一つ民族的な趣味といえるのがバクチ。街中にはカジノが続々と出現している。
「昼間から、ブラックジャックで目の色を変えているのは、中国人のオジサンとオバサン。バンクーバーにはディーラー養成の学校があり、そこでトレーニングを積むのも中国系ばかり」(地元住民)
 変化は大人の社会だけでなく、子どもにも及ぶ。
「中国人はおカネと同じくらい、教育を重視します」
 そう語るのは、中国系新聞社の女性記者。彼女自身、上海で生まれ育ち、オーストラリア→カナダ移民という経歴の持ち主だ。
「でも、カナダ(西欧社会)と中国の教育方針のギャップは大きい。カナダの学校はリーダーシップを養うことや、個性を伸ばすことに力を注ぐのに対し、中国人はテストの成績とランキングにこだわり、子どもを競わせたがります」(同前)
 その結果、バンクーバーの教育環境も、大きく変化してしまった。
「いまや奨学金をたくさん貰って大学へ進学する生徒の名字はチャン、ワン、そしてリーなど圧倒的に中国系です」(公立校へ通う娘がいた地元住民)
「教育は競争」と考える中国系移民は、習い事でも遺憾なく、その特徴を発揮する。上海で、株でひと財産作り、〇一年にカナダに投資移民として渡ってきたアイリーンは、バンクーバーで百七十年以上の歴史のある私立のガールズ・スクールに一人娘を通わせている。
「子どもには質の高い教育が重要。だから一人で十分。学費は年間二万ドル(約二百十万円)以上だけど、世界で最高のモノだけ与える」
 そう言って、娘にはバンクーバー一有名なピアノ教師の個人レッスンも受けさせている。
「授業料は一時間八十ドル(約八千円)で週二回。娘は十歳でグレード8、これは非常に高いレベル」
 と自慢げだ。近年、ピアノをはじめバイオリンなどの洋楽器群は、中国系に大ブレイク中の習い事で、発表会は「中国人が腕前を競い合う場」へと変貌した。欧州へ遠征しての豪華な発表会などまである。
 さらに、「職住近接」ならぬ「学住近接」が中国系の特徴であることも、白人系住民にとっては悩みのタネだ。イギリスの伝統や格式をくんだランキング上位の名門私立校の多くは、白人系富裕層が居住してきた高級エリアにある。そこに子どもを入学させた中国系移民たちが、住居も近くに求めるからだ。アイリーンも娘のために、ガールズ・スクールの近所にキャッシュで一軒家を購入している。
 そのため、いまや名門校やランキング上位校をヘソとする周辺の環境と民族構成が変わりつつある。
「以前は道路でホッケーをしたりして、遊ぶ子どもをよく見かけたが、最近はめっきりいなくなりました」
 という声も聞かれた。
 このような変化がありながら、なぜ、カナダはこれほど大量に中国系移民を受け入れているのだろう?
 それは日本にとっても他人事ではない。
「世界は人間の奪い合いをやっている。いい人材がカナダに必要」とブリティッシュ・コロンビア大学の学長が言うように、カナダにおける人材不足の問題は深刻だ。それは優秀な人材が待遇のいいアメリカにどんどん流出してしまうからだ。例えば医師はカナダよりも報酬の高いアメリカの病院での勤務を望む。看護師もIT関連もしかり。
 さらに、高齢化社会に突入したカナダが、産業を活性させ景気の好転を目指すには、どうしても若返りが必要になる。とすれば働き盛りで消費能力の高い移民、富裕層で投資や消費意欲の高い移民を歓迎するしかない。短期的にはバンクーバー五輪を控え、サービス業の従事者が圧倒的に不足、という問題もある。
 こういった需要と供給にぴったり合致したのが、改革開放経済で海外に出るチャンスを得た大陸からの中国人だった。
 彼らの流入で、確かにカナダ経済は活性化した。特に不動産はバブルを引き起こし、〇二年から昨年末までの五年間は、カナダ有史以来の未曾有の上昇率を記録。平均二倍以上に跳ね上がっている。
 いまやバンクーバーのダウンタウン、とりわけハーバー沿いは、空と海に同化したブルーのガラス素材の高層ビル群がこの数年でびっしり建ち並び、建築ラッシュは続いている。
「中国系の投資家は部屋を見ずに即決というケースも少なくない」
 とは大手不動産仲介業者の話。ブリティッシュ・コロンビア大学が広大なキャンパスを開発業者にリースし、開発が始まったのが約十年前。コンドミニアムが十棟建ち、二、三年前にさらに五、六棟増え、昨年夏にも四、五棟建った。
「三年ほど前、この物件を一カ月で二十組ほど案内した際は韓国系が十八組、中国系が二組だった。ところが昨年夏に売り出された物件の案内は九〇%以上が大陸出身の中国人だった」(別の不動産仲介業者)
 ここが注目された背景には、大学周辺が高級エリアで、かつキャンパス内にある公立校のレベルが高く評判だったから。前述の「学住接近」の格好のターゲットになったこともある。
 しかし、副作用も大きかった。それは、街並みが変化し、汚くなったということだけではない。民主主義国家であるカナダでは、市民権を獲得しさえすれば、政治の世界にも口出しできるからだ。
 バンクーバー島の南端、ビクトリア市の市長は中国系、リッチモンド市の地元有力議員も中国系で、国政にもかかわっている。
「中国語なまりのすごい英語でも、選挙に勝てる。数の論理に愕然とした」(白人系カナディアンを夫に持つ日本人女性)
 また、某メーカーの日本人女性社長はこう警鐘を鳴らす。
「日本人は順法精神があり、その国のルールを守る反面、『政治はお上に任せればいい』という考えで参加しない。中国系はそうではない。やりたい放題やっておいて、自分たちがマジョリティになると、こんどは自分たちに都合のいいルールを決めて、押し付ける。いまや人数も増えており、同じ利益に向かって団結するため、カナダ社会の影響力も増している」
 そのいい例が、あるマンションのオーナー組合に起きた異変だ。このマンションは毎月の共益費だけで千ドル(約十万円)を越える高級マンションで、もともと、白人系富裕層が主な住民だった。
「そこに中国系住民が入ってきたのですが、ゴミを踊り場に雑然と放り出したり、外からの美観を考えて、窓は白いカーテンかブラインドと決められていたのに、勝手に真っ赤なカーテンを下げたりして、組合で問題になっていました。しかし、彼らは聞く耳を持たなかった。それが、どんどん中国系住民が増えた結果、ある日、オーナー組合の過半数を抑えてしまい、マンションの内規を変えてしまったのです。共益費はカット、それまでいた管理人もクビ。たまりかねて、白人系の住民は出て行ってしまった」(前出・大手不動産仲介業者)
 同じことが、政治レベルでも起きる可能性がある。
「中国系議員は、金持ち優遇政策を考えているだけ。自分みたいな庶民には、だから関係ない」
 こう語るのは、日本で映像カメラマンとして数年間働いた後に「パスポートを求め」てカナダへ移民した北京出身の中国人。
 数の論理でムリを押し通す中国人のやり方は、一党独裁の中国にいたときには通用しなかったのに、民主主義の発達したカナダに来れば、まかり通ってしまう。
 北京五輪と二〇一〇年の上海万博を無事に成功させてあげることで、中国が先進国の仲間入りを果たし、日本にとっても付き合いやすい相手になる――そんなノンキなことを主張していたメディアもあるが、それは、あまりにトンチンカンな願望ではないか。
 中国人が豊かになればそれだけ、世界中に「新しい中国」が出来、数の論理とカネの力で災厄を振りまくだけなのである。
 中国人の世界規模の大暴走は始まったばかりだ。

週刊文春08年7月31日
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中国でスパイと名指された外務省高官の「正体」

2008-08-05 15:03:51 | 週刊誌から
<次の中国課長にスパイの疑い>
 七月十四日、中国の大衆紙「環球時報」が穏やかならぬ大見出しで、日本外務省の次期課長人事を問題視した。“間諜課長”と名指しされたのは、垂秀夫・南東アジア第一課長だった。

 同紙は、垂氏が八月一日に中国・モンゴル課の課長に就任する可能性が高いとし、「スパイを採用することはとても奇怪」であり、「外務省は検討を重ねて最後の決断を下してもらいたい」と締めくくっている。
 この記事は瞬く間に中国のネット新聞に転載されたが、「スパイ」と名指ししたきっかけは、今年三月十一日付の読売新聞が一面トップで報じた事件だった。
 〇五年春、北京市内の中国人マッサージ業者が中国の情報機関、国家安全当局に拘束された。翌〇六年、この男性は非公開裁判でスパイ罪に問われ、無期懲役が確定。男性は中国共産党の指導者用電話帳を知人から入手してコピーし、日本の「現外務省幹部と書記官」に渡していたとされる。この二人の外交官を、裁判所は「日本のスパイ要員」と断定したというのだ。
「読売記事の中の“幹部”とは垂のことだと、省内で噂になりました。ただ、二年前の非公開裁判が今になって報道されたのは、中国側が揺さぶりをかけるために情報を流したからだと言われています。五月の胡錦濤訪日前に、諜報機関が仕掛けた情報戦だ、という見方が省内では広まっていました」(外務省担当記者)
 中国が「スパイ」と断じ、次期中国・モンゴル課長として「不適切」という垂氏とは、一体いかなる人物なのか。
 京大法学部の故・高坂正尭ゼミで、垂氏の後輩に当たる前原誠司・前民主党代表はこう語る。
「垂さんは、中国寄りと言われがちな外務省のチャイナスクールにあって、チャイナスクールではない。人物、見識、知識、すべて立派な方で、日本の外交を進める上で大事な人です」
 実は、垂氏は北京の対日担当者の間では名の知れた外交官である。在北京の日本大使館で一等書記官を務めた後、香港総領事館領事、台湾の交流協会で総務部長などを歴任し、現職に就いた。
「香港時代も北京に飛んで情報機関と接触していた。危険な橋を渡ることがあるのか、チェーンファックスといって延々とファックスを送り続けられる妨害工作に遭ったこともある。後輩たちからは『すごい人だ』と尊敬されていました。本人は、『俺みたいな人生を目指すべきではない』と笑ってはぐらかしていましたが」(外務省関係者)
 台湾政界の関係者も、
「当時の与党の民進党に積極的に食い込んでいた。口数は多くないが、キレ者だった」と口を揃える。
「垂さんが離任するとき、台湾政界・官界から大勢の人が集まり、盛大なパーティーが開かれました。総務部長のお別れ会としては異例のことです」(在台湾記者)
 外務省でも、オフィスにいるより外で活動することが多く、相手が先輩だろうと「その情報は違う」と平然と言ってのける、官僚には珍しいタイプ。情報の確度から外務省幹部の信頼は厚く、また、中国側とも深い関係を築き上げ、日中双方のバランスの上で動いていたという。
 なぜ垂氏は非情にも「スパイ」と名指しされたのか。起訴休職外務事務官の佐藤優氏は、「中国側の脅し」と指摘する。
「私も垂氏の外交能力の高さをよく知っていますが、だからこそ、中国側は警戒するのです。外務省の課長が戦略を握っていることを、中国は知っている。今の秋葉剛男課長はタフネゴシエイターで、戦略的互恵関係を打ち出して成功していますが、次の課長は弱腰の方が中国にとってやりやすい。中国の手の内を知った課長ではやりにくいからクレームをつけるのです」
 人事を巡っては、今も省内に、中国に対して気を遣う声があるという。だが、毛沢東もこう言っているではないか。
「敵に反対されるのは良いことだ」と。

週刊文春08年7月31日
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居酒屋タクシーだけじゃない 霞が関官僚 コンビニも一割引

2008-08-05 15:03:06 | 週刊誌から
「役所のコンビニには割引制度があります。特に財務省内の店は値引率がいいので、何かと買いに行きますね」(内閣府の女性職員)
 コンビニといえばどの店舗も値段は同じ、と思ったら大間違い。“居酒屋タクシー”がバレたばかりの霞が関官僚だが、庁舎内のコンビニでもおいしい思いをしていたのだ。

 財務省地下一階にあるエーエム・ピーエム。品揃えは街で見かける店と全く変わらない。ただし利用できるのは、職員や入館チェックをパスした来訪者だけ。店内を見回すと、缶コーヒー百二十円、ボールペン百五円など、値札は外のコンビニと変わらない。
 ところが、レジを通すとレシートに違う値段が打ち出された。缶コーヒー百八円、ボールペン九十四円。なんと一一%引きである。弁当や化粧品も割り引くのだから、昼時に長蛇の列となるのは当然だ。
 あるコンビニエンス・ストア幹部が首を傾げる。
「基本的に、キャンペーン商品も含めて本部推奨価格をつけるもの。店独自に割り引くことは珍しいですよ」
 同じエーエム・ピーエムでも総務省内は弁当、ジュースに限って二十円引き、厚労省内は七%引き。外務省のファミリーマートは五%引き。経済産業省のセブン‐イレブンや農水省のローソンのように割引のない店舗もある。
 こんなのあり? と問い合わせると、財務省は、「値引きの理由は事業者の判断で、営業努力などによるもの」(会計課)。エーエム・ピーエム・ジャパンは「省庁との取組みのため、お答えしかねます」(広報)という。でも、営業努力ならどこの店舗でも同じだろう。
 疑惑を追及する長妻昭衆院議員が解説する。
「職員の福利厚生を理由に、共済組合が庁舎の一部を無料で借り受け、それをコンビニにタダで提供しているのです。だから割引がある。本来なら、テナント料をきっちり取って国庫に入れるべきで、私は二〇〇三年度にこの点を指摘しましたが、その時点で、全国の国の施設に入る店舗の半分以上がテナント料を払わずに入店していました。
 翌年に財務省の通達が改正され、テナント料を取るようになったはずですが、いまだに割引があるとは驚きました」
 ところがどっこい、テナント料は取るようになったものの、いまだに格安で提供されているのだ。
 財務省は昨年公募を行い、エーエム・ピーエムが年間四百八十万円のテナント料を払って入店するようになった。だが、これは相場の三分の一以下。他省も同様に安い賃料で提供しているので疑問をぶつけると、各省とも「通達に基づき、コンサルタントと相談して決めている」と胸を張った。
「福利厚生をやめろ、とは言わないが、国民感情を考えれば、相場の賃料を取って国民に還元すべきです」(長妻氏)
 霞が関を歩くと、割引店が続々見つかった。国交省や経産省に置かれる自動販売機は、五百ミリリットルのお茶(百五十円)が百円に、缶コーヒー(百円)が八十円。文房具店も、総務省は「全品一割引。合計三千百五十円以上なら二割引」、厚労省は「全品三〇%引き」。農水省の売店では「リーガルシューズ二〇%オフ」などなど。
 いっそのこと、官僚の給料も三割値引きで――。

週刊文春08年7月31日
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