超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

中村うさぎ この国の復興のために「宗教法人、税金払ってよ」

2011-07-14 02:11:04 | 週刊誌から
国におカネがない。震災復興のために、所得税や法人税の増税も検討されている。もし、「人の心を救う」のが宗教法人の本当の役目ならば、今こそ力を貸してほしい。国も、真剣に考えてみてはどうか。

 宗教法人の活動について、忘れ難い思い出があります。十数年前のこと。荻窪の駅前で地味ぃーな女の人に「変化の相が出ています」と呼び止められました。面白そうだったのでついて行くと、たどり着いたのは統一教会系の施設。そこで、あなたの先祖は人殺しだのなんだのと散々なことを言われ、案の定、数珠を売りつけられそうになったんです。
 値段は40万円。なんでも私のご先祖が決めた値だというのですが、当時の私はまさに買い物依存症のピーク。「おかしいなあ、ご先祖ならおカネがないのはわかっているはず」とクビを傾げると、25万円に下がり、もう一度傾げるとまた下がった。これを繰り返していたら、「4万円。ご先祖様がこれ以上ビタ一文負けるなとおっしゃっています」とため息をついたので、腹がよじれそうでしたよ(笑)。
 結局、数珠は購入したもののクーリングオフしてしまいましたが、消費者センターの人が「4万円は安い。そこまで値切ったのなら、なぜ買ってしまったんですか」と驚いていました。ほとんどの人が60万~200万円も払っているそうなんです。いったいどれだけ儲けているんだ。
 後に、宗教法人の活動は非営利なので税金を払わないと知ったのですが、どこが非営利なのかと腹が立った。数珠を購入したのは信者ではなく、明らかにキャッチセールスで引っかかった人たちでしょう。キャッチセールスの良し悪しはともかく、営利活動ですよ。
 これが、宗教法人が非課税であることがいかにおかしいか、私が身を以て体験したことでした。

 現在日本に存在する宗教法人は18万超。これらが行う祈禱や神棚の販売といった宗教活動は非営利とされ、収入を得ても課税されない。この優遇措置について、最近、自らが司会をするテレビ番組で疑問を呈したところまったく無視されてしまったという作家・中村うさぎ氏に話を聞いた。

 コトの発端は先月、私が司会をしているCS放送の番組『ニュースにだまされるな!』(朝日ニュースター)でのできごとです。現役閣僚や大学教授といった錚々たるたるゲストを迎えて、この日は東日本大震災の復興ビジョンについて、あれこれご意見を伺っていました。
 番組では復興財源について、侃々諤々の議論に。そこで私は、素朴な疑問を投げかけてみたんです。
「この際、宗教法人非課税というのを見直してみたらどうなんでしょうか」
 これは日頃から思っていたこと。この国は震災前から不況にあえいでいるので.あって、民主党政権になれば、自民党だか官僚だかによって隠され続けてきた「埋蔵金」が白目の下に晒されるという触れ込みでした。然るに、この国難にあっても出てこないところを見ると、埋蔵金なんてなかったんだと思います。本当にこの国にはカネがないわけ。だとすれば、宗教法人にも税金を払ってもらおうよ。そもそも宗教は人を救うために存在しているんでしょ。

 宗教活動にまつわる収入が非課税であることに加えて、宗教法人にはさまざまな税制上の優遇措置が取られている。
「宗教法人が飲食業や運送業などの収益事業を行った場合、宗教活動以外のそれら収益事業で収入を得た場合でも、その税率は22%と、一般法人より8%も優遇されています。さらに固定資産税、不動産取得税、都市計画税、法人事業税なども非課税なのです」(ジャーナリスト・山田直樹氏)
 すべての宗教法人に収支報告書を出す義務があるわけではないので、その財務状況を把握するのは極めて困難である。だが、すべての宗教法人に対して、税制優遇措置を廃止し課税すると、「推計で約4兆円もの税収が見込まれる」(山田氏)というのだ。

 だけど、この質問は一笑に付されてしまった。番組終了後、ゲストの一人に「その問題には触れないほうがいい。脅迫状とか来て、怖い目に遭いますからね」と諭すように言われ、あ然としました。私の質問がスルーされたのは、答えるに値しないものだったからではなく、怖いから……!?
「宗教法人の支持を失うと困る政治家は、なにも公明党や幸福実現党だけじゃない」と教えてくれる人もいました。政治家にとっては票田であり資金源であるから、こと宗教法人に関してはアンタッチャブルなのだというんです。
 仕返しが怖いから'とか、政治家の保身とか、そんな理由で宗教法人は優遇され続けているのか。なんてこった。そこで、「そんなの許せない!」と週刊文春のコラムに怒りをぶつけたわけです。
 早速、反響がありました。幸福の科学の広報局と読者の方からの記名の封書、ほかに無記名のものが何通か。
 手紙の封を切るときは、ビクビクでしたよ。「怖い目に遭いますからね」のひと言が蘇ってきたりして……。
 ところが、手紙の内容は私が怒りをもってぶつけた疑問に対し、あくまでも「私どもの見解」としたうえで、丁寧に答えてくれている。うれしかった。同時に反省もしました。私が差出人の名にビクビクしたのは即ち、宗教に対する偏見があったということなのですよね。
 宗教法人非課税について幸福の科学の見解は、まず、①憲法によって保障される「信教の自由」を根拠に挙げています。第20条ですね。宗教活動に課税するとなれば、その活動は税務調査、査察の対象となり、当局の監視下に置かれることになる。それは国家権力の介入、宗教弾圧になり、すなわち信教の自由を侵害することになる。そうならないように非課税にしているというものでした。
 次に、②「公益性」。宗教活動は教育や医療と同様に公益活動であるから、国家が保護する必要がある。「例えば、マザー・テレサが集めた寄付に対し『高額だから』という理由で課税することが善であるかどうか考えると、公益活動の保護の必要性がご理解いただけるかと思います」ということなのですが……。
 また③宗教活動にはそもそも課税の対象となる“所得”が存在しない。利益が上がってもそれは儲けではなく、事業遂行のための資金になるのだそうです。
 ①~③について、なんとなく知っていたこともあったのですが、改めてこれを読んで納得したかというと、やっぱりまだ腑に落ちないんですよね。
 まず、①「信教の自由」が侵害されるという論理については、日本でも戦前、治安維持法を盾に宗教弾圧があったことは承知してます。決して繰り返されてはならないことだけど、「税務調査、査察が国家権力の介入、宗教弾圧になる」というのは、それはどうなんでしょう。その理屈からすると、税金を納めている人はみな、弾圧されていることになってしまわない?

 はばかりながら、私も納税者ですよ。転居するたびに、それぞれの区役所やら税務署やらと税の徴収をめぐるバトルを繰り広げてきたけれど、弾圧なんかされていないし、いかなる自由も侵害されていない。法人税を納めている企業にしても、査察が入ることはあっても、弾圧されているわけではないですよね。
 税金って嫌なもの、できれば払いたくないものだけれど、払う意義はあると思う。まあ、税金を払え、払わない、で私とバトルを繰り広げてきた税務署にしてみれば、「お前が言うな」と返されそうですが。
 だって、税金を納めた人は、税金によって守られているところもあるし、また、その使い道について意見を言う権利がある。私、都庁がライトアップされたときなんて、ツイッターで「都民税をそんなことに使うんじゃない」と激怒しましたよ。
 次に、②公益活動を国家が保護する必要性について、「マザー・テレサが集めた寄付に課税することが善であるかどうか」を考えればわかるだろうというのは、……わからない。
 宗教法人が得る収入はすべて人々からの寄付であるという物言いにこそ、問題の核心があるように思うんです。これは③宗教活動にはそもそも課税の対象となる“所得”が存在しない」という見解とも絡んできますけど、私のにわか勉強によれば、公益法人は収益事業にのみ課税される。つまり、収益事業でなければ課税されないんですよね。
 となると、宗教法人の場合、なにが非収益事業でなにが収益事業なのか、問題はその線引きですよ。
 結論から言うと、ほとんど線引きは要らない、ということになるらしいじゃないですか。お守り、絵馬、おみくじ、拝観料、そしてお布施、戒名料、墓地使用料に結婚式(神前・仏前)……、すべて非収益事業だというのですから。
 幸福の科学が言う「宗教活動には課税の対象となる“所得”が存在しない」なんて、ものは言いようだと思う。そうではなく、なにをしても「課税の対象となる“所得”にならない」ということじゃないの?
 信者であろうとなかろうと、お守りを買ったり拝観料を払ったりしますけど、それは販売ではなく喜捨行為、つまり進んで寄付したとみなされる。じゃあ、それならなぜ、値段がついているのか?

 幼い頃、私はよく教会に献金していました。たとえば、教会が雨漏りするから修繕費用に充ててほしいなと。とはいっても10円とか100円でしたが、お小遣いの一部を献金箱に入れるんです。こういうことが喜捨行為ってものでしょう。
 お布施や祈禱料も、お経をあげてもらったり、祈禱してもらったりした対価を支払っているつもりでいる人が多いはず。喜捨だと思って払っているわけじゃないですよね。
 というわけで結局、幸福の科学による宗教法人非課税の説明には、合点がいっていないんです。
 読者の方の意見にも触れておくと、「宗教活動はサークル活動」説というもの。つまり、志を同じくする者たちが会費を出し合い、寄付を募り、お布施を集めて活動しているのだから、自由にさせてあげなくてはいけないというんです。
 この説に対し、私はこう考えます。たとえば、マンガ好きが集まっておカネを出し合い、同人誌をこしらえる。これはサークル活動であって、課税のしようもないでしょう。でも、その同人誌を同人誌即売会で売るとなれば、課税の対象になる。サークル活動も規模が大きくなれば、営利活動とみなされ、税務署が目を光らせますよ。
 宗教活動も始まりは小さな集まりだったかもしれない。でも、宗教法人格をもった宗教は明らかにサークルのレベルではないですよ。
 この読者の方はまた、いくら困難とはいえ、人の心を救う活動に、税務署も個人も手を突っ込んではいけないとも主張されています。
 でも、人の心を救う活動に税務署は手を突っ込んではいけないというのは、いかがなものでしょう。
 たとえぽ精神科医はどうなの。まさに、人の心を救う仕事でしょう。占い師に教われる人もいるし、私の本に救われたという人もいるんです。言うまでもなく、精神科医も占い師も私も、税務署に収入を申告し、税金を払ってます。
 フーゾク嬢に救われる男たちだって確実にいますよ。彼女たちも給料制で働いている以上は、店を通して納税しているんだから。
 同人誌を買うファンも、信者みたいなもの。作者を応援したくて、まさに喜捨する思いで買っているけど、税制上は当然、喜捨行為にはなりませんよね。
 何に心を救われるかは人それぞれ。救われる人にとっては、医者、占い師、本やマンガ、あるいは好きな女が、いわばその人の宗教なんですよ。何が喜捨行為か、決めるのはカネを払った人の思いでしょ。
 確かに、そういう人の思いに、ここからは課税するという線を引くのは難しい。でも、払った人は喜捨のつもりでも営利行為になり、喜捨したつもりはなくても喜捨行為になってしまうのであれば、いっそのこと、カネが支払われたらすべて営利行為であるということにして課税すればいいと思う。そのほうが、フェアってものでしょう。私はフェアであるということはとても大事だと思うんです。
 私は宗教法人がけしからんと言っているわけではないし、ましてや宗教に心を救われる人たちがいけないなんて、これっぽっちも思ってません。むしろ尊重するものです。ただ、非課税に納得できないだけなんです。
 だからもう一度言います。震災復興の財源がないのなら、この際、宗教法人非課税というのを見直してみたらどうなんでしょうか。

週刊現代2011年7月9日号
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折も折水戸のスナックで大暴れした検事正後始末

2011-07-13 02:29:19 | 週刊誌から
 証拠改竄事件で高まる検察批判、やっぱりストレスが溜まっていたのだろうか。特捜のエースといわれた検察のトップがマイクを“武器”にスナックで大暴れしていたことが分かった。その乱暴狼藉の一部始終とは――。

「事件」は少し遡る。今年の2月14日の夜、茨城県水戸市内にあるスナック『深海魚』(仮名)に、水戸地方検察庁の粂原研二検事正(57)がほろ酔い加減でやって来たのは8時半頃だった。
「粂原さんは東京地検特捜部の副部長や、名古屋地検の特捜部長を務めた特捜のエースです。野村證券の利益供与事件など大きな事件を手がけ部下の信望も厚い。特捜のあとは札幌高検次席検事、甲府地検検事正を経て昨年7月に水戸へ赴任してきたのです」(司法記者)
 そんな粂原氏は、この店の常連で、キープしてある焼酎のボトルには「ボス」と大書してある。
 店のチーママが言う。
「私も粂原さんのことをボスって呼んでいるんですが、その日、ボスは検事さん3人を連れて最初は楽しそうに飲んでたの。で、カウンターにいた私の友達に目をつけて“ママ、あの子をこっちに呼んでよ”って言い出したのよ」
 チーママは粂原氏のリクエストに応えて友達を粂原氏の側に移らせた。
「そうしたらボスが“なんだ、横から見たら可愛かったけど正面から見たら全然ダメじゃん!”っていきなりその子の額を平手でペチッって叩いたのよ。実は彼女、横顔は若く見えるんだけど60代なのね。でも、そんなこと言われて叩かれたら友達も怒るじゃない。“何すんのよ!”って叩き返したのよ」(チーママ)

 これで鬼検事のスイッチが入ってしまったのか、粂原氏は逆ギレして彼女の頭をカラオケのマイクで殴り返してしまう。
「それからはもう大変! 店にいたNHKの女性記者の髪を引っぱったり、カラオケを歌っている最中なのに次席検事を2回も蹴っ飛ばしたり。お店には10人ほどいたんだげど、8人が暴力を振るわれてたわね。止めようとした私もお腹を殴られたり、ケータイで頭を叩かれたりしたんです。左腕を、キュっと強く捻られたのが一番痛くて、お医者さんに見せたら全治1週間の怪我だったんですよ」(同)
 粂原氏は暴れに暴れたあと零時ごろになってようやく帰っていうたが、店の中はテーブルがひっくり返り、割れたビール瓶やグラスが散乱するという惨状だった。粂原氏は後日スナックを訪ねて謝罪しているが、やがて本庁の知るところとなる。
「私も5月16日に東京高検に呼び出されて2時間半も聴取されたんです。“訴えるつもりもないし勘弁してあげて下さい”ってお願いしたんですけどね」(同)
 粂原氏は定期異動の名目で7月にも水戸地検を去るというが
「検事総長も“こんな時期に何やってんだ!”と激怒したそうです」(前出の司法記者)
 そこで、官舎にいた本人を直撃すると、
「コメントしませんから。申し訳ない」
 と言うばかり。まさか、取調室でもこんなことやっていたのでは……。

週刊新潮2011年7月7日号
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人格者の正体はヅラかぶったままパンツを脱いだサル 西山英彦

2011-07-12 00:29:03 | 週刊誌から
原発対応「スポークスマン」愛の日々 経産省「美人職員」を弄ぶ「西山審議官」

 震災後、世間に一番顔が売れた役人といえば、経済産業省原子力安全・保安院でスポークスマンを務める西山英彦審議官(54)である。真面目な記者対応に定評があったが、メディアには見せない一面を持っていた。省内の美人職員との永き不倫劇を今も続けているのだ。

 6月17日、この日、東京電力は、本店の統合対策室で福島第一原発事故の収束に向けた新工程表を発表した。この場に経産省原子力安全・保安院のスポークスマンとして西山氏も同席。会見は長時間にわたったが、いつものように記者の質問に淡々と答えていた。
 白い麻のジャケットを着た西山氏が虎ノ門にある「ホテルオークラ」のメインロビーに現れたのは、その日の23時過ぎのことだ。
 ソファーに深く腰掛けると、間もなく20代後半と思しき清楚な感じの女性が現れた。そして2人はホテル内の「オーキッドバー」へ。西山氏も女性もタバコは吸わないもののボーイから喫煙室へ案内され、大きな柱の陰にある小さなテーブル席に向かい合わせで座ったのだ。数名の客の一人が西山氏に気付き、その姿を「おっ」と目で追うなど、彼はすっかり有名人である。
 女性はアマレットなどを使ったカクテル、西山氏はテキーラや赤ワインを注文。談笑する2人の姿は、少し歳の離れたカップルにも見える。ただ、西山氏は連日の激務で疲労が溜まっているのか、女性がトイレへ行くとコクリ、コクリと船を漕ぎ始めたのだ。
 結局、西山氏が会計を済ませ、店を出たのは午前0時半過ぎ。店の閉店時間を30分も回っていた。
 ところが、2人は直ぐに車を拾わず、正面玄関を出ると米国大使公邸の前を通り、細い坂道をてくてくと歩き始めた。すると、西山氏はごく自然に女性の手を握り、今度は腰に手を回したのである。この問、終始千鳥足だ。
 そして、坂道を下る途中、西山氏は、右手にあったマンションのオープンスペースに嫌がる女性をぐいと引っ張りこみ、その唇を二度、三度と奪ったのだ。時間にしてほんの数分の出来事だ。が、女性は西山氏がまさか外でこんな破廉恥な行動に出るとは予想していなかったのか、直ぐにホテルオークラへ戻ると、逃げるようにタクシーに乗り込んだ。
 目と鼻の先が米国大使館というこの界隈は、警察官が24時間体制で警備にあたっている。いくら深夜で人影もないとはいえ、いつ警官に見つかってもおかしくはない。記者会見での、常に冷静沈着な西山氏からは全く想像のつかない大胆で情熱的な行動であった。
 原発の放射能汚染水処理にトラブルが頻発し、予断を許さぬ状況下で、西山氏が深夜に密会する妙齢の女性。しかも、彼女とは別れ際にキス……。2人は一体、どんな関係なのか。
 2人を知る経産省関係者が打ち明ける。
「実は、彼女は経産省に勤める職員です。以前から西山さんの寵愛を受けており、1年前から特別な関係にあります。平たく言えば愛人ですね。これまでは、知る人ぞ知る関係でしたが、最近、省内で2人の仲が噂になりつつあります」
 仮に女性の名を中村洋子さんとしよう。和風美人。現在、独身である。
「彼女はよく気がつくタイプで、省内では仕事もできると評判です。そのあたりが西山さんの御めがねに適ったのかもしれません。ただ、西山さんはこれまで女性問題とは無縁の人と思っていたので、最初聞いた時は本当にびっくりしました」(同)

 2人の交際については後述するとして、まず西山氏とはどんな人物なのか。
 1980年、東大法学部を卒業後、旧通産省に入省。その後、米ハーバード大法科大学院を修了。英語も堪能だ。
 原発事故後、原子力安全・保安院のスポークスマンは別の担当審議官が務めていたが、官邸が発言にケチを付け、2人続けて更迭され急遽、起用されたピンチヒッターである。経産省の担当記者が言う。
「現在、西山さんは通商政策局担当の審議官ですが、原子力安全・保安院の企画調整課長や資源エネルギー庁の電力・ガス事業部長を務めた経歴から、白羽の矢が立ったのでしょう。会見中のキツイ質問にも、常に冷静で的確な受け答えができると省内の評価も高い」
 言わば、経産省のスーパーエリートである。
「部下を怒鳴りつけることもないし、人格者と評判です。このままいけば、通商政策局長になるのはほぼ確実でしょう。西山さんの同期では、石黒憲彦・商務情報政策局長が事務次官候補の大本命ですが、今回の働きで次官の目も出てきました」(同)
 西山氏の家族は、妻と一男一女。官舎住まいである。ちなみに、長女は東京電力にお勤めだが、一部にはこんな声もある。
「東電の清水正孝社長は昨年まで足繁く西山さんの部屋に通っていたし、東電とべッタリだったのは明らかです。しかも、西山さんは電力会社を指導、監督する立場の電力・ガス事業部長も務めており、娘の東電入社が表面化した際には省内からも批判の声が上がりました。記者会見の時を除けば、東電に同情的な発言が多く、被災者を思いやる言葉はあまり聞いたことがありません」(経産省幹部)
 これまで女性問題のトラブルはなかったが、
「彼女と西山さんが男女の仲になったのは、1年くらい前のことです」
 と述懐するのは、先の経産省関係者だ。
「今から1年以上前ですが、彼女は職場の人間関係で悩んでいました。その時、相談に乗ってあげたのが西山さんです。人格者で仕事もできると評判の西山さんを、中村さんは尊敬していた。早い話、相談に乗ってもらっているうちにデキちゃったんです」
 ただ、中村さんにとって20も年の離れた西山氏は、最初から恋愛対象だったわけではないようで、
「最初、2人きりで食事に行った時に、いきなり手を握ってきたとか。ま、親身に話を聞いてもらった恩返しのような感じで、西山さんから求められるがままに肉体関係を結んでしまったのでしょう」(同)
 デートの回数が多くなったのは、昨年秋以降である。
「特に頻繁に会うようになったのは、11月くらいからです。例えば、西山さんは昨年11月7日から14日まで横浜で関かれたAPECの高級実務者会合議長を務め、多忙を極めていました。それでもこの月は、6回も夕食を共にしたそうです」(同)

 翌12月のデート回数は10回程。具体的には1日、3日、……27日、28日。
 ある事情通はこう証言する。
「2人で旅行に行ったり、遠出することはありません。デートは、もっぱら霞が関周辺でしたね。神谷町のビールパーや、よく見かけたのが『モダンタイムス赤坂店』というパーです。早い時には、午後8時くらいには店に来て、いつも奥のカウンターに2人並んで座っていました。もっとも西山さんは、家で夕飯の用意があるので、野菜スティックとか軽いものしか食べていませんでしたがね」
 西山氏が原子力安全・保安院のスポークスマンとして、その名が知られる前までは、人目をはばかることもなく、2人は半ば公然とデートを楽しんでいたようである。
「ある時、2人が別々にモダンタイムスに行くと、西山さんが何も告げていないのに店員さんから『お連れ様が奥でお待ちですよ』と言われたこともあったそうです。それほど、2人でこの店に頻繁に通っていたということ。その上、西山さんはかなり大胆で、カウンター席で中村さんの膝の上に手を乗せ、彼女のワンピースの裾に手を入れ、太ももを撫で回すこともあったといいます。店内でキスを迫ったことも。もちろん、周囲のテーブル席からは丸見えです。役人なのに、よくそんなことをやりますよね」(同)
 省内では人格者でも、一歩外に出てお酒を飲むと、後藤田正純議員と同じタイプというわけだ。
「大体、モダンタイムスに行った後、近くにある大手カラオケチェーン店に行くことが多かったそうです」
 と、その事情通が続ける。
「決って使っていたのは8階のVIPルーム。驚くべきことに、2人はカラオケ屋に行っているのに、一曲も歌ったことがないそうです。で、何しに行っていたかといえば、なんとカラオケルームがラブホテル代わりだったというのです」
 2人が行っていたカラオケ店の料金表を覗くと、1人30分390円、週末は480円なんて数字が並んでいる。VIPルームは追加で150円払えばよい。
「西山さんは、審議官ですから年収は1500万~1600万円程度。それに家賃が格安の官舎住まいでしょ。むろん、飲み代や帰りのタクシー代は、全て西山さんが持つのでしょうが……」(同)
 シティホテルではなくカラオケ店で済まされるのでは、彼女もずいぶんと安くみられたものである。

 ここまで来ると、ただの「ケチ男」と言われてしまいそうである。
「西山さんは、古いカツラを使っているので、激しい動きをすると、カツラがズレてしまうとか。だから、ゴルフなんかはやらない。笑っちゃいけないけど、セックスする際、上の肌着を脱ぐと、カツラが引っ掛かってズレてしまう。そのため、パンツは脱いでも上は着たまま、しちゃうそうです」(同)
 問題は2人の関係が原発事故後も、人知れず続いていたことである。むろんカラオケボックスに行くことはなかったが……。
 そして、シーンは記事の冒頭へと戻る。
 前出の経産省関係者が説明する。
「彼とすれば、6月17日は久々に中村さんと会えて、つい嬉しくなり、酔った勢いでキスしてしまったのでしょう。中村さんも求められると断れないタイプです。彼女は所詮いいように弄ばれているだけかもしれません」
 以上が本誌が掴んだ2人の交際に関する情報である。
 さて、当事者は何と答えるか。まずは西山氏である。
 20日夜、御本人を自宅エレベーター前で問い質した。ホロ酔い加減で帰宅したようだが、本誌記者の質問に普段は浅黒い顔が蒼く変わった。本誌記者との主なやり取りは、次の通りだ。
――最初、中村さんの身の上相談にのったのか?
西山 そのことは個人的な話だから言わない。肉体関係はない。
――中村さんと赤坂のカラオケ店には行ったか?
西山 そんなにたくさんは行っていない。
――VIPルームを使っていた?
西山 知らない。いや、カラオケには間違いなく行ってない。
――6月17日、ホテルオークラのバーで中村さんと一緒でしたよね。
西山 それは飲んだ。見てる人がいるしね。
――その後、中村さんとキスをした?
西山 それは覚えてないね。
――震災前、モダンタイムスにもよく行っていた?
西山 えーっと、それはちょっとノーコメントだな。
――書かれると都合が悪いのか?
西山 都合悪くない。しょうがないですから。どう書いてもらってもいいですよ。
 いつもの冷静さを失い、当初、中村さんとカラオケ店に行ったことを認めたものの、なぜか直ぐに前言を撤回。最後は「ノーコメント」を連発し、開き直るのであった。
 一方の中村さんは、
「ノーコメント」
 と言うのみ。
 日本の将来を左右する福島原発事故。その要に位置するスポークスマンを彼に任せておいて良いものかどうか。

週刊新潮2011年6月30日号

原発レベル7より愛人のバースデイ!「西山審議官」が姿を消した日

 本誌が報じた原子力安全・保安院のスポークスマン、西山英彦審議官(54)の愛人問題。その続報をお届けしよう。政府が福島第一原発の事故を「レベル7」に引上げた直後、愛人への誕生日プレゼントを買うため、彼は密かに役所を抜け出したことがあったという。あらら……。

 西山審議官の愛人問題ついて報じた本誌が発売されたのは6月23日である。
 その日の午後11時半、西山氏はいつもと変わらぬ様子で経産省の一室に姿を現した。保安院の定例レクで、福島第一原発の現状について説明するためだ。特に顔色一つ変えることなく、1号機から6号機の状況について話した後、会見は質疑応答へと移った。そして、しばらくすると記者の1人が、「一部であなたの個人的なことが記事になっている。コメントはないのか?」
 と質問。それに対し、西山氏はこう神妙に答えたのである。
「記事が出ること自体、私の至らなさを示していると考えておりまして、深く反省しています。今朝、海江田大臣からも厳重な注意をいただいた。記事の事実関係については個人的なことなのでコメントしません。ただ、この記事で私が仕事に臨む姿勢、仕事に身が入ってないとか、皆さまに誤解を与えたとしたら申し訳ないと思う」
 西山氏が、自分の非を認めたが、大臣からは「職務をしっかりやるよう指示された」と話した。
 ある経産省の中堅職員によれば、
「とにかく西山さんは、週刊新潮の記事が出る前から焦りまくっていました。21日には自ら想定問答集を作成し、役所内の関係者にばらまいてましたしね。そのせいで、不倫話が一斉に広まることになったのです。普段は冷静沈着な西山さんが、まさかあんなことをす
るなんて……」
 さて、改めて、本誌が先週報じた西山氏の愛人について簡単に説明しよう。
 西山氏が経産省職員の中村洋子さん(仮名)と男女の仲になったのは昨年夏。彼女の身の上相談に乗ったことがきっかけだった。
 中村さんの年齢は20代後半とみられる。古風な感じの独身女性だ。
 頻繁に密会するようになったのは、昨年の秋以降である。赤坂のバーで軽く食事をすませ、近くのカラオケボックスへ行くのが定番のデートコースだった。
 バーでは、西山氏が中村さんの膝の上に手を乗せ、太ももを撫で回す姿が目撃されている。
「2人はカラオケボックスに行っても、全く歌わないそうです」
 と説明するのは、経産省の関係者。
「いつもVIPルームを使っていましたが、言わばそこをラブホテル代わりにしていたというのです。それも1回や2回ではありません。年収1500万円はあろうかという経産省の大幹部が、30分500~600円のカラオケルームで……。どういう神経をしているのでしょうか」
 アメリカ大使館近くの道路でも2人のデートが目撃されている。
 6月17日の深夜。虎ノ門にある「ホテルオークラ」のバーで1時間半ほど飲んだ後、ホテルを出た2人。そのまま別れ難い思いにとらわれた彼は、近くにあるマンションのオープンスペースに中村さんを連れ込み、ギュッと抱きしめた。と同時に2度、3度、中村さんにキスしたのだ。
 何とも大胆な西山氏の行動は、原子力安全・保安院の会見で見せる真面目な姿から全く想像できない別の顔である。

 今回、西山氏は経産省から「口頭での厳重注意」処分を受けた。これは、国家公務員法82条で規定された「懲戒処分」(「免職」「停職」「減給」「戒告」)ではなく、あくまで経産省の内部処分に過ぎない。
「処分は、重い順に『訓告』、『文書での厳重注意』、『口頭での厳重注意』、『注意』の4つ。処分については、指針があるわけではなく、過去の処分事例などから総合的に判断しています」(経産省の大臣官房秘書課)
 経産省では、不倫は下から2番目の軽い処分で済まされるのである。
「果たして、経産省は、そんな軽い処分で済ませていいのでしょうか」
 こう話すのは、先の経産省関係者だ。
「西山さんは彼女を審議官室に呼んで、よく2人きりで過ごしていました。男女の仲の2人が省内の密室で一緒にいたなんて、大胆すぎると思いますよ」
 原子力安全・保安院の会見を終えた後、疲れを癒すため一杯やっていたのであろうか。2人を知る経産省の事情通が言う。
「実をいうと、西山さんは、福島第一原発の事故がどうなるか全く見通しが立たない頃、中村さんにプレゼントを買うため役所を抜け出したことがありました。さすがに緊張感に欠けると批判されても仕方ないでしょう」
 余程、特別な事情でもあったのだろうか。
「西山さんが役所から姿を消したのは4月15日のこと。その何日か後に中村さんの誕生日が控えていたため、役所から地下鉄・銀座線に乗って、銀座までプレゼントを買いに出かけたというのです」(同)
 やはり、「仕事に身が入って」なかったわけだ。
「西山さんが銀座へ行ったのは、まだ明るいうちだったようです。銀座でプレゼントを買った後、役所に戻'り、その日のうちに彼女にプレゼントを渡しています。ただ、この時、西山さんが地下鉄に乗って銀座へ行ったせいか、役所と連絡が取れない時間帯があった。そのため、西山さんは後で役所から注意されました」
 振り返れば、政府が福島第一原発の深刻度を国際評価尺度で最悪の「レベル7」に引上げたのは4月12日だ。余震も頻発しており、注水作業が中止に追い込まれれば、大量の放射性物質が放出される恐れもあった。そのため、この頃は原子力安全・保安院での会見も1日に何度も行われていた。その合間を縫って、西山氏はプレゼントを買うために役所を抜け出したのだ。
 6月27日、統合対策室で会見を終えた直後、西山氏に4月15日の行動について聞くと、
「(話すことは)何もない、何もない……」
 と言うのみ。一方、経産省の広報室は、
「現在、事実関係を調査中です」
 との回答を寄せた。
 これで納得できる人は多.くはあるまい。原発と同様、西山氏の愛人問題はなかなかクールダウンしそうにない。

週刊新潮2011年7月7日号

愛人にあそこまでバラされては…西山審議官「エセ紳士」うら悲し 元木昌彦の深読み週刊誌

 ジャーナリスト黒岩涙香は、自らが発行する「萬朝報」で、表向きは紳士然として、裏で妾を囲うような「怪物」を徹底的に批判した。明治31年 7月から9月まで「蓄妾実例」として、医師、前法相、豪商、軍人から作家・森鴎外にいたるまで、実名でその裏の顔を告発して話題を呼んだ。
 その黒岩の批判精神を受け継いでいるのは「週刊新潮」である。綺麗事を並べ、天下国家を論ずるエセ紳士の化けの皮を剥ぐことをやらせたら、新潮に敵う週刊誌はどこにもない。先週号では、民主党の高橋千秋外務副大臣(54)が、震災2日後の3月13日夜、そのあと職務があるにもかかわらず、20 代の女性を呼び出し、浴びるほど酒を飲んで、その女性の体を触りまくったと報じた。当然ながら、上司の松本剛明外相から厳重注意を受けたが、なぜ辞任ではないのかと、その大甘な処分に対しても批判が噴き出している。
 その新潮が今週は、原発事故以来、原子力安全・保安院のスポークスマンを務め、顔だけは日本中に知れ渡ってしまったあの西山英彦審議官(54)が、「経産省の美人職員を弄んでいる」という仰天スクープをやってのけた。相手の20代後半と思しき清楚な女性と西山審議官が、ホテルオークラのオーキッドバーに現れたのは6月17日の23時過ぎ。女性が飲んだのはアマレットなどのカクテルで、彼はテキーラや赤ワインを注文したとある。
 2人がそこを出たのは午前0時半過ぎ。ホテルを出てアメリカ大使館の前を通り、細い坂を歩きながら、西山審議官は彼女の手を握り、腰に手を回す。そして、とあるマンションのオープンスペースで、嫌がる彼女に迫り、唇を2度3度奪ったというのだ。しかし、そこからは期待に反して、彼女はそそくさとタクシーで帰ってしまうのである。
 一夜の御乱行なのかと読み進めると、実は2人の仲は経産省の仲では知る人ぞ知るで、1年前から「特別な関係」が続いていると、2人を知る経産省の関係者が打ち明けている。デートの回数が増えたのは昨年11月くらいからで、11月7日から14日まで開かれたAPECの高級実務者会合で、議長を西山審議官が務めていた超多忙の時も、彼女とは6回も夕食を共にしたという。さらに、翌12月のデートの回数は10回程度で、1日、3日…27日、28日とある。ここまで読んでくれば、読者はこの情報を新潮にたれ込んだ人間が誰だか気づくはずだ。過日、彼女がキスされるのを嫌がり、タクシーで逃げ帰ってしまったのは、西山審議官と何らかのトラブルが起きていて、彼女の心は彼から離れていたからだろう。カラオケに行っても歌も唄わず、ラブホテル代わりにしていたという。さらに、こんなことまでバラされてしまうのである。
 「西山さんは、古いカツラを使っているので、激しい動きをすると、カツラがズレてしまうとか。だから、ゴルフとかはやらない。笑っちゃいけないけど、セックスする際、上の肌着を脱ぐと、カツラが引っ掛かってズレてしまう。そのため、パンツは脱いでも上は着たまま、しちゃうそうです」(消息通)
 西山審議官は経産省のスーパーエリートで、原発事故以来、そつのない答弁で、次官の目も出てきていたのだそうだ。長女は東京電力に務め、清水正孝社長とも昵懇で、東電ベッタリだった。
 その西山審議官は新潮の取材に対して、「いつもの冷静さを失い、当初、中村さんと(愛人の仮名=筆者注)カラオケ店に行ったことを認めたものの、なぜか直ぐに前言を撤回。最後は『ノーコメント』を連発し、開き直るのであった」そうだ。
 当然ながら彼女のほうもノーコメント。西山審議官も、原発事故さえなければ、全国的に顔を知られることもなく、新潮に愛人問題をたれ込まれることもなかっただろう。人徳がなかったといえばそれまでだが、何となく滑稽でありながら、うら悲しい話しである。

J-CASTテレビウォッチ 2011年6月24日 12:40

男なら西山元審議官をリスペクトせよ! テポドン

 震災後の福島原発事故により、一躍時の人となった保安院の西山元審議官。
 登場した当初より、役人よろしく慇懃なまでの物言いで「本当のことを隠している」と逆に疑われ、プライベート画像が流出したことで「重大な隠蔽が行われている」などとネタ要員にまで守備範囲を広げるなど、その活躍ぶりを瞼に焼き付けた者は多いはずだ。
 しかし、そんな彼が週刊誌によって逢い引き現場をスクープされ、事実上の更迭の憂き目に遭ったことは、もはや周知の事実。なんとなくテレビで見かけないと寂しい気分になってしまった方も多いはずだ。
 あくまでも個人的な意見だが、西山審議官を見た、最初の感想はとにかく腹が立ったのを覚えている。堅物で慇懃な物言いは典型的な役人タイプで、まだまだ重大な事実を隠しているに違いないと思ったものである。
 そんな西山元審議官への見方が変わったのは先に述べた不倫疑惑である。
 不倫報道をした週刊新潮によれば、ホテルのバーで一杯引っかけた後に、アメリカ大使館近くの暗闇でチューを3回ほどかました。さらにカラオケボックスをラブホ替わりにしていたという。
 こうしてキッチリと恥ずかしい姿を押さえられた西山氏のその後は周知の通り。事実上の更迭により、表舞台から姿を消したワケだ。
 だが、ここであえてSPA!夜遊び戦隊・チーム俺の夜の特攻隊長を自認する、私、テポドンは日本男子に問いたい。
 西山元審議官は間違っていたのかと…
 不倫はよくないということは理解できる。だが、同性である男側からすれば、それこそ「あっぱれ!」と太鼓判を押してあげたくなるものだ。なぜならあの風体で一年に渡って和風美女をコマしてたんである。やれ草食だ、セックスレスだと小馬鹿にされることの多い昨今の日本男子と対極にいる強烈な肉食獣の獰猛さを私は感じたのであった。
 さらにここでもう一つ、西山氏のすごいことがある。報道された翌日には会見で「私事ながら」と前置きして潔く謝罪をしたのである。適当な謝罪と方言で事実をうやむやにしているどこぞの首相や、東電の幹部連中とは天と地ほどの差がある対応だ。
 ただ、会見内容には十分に疑わしき点が合ったのも事実で、要約すれば「Hはなかったけど、ちょっとおイタしちゃいました」は大人として合点がいかないのも事実。あの会見を見て、「ぜってぇーにヤッてんな!」と思ったのは私だけではないはずだ。でも、あの場で「すいません、ヤッちゃいました。エヘヘ」言えるわけがなかろう。言わぬが花、惜して知るべしではなかろうか。
 さらに週刊新潮によれば、アメリカ大使館横の暗闇でチューをしたというが、これが事実ならば西山という男はただのエロテロリストではないということがよくわかる。なぜならば、9・11テロ以降、厳重な警備が敷かれるアメリカ大使館近辺でコトに及ぶなど、常人のできる技ではない。西山氏の肝の据わった男っぷりを如実に表すエピソードであり、こういう男こそ信用できるというものではなかろうか。
 カラオケボックスをラブホ替わりに使ったというのも、よく言えば庶民的。彼に石を投げつけることができるのは、カラオケボックスでイチャイチャしたことがない者だけではなかろうか。冷静に考えても、ホテルなんかで密会したら言い訳などできるわけがない。ひょっとしたら本当にカラオケ好きで歌っていたのか、はたまたマイクを握り締めて尺八を吹いたのかは本人たち以外は知る由もないのだ。
 気になって西山氏について周辺取材をしたところ、西山氏がよく来ていたというバーの常連客に話を聞くことができた。
「震災後、テレビをつけたらどっかで見たことがある顔だなぁって思っていたら、よく行くバーの常連さんからメールで『セクヤマさんがテレビ出てる!』ってメールが来たんです」
 なんでも西山氏はその店で、やたらめったらスキンシップをはかってくるので、ついたあだ名がセクヤマだという。
 クールな顔からは想像もできない肉食男子っぷりである。 
 結局、ひっそりと更迭されてしまった西山氏だが、我々に与えたインパクトは絶大だ。そして彼の一連の騒動を見て、若い美人のネエちゃんを愛人にするなんて夢のまた夢。羨ましい!と思った方も多いはずだ。ならば我々日本男児は、男としての夢を叶えた西山氏を批判するのではなくリスペクトすべきではなかろうか。彼がもし本当にヅラだったならば、ハゲ男性にとっては希望の星であるはずだ。ひょっとしたらそのヅラをネタに使って口説き落としたりしていたら、それこそ神である。

SPA! 2011年7月7日

謹慎中 保安院のスポークスマン 西山審議官の「これから」

「すこし前に経産省の12階で西山さんがウロウロしているのを見ましたが、最近は見かけない。彼はいま〝待機ポスト〟にいますが、そこからは間もなく外れる予定。次はどこに異動になるのか、省内で話題になっています」(経産省関係者)
 原子力安全・保安院のスポークスマンとして東電本店での会見に連日登場し、一躍〝時の人〟となったのが西山英彦前官房審議官(54歳)。その一糸乱れぬヘアースタイルも話題だったが、6月末『週刊新潮』に女性スキャンダルを報じられると一転、表舞台から姿を消した。
「お相手は経産省で秘書を務める30代の職員。見た目はタレントの渡辺直美系で、あそこまで太ってはいないけどぽっちゃりした女性です。同誌では彼女と米国大使館近くでキスをするシーンなどが生々しく報じられた」(前出・関係者)
 西山氏は記事が出た日に会見で謝罪、海江田万里経産相からお灸を据えられた上、広報担当の座から降板させられた。その後はパッタリと露出しなくなったが、7月15日の人事異動で「大臣官房付」なるポジションに異動となっている。
「大臣官房付というのは経産省内の〝待機ポスト〟。西山さんのほかにも、インサイダー疑惑の渦中にいる木村雅昭氏、『日本中枢の崩壊』で霞が関批判を繰り広げた古賀茂明氏がいまこのポジションにいる。3人あわせて〝官房付お騒がせ三人衆〟と呼ばれていますが、中でも西山氏の処遇には注目が集まっている」(全国紙経済部記者)
 実は西山氏は次官候補に名が挙がっていたほどのエリート中のエリート。東大法学部卒業後の'80年に入省、経産省内で経済産業政策局に次ぐとされる通商政策局のナンバーツーといった要職を渡り歩いてきた。
「だから今回のスキャンダルで西山氏を完全に〝干す〟ことは考えられない。いま有力視されているのが、商務情報政策局の商務流通審議官への異動。ほとぼりが冷めるまではそこで温存させるつもりでしょう」(保安院関係者)
 ただ商務情報政策局長は西山氏の同期。次官レースではリードを広げられた形になりそうだ。

週刊現代2011年8月13日号
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風まかせ赤マント 1039 タマネギバリバリ健康法 椎名誠

2011-07-11 03:32:11 | 週刊誌から
 サラリーマンをしていた三〇代ぐらいのときに会社の健康診断で、血圧が高いですよ、と指摘された。はじめてそんなことを言われたのでびっくりした。完全健康体にいきなりケチをつけられた思いだった。
 それ以降、血圧は確実にあがっていき、四〇代でついに「高血圧」と宣言された。五〇代で「このままでは危険だから」と言われて降圧剤を処方された。これは飲むと血圧は安定するが、一度飲むとそのあとの人生ずっと飲んでいかなければならないと聞き、やや暗い気持ちになった。
 ところがあるとき「タマネギと健康」というような本を読んでいたら、タマネギを毎日食べていると「血圧」がさがり安定する、と書いてあった。生でも火をとおしてあってもよく、とにかく毎日食べるのが秘訣、という。
 妻に頼んで毎朝オニオンスライスを作ってもらった。スライスしてしばらく放置しておくと酵素の力がたかまって有効、というのでそのとおりにした。もともとタマネギで育ったようなものだからこれを毎日というのもまるで苦ではなく、半年ぐらいずっとこれを食べていた。
 結論をいうと、血圧は下がった。かつてひどいときは上が二〇〇で下が一〇〇なんてときがあった。降圧剤を飲むと上一七〇から下八〇ぐらいに下がる。まあこれでいくしかないか、と思っていたのだが、タマネギバリバリ健康法(ぼくが勝手につけた呼び名)を実践するようになったある夜、妙に全身の力がなくなったような気がして、これはどうしたものかと血圧をはかってみたら上が一〇〇で下が五五というわが人生でみたことのない低い血圧の数字が出ている。何度かやり直してみたが同じような結果だった。
 以来、ぼくは降圧剤を飲むのをやめた。そうして自然のままにして、とにかくオニオンスライスは毎朝かならず食べるようにした。それから三カ月、血圧は完全に安定した標準数値になっている。
 高血圧で悩んでいる人が多いと聞いているので、ささやかながらこの体験記を書いた。
 ヒトの体質によって違いはあるだろうから必ずしも役にたつとは思わないが体験的事実なので、試して損はないと思う。その「タマネギ」の本にも八〇パーセントの人に有効、というデータが出ていた。

週刊文春2011年6月23日号
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中国「毒食品」戦慄の製造現場!

2011-07-10 02:26:09 | 週刊誌から
人糞から油、病死豚からチャーシュー、豚肉を牛肉にする粉…

日本やドイツで大腸菌感染が問題となったが「毒食品」の“本場”中国はケタが違う。下水から食用油を「再生」、腐敗肉を農薬に漬け、上海ガニに避妊薬を与え、革靴から作った粉ミルクを平気で売りつける。利益のためなら何でもアリ、戦標の実態がいま明かされる。

 きっかけは、一つの事故だった。中国広東省の工場で、三十九歳の作業員男性が油を精製する鉄鍋に転落してしまい、大火傷を負った。病院ヘ運ばれた男が、駆け付けた新聞記者に告白した内容は、とても信じられるものではなかった。なんと、人糞から食用油を作っていたというのだ――。
「私は、下水道や肥溜めからくみ上げた汚水から油を絞りだし、それを煮詰めて製品にしていました。油が一定の量になると、親方が車で深圳の卸市場へ運んだ。東莞の卸市場にも持って行った。親方の話では食用だとか……」
 記者の通報を受け、警察が問題の闇工場を摘発。事件が明るみにされた。
 中国在住ジャーナリストの林真宣氏が解説する。
「現地では、下水などで作った再生食用油のことを『地溝油』と呼んでいます。摘発された工場内は、積み上げられたズダ袋に残飯や人糞が入ったまま。中には、トイレットペーパーや石コロまで残っていて、すさまじい悪臭を放っていたそうです」
 主犯の親方は逃走したが、その後逮捕。供述によると、昨年一年間でドラム缶七十個分の地溝油を生産していたという。通常の食料油に比べ格安なため、油を大量に使う飲食店を中心に出回った、と当局は見ている。
 そもそも、何故、下水で食用の油を作るのか。
「中華料理ま非常に多くの油を使うため、残飯や下水にも大量の油が残っている。特に下水などは油が固まってしまうほどです。それを煮詰めて油を作れば、材料費はかからない」(現地記者)
 さらに驚くべきは、中国各地でこうした「地溝油」が摘発されていることだ。

 重慶市でホテルの肥溜めをくみ取り、煮詰めて油として売っていた業者が逮捕された。湖南省では、民家の前に置いてあった地溝油を食べた鶏が、一羽残らず死んでしまったという。
「この油の成分を分析したところ、強烈な発がん性物質であるアフラトキシンが含まれていました。その毒性はヒ素の百倍とも言われています」(同前)
 中国では、この種の「毒食品」が、後を絶たない。今年に入って)新聞などのメディアで、連日のように「毒食品」が報じられて、四月、五月だけでも二十件以上にも及ぶという。
 病死の豚を猛毒農薬に漬けこんだ中華ベーコン(チャーシュー)もその-例だ。
 毒チャーシューが摘発されたのは、広州市白雲区にある生産工場だ。情報提供を受けた中国人記者が、スーパーの仕入れ担当を装って潜入。値段が安いため、死豚(感染症などにより病死した豚)を使用しているのではないかと尋ねたところ、生産者は次のように即答した。
「もちろんですよ。(死豚を使うのは)業界内の暗黙の了解です」
 さらに、生産者は記者にQSマークという国が認める品質証明書まで示した。毒チャーシューが、国のお墨付きで作られていたのだ。
「工場では、腐敗して黒ずんだ豚肉を『敵百虫』という農薬と着色剤に浸して、中華ベーコンを作っていたのです。この農薬はトリクロルホンといい、主に蝿や蚊などの衛生害虫駆除に使用される猛毒。死豚のニオイを消すために使用されたようです」(林氏)
 この毒チャーシューは『湖南故郷の味』という商品名で、大手のスーパーの店頭に並んでいた。警察が押収した問題の豚肉は約三トン。生産量が多いということは、それだけ毒食品が流通していることの証でもある。
「中国では去年、問題食品を口にして病院に行った人が三億人にのぼったという話まで出ています。それほど食の問題は深刻なのです」(前出・現地記者)

 最近、問題になった中国の毒食品を挙げてみよう。
■豚肉を牛肉にする謎の粉
「最近『肉香王』という魔法の白い粉が大流行しました。豚肉にかけると牛肉の味がするという触れ込みで、飛ぶように売れていまじたが、成分が不明な添加物の塊。摂取しすぎると腎臓などへの影響が懸念されています」(中国食品関係者)
■毒生姜
 湖北省の野菜卸売市場で、不良の生姜を硫黄で燻製していた。採りたてのような鮮やかな色になるが、硫黄を体内に摂取しすぎると、めまいやだるさを引き起こす。肝臓や腎臓への影響もあることから、業者は摘発され、毒生姜約千キロが押収された。
■スーダンレッド卵
 工業用赤色着色料のスーダンレッドを使って、卵の黄身を赤く染め、塩卵を作っていた。もともとはオイルやガソリンの着色に使用される薬品。
■添加物米
 中国国家添加物使用基準によれば、中国米には増粘剤、防腐剤、光沢剤(香料)の使用が許可されている。「添加物を入れると、古米でもいい香りがして粘りも増し、見栄えもよくなる上に日持ちします。中国人は、こうした添加物を大量に入れ、粗悪な米をごまかして売っている」(別の記者)
 さらに、「人糞油」のように、もはや「食品」とは呼べないものまで、出回っている。
■腐った水と小麦の万頭
 腐った井戸の水と賞味期限が切れて変色した小麦を使って作られた万頭まで流通。当たり前だが、食べた人間は必ず下痢をする。
■皮革ミルク
 古くなった革靴やバッグなどの革製品を煮詰めると、たんぱく質を取り出すことができる。それを粉末に加工、乳児用のミルクとして売られていた。栄養がないため、飲んだ乳児が栄養失調になる被害が出ている。
 過去には「髪の毛のアミノ酸で作られた醤油」なども摘発されていたが、中国には「毒食品」の発明家も後を絶たないようだ。
 加えて、横行しているのは、家畜や野菜に成長促進剤を投与する“薬漬け生産”だ。こうした“薬漬け食品”を口にした消費者、特に子どもたちに深刻な影響も出ている。
「九歳の男の子にヒゲが生えたり、成長促進剤が入ったミルクを飲んだ七カ月の女の子の胸がふくらんだという報道もあります」(前出・現地記者)
 次のように、重大な被害も生じている。
■筋肉増強剤豚
 湖南省で二百八十六人、広西省で六十三人が下痢や嘔吐などによる集団食中毒で病院へ運ばれた。いずれも、筋肉増強剤を使って飼育された豚を食べたことが原因だった。
「中国では健康志向により赤身が高く売れる。だから、飼育段階で筋肉増強剤を与え、脂を落として赤身を増やすのです」(林氏)
■バリウムニワトリ
「ニワトリを高く売るために、口の中ヘバリウムを流し込んで、三百~四百グラム重くして販売している業者の存在も報じられています」(前出・中国食品関係者)
■ケミカルもやし
 動物用の成長促進剤をもやしにかけると、通常より早く成長するという。他にも亜硝酸ナトリウムや尿素などが使われていた。
■爆発スイ力
「大ぎくするために、膨張剤を入れていたスイカが破裂したりする騒、ぎもありました。スイカの種は日本から輸入しているため、皮は薄い。だから成長しすぎて肉割れしてしまうのです。キウイやトマト、ブドウでも同様の問題が起きています」(同前)

 こうした問題食品は、中国において日常化してしまっている、と語るのは、米国に本部を持つメディア、新唐人テレビの記者だ。水面下で当たり前のように行われてきた「毒食品」製造が、メディアなどで取り上げられたことで、一気に表面化しただけ、という。
「去年、養殖の上海ガニに、抗生物質や避妊薬を与えている業者の問題を取り上げました。養殖魚にも同じようなことが行われています。冗談で『風邪を引いたら上海ガニを二、三杯食べると治る』と言われているほど。
 病気を防ぐために大量の抗生物質を与えたり、養殖期間を短くする目的でホルモン剤などの成長促進剤を使うなどの“手法”は当たり前で、カニや魚が卵を産んで痩せることを防ぐために、避妊薬まで使用するのです」
 最近になって、メディアの報道や、当局の摘発が続いているのは、なぜか。
「中国で食品を管轄しているのは国務院。そのトップは温家宝首相です。温首相が、政府が食品問題に対して対策をしている、と国民にアピールしたいからだ、というのが一つの見方です。ここまで食の問題が深刻化した今、人民の怒りが政府へ向くことを恐れているわけです」(林氏)
 当の温家宝自身はメディアに対し、相次ぐ食品問題について「モラルの低下が深刻化している」と嘆いてみせた。だが、新唐人テレビ記者は、食品業者のモラルを低下させたのは政府の責任だ、と指摘する。
「共産党は、お金が第一という拝金主義の教育をしてきた。だから、金のためなら人の命なんて関係ないという価値観が、一般人の間に蔓延しているのです。
 以前、毒粉ミルク事件で、被害者の母親が中央政府へ陳情に行ったところ、逆に拘束されて刑務所へ入れられました。これでは誰も文句が言えません。被害者は泣き寝入りするしかない。生産者も平気で悪質な商品を作り、パレても逃げることしか考えません。大手企業は、政府の高官へ賄賂を渡せば見逃してもらえると知っている。だから、いつまで経っても毒食品はなくならないのです」
 その一方で、北京郊外で、政府の要人や官僚用に無農薬野菜を育てて売っている農場の存在が発覚した。彼らは、その地位を利用して安全な食品を買い求めているのだ。
 かつての「毒鮫子事件」のように、日本に危険な食品が入ってくることはないのだろうか。
 米国ラジオ放送VOAは、中国がロシアへ輸出した米やピーナッツ、そばからカドミウムが検出され、ロシア当局が頭を悩ませていると報じた。数年前には米国でメラニンの入った中国産ペットフードを食べた犬猫が多数死亡する事件が起きている。韓国でも中国産キムチから寄生虫の卵が検出され大騒ぎとなった。輸出用め食品にも「毒食品」は潜んでいるのだ。
「中国では、国務院や検出検査院といった監督機関が毒食品の発覚に対して責任を取らない。当局は業者を摘発するだけ。輸入国もサンプル検査を行っていますが、一度OKが出ると次はやらないことも多い」(前出・新唐人記者)
 事実、検査の網を逃れて、中国から毒食品が世界ヘ輸出されている。
 原発事故の影響で、食品不足が懸念される日本。中国からの「毒食品」に侵されないよう、万全の対策が必要だ。

週刊文春2011年6月16日号
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非番で救命活動の「救急救命士」を失職させた愚か者たち

2011-07-09 04:14:10 | 週刊誌から
<人命より法律優先か><助けたければ、医師の資格を取れ>――。ある公務員の処分をめぐり、ネット上で喧しい議論が巻き起っていることをご存じだろうか。命を救う技術を持ちながら、愚かな法制度に手足を縛られた救急士たち。その一人が辿った不条理劇とは。

「今回の騒動で、救急救命士は、オフの日は救急救命士ではないんだ、ということを知り、驚きました」
 と呆れ気味に話すのは、ある臨床医である。
 その事故が起きたのは、4月14日、静岡県内の東名高速道路下り線、掛川IC付近でのことだった。休日で、長野県に向かい車を走らせていた久保大介氏(54)=仮名=の目の前で、大型トラックが清掃車に衝突。久保氏は車を急停車し、トラックにかけよった。事故車両の前部はぐしゃぐしゃの状態。彼は割れたフロントガラスからやっとの思いで車内に入り、頭と耳から出血している運転手の応急処置を行ったという。
 運転手にすれば不幸中の幸いだった。実は、久保氏、茨城県石岡市の消防署に勤める救急救命士だったのだ。しかも、この日、彼は救急医療用のキットを持参していた。東日本大震災を受け、外出先でも緊急事態に対処できるよう、署の備品を携行していたわけだ。当の久保氏が語る。
「運転手は胸と腹の痛みを訴えていたので、ハンドルに体を強打し、内臓出血している危険性があると考えました。そうすると血管が収縮し、搬送先の病院で点滴など薬剤の投与が困難になるケースが多い。それを防ぐため、“輸液セット”というキットを使い、注射針を刺して、点滴を行いました」
 静脈路確保というこの医療行為が奏功してか、運転手は軽傷で済んだという。しかしこの人命救助がその後、彼を失職に追い込むことになるのである。
 というのも救急救命士は法律で、医師の指示の下、心肺停止状態の患者にしか医療行為は施せないとされているからだ。
 久保氏自身も言う。
「自分の行動が法に抵触するかもしれないという思いが一瞬、頭をよぎりました。しかし、運転手の命にかかわると考え、人命第一と判断して処置したんです」
 果たして、これが搬送先の病院で問題とされる。結果、掛川の消防から石岡の消防に「違法行為があった」と連絡が入る。挙句に静岡県から茨城県に事実確認の問い合わせがなされ、事は「県対県」という大きな問題に発展してしまったのだ。
 ちなみに彼の勤務先は石岡市所管の石岡消防署。ここで消防司令という管理職の立場にあり、現場トップの当直責任者を務めていた。
 その久保氏、4月18日、石岡市長に説明を求められ、市長室に赴いたという。
「一つも良いことやってないぞ」
 市長からはこうたしなめられ、市の懲罰委員会で処分が諮られることになる。
「4月23日には、石岡消防本部のトップである消防長や上司の署長らに呼び出された。皆、顔を強張らせ、“どうしようもね”“懲戒は
免れねかも”という。彼らの話から、私が辞表を書けば、反省の態度を示していると受け止めてもらえ、情状酌量されるとのニュアンスを感じ取りました。だから、その場で辞表を書いたのです。もちろん、この段階で懲戒免職なんであり得ないと思っていたし、辞表はあくまで消防長に預けただけのつもりでした」
 その後、彼は市の顧問弁護士から、点滴用の注射針を刺したことは傷害容疑の可能性があるので、医療行為を行った運転手と示談し、警察にも届け出るよう指示される。何だか訳の分からない展開だが、命じられるまま、4月29日には、はるばる滋賀県のトラック運転手の自宅を訪問。示談書へのサインを求めた。傷の癒えていた運転手はキョトンとした表情で、
「もちろん、いいですよ。でも、なんで? かえってこちらがお札を言わないといけないのに」
 と、不思議がったそうだ。
「その後の5月21日のことでした。消防署の上司から“辞表を書き直してほしい”と言われたのです。この時点で上層部は私を守ってくれる気がないんだと悟りました。5月30日の懲罰委員会で停職6カ月の懲戒処分が出て、消防長からは“君の辞表、そのまま受理していいよね”と言われました。私も呆気にとられ、反抗する気にもなれず、ただ“はい”と答えたのです」

 この処分について、市消防本部総務課は、
「彼は管理職の立場にある者です。それが禁止された備品の持ち出しを勝手に行い、医師の指示を受けずに救命行為を実施した。この2つの事実で、公務員の信用を失墜させたのは問題。処分は当然です」・
 と、いかにもお役所的な反応だ。
「私はこの救急救命士の行為は問題と思いますが、それはひとまず措くとして、確かに救急救命士をめぐる制度に不備があるのは事
実」
 と語るのは、日本救急救命士協会の鈴木哲司会長。
「現行法では、救急救命士は、勤務時間外には救命処置が行えない。しかも事実上、救急車の中でしか医療行為を施せません。全国に約4万2000人の救命士がいますが、このうち消防機関に属するのは約2万2000人。つまり2万人は緊急時にその技術を活かせず、日本は宝の持ち腐れなのですよ」
 残りは看護師や一般人で、救命救急士の資格は活かせない。こんなバカげたことがあるだろうか。法制度上の欠陥があるのは明白だ。
 ともあれ、久保氏の処分がメディアで報じられると、ネット上では賛否をめぐり、議論が白熱した。
<備品持ち出しは良くない>
<法律は破っちゃ、ダメ>
 などの書き込みもあったが、概ね彼に同情的な意見が多かったようだ。曰く、
<人を助けて失職ってやってられねえな>
<ルールに縛られるのが好きな国やなホンマ>
 などなど。
「確かに酷い話ですよ。医療行為といっても、電気ショックや気道確保のための挿管などは危険を伴いますが、点滴は何ら特段のリスクはない。それが停職6カ月で挙句に退職に追い込まれるとは幾らなんでも気の毒でしょう。規律違反というなら、厳重注意処分くらいでいいじゃないですか」
 と、前出の臨床医は慨嘆する。
「救命救急士は心配停止の人にしか手を出せなのなら、下手をすると手遅れになるまで待て、ということになる。常識的な許容範囲はあってしかるべきでしょう」
 全くもって、おかしな話だ。この救命士を退職に追い込んだ者たちは愚かというしかない。法改正は急務で、このままでは、目の前に死にかけている人がいても、見て見ぬふりをした方が無難ということになるだろう。
 最後に久保氏はこう語った。
「私は高校卒業後、すぐ消防署に就職し、35年2カ月の勤務期間のうちの約20年を救急で過ごしました。当然、仕事に対する誇りと愛情を持っています。うちの消防署には飲酒運転で逮捕されながら、停職で済み、復帰できた者もいる。それなのに、なぜ私は人を助けながら、仕事を失わなければいけなかったのか……残念でなりません」

週刊新潮2011年6月16日号
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