超芸術と摩損

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中国「毒食品」戦慄の製造現場!

2011-07-10 02:26:09 | 週刊誌から
人糞から油、病死豚からチャーシュー、豚肉を牛肉にする粉…

日本やドイツで大腸菌感染が問題となったが「毒食品」の“本場”中国はケタが違う。下水から食用油を「再生」、腐敗肉を農薬に漬け、上海ガニに避妊薬を与え、革靴から作った粉ミルクを平気で売りつける。利益のためなら何でもアリ、戦標の実態がいま明かされる。

 きっかけは、一つの事故だった。中国広東省の工場で、三十九歳の作業員男性が油を精製する鉄鍋に転落してしまい、大火傷を負った。病院ヘ運ばれた男が、駆け付けた新聞記者に告白した内容は、とても信じられるものではなかった。なんと、人糞から食用油を作っていたというのだ――。
「私は、下水道や肥溜めからくみ上げた汚水から油を絞りだし、それを煮詰めて製品にしていました。油が一定の量になると、親方が車で深圳の卸市場へ運んだ。東莞の卸市場にも持って行った。親方の話では食用だとか……」
 記者の通報を受け、警察が問題の闇工場を摘発。事件が明るみにされた。
 中国在住ジャーナリストの林真宣氏が解説する。
「現地では、下水などで作った再生食用油のことを『地溝油』と呼んでいます。摘発された工場内は、積み上げられたズダ袋に残飯や人糞が入ったまま。中には、トイレットペーパーや石コロまで残っていて、すさまじい悪臭を放っていたそうです」
 主犯の親方は逃走したが、その後逮捕。供述によると、昨年一年間でドラム缶七十個分の地溝油を生産していたという。通常の食料油に比べ格安なため、油を大量に使う飲食店を中心に出回った、と当局は見ている。
 そもそも、何故、下水で食用の油を作るのか。
「中華料理ま非常に多くの油を使うため、残飯や下水にも大量の油が残っている。特に下水などは油が固まってしまうほどです。それを煮詰めて油を作れば、材料費はかからない」(現地記者)
 さらに驚くべきは、中国各地でこうした「地溝油」が摘発されていることだ。

 重慶市でホテルの肥溜めをくみ取り、煮詰めて油として売っていた業者が逮捕された。湖南省では、民家の前に置いてあった地溝油を食べた鶏が、一羽残らず死んでしまったという。
「この油の成分を分析したところ、強烈な発がん性物質であるアフラトキシンが含まれていました。その毒性はヒ素の百倍とも言われています」(同前)
 中国では、この種の「毒食品」が、後を絶たない。今年に入って)新聞などのメディアで、連日のように「毒食品」が報じられて、四月、五月だけでも二十件以上にも及ぶという。
 病死の豚を猛毒農薬に漬けこんだ中華ベーコン(チャーシュー)もその-例だ。
 毒チャーシューが摘発されたのは、広州市白雲区にある生産工場だ。情報提供を受けた中国人記者が、スーパーの仕入れ担当を装って潜入。値段が安いため、死豚(感染症などにより病死した豚)を使用しているのではないかと尋ねたところ、生産者は次のように即答した。
「もちろんですよ。(死豚を使うのは)業界内の暗黙の了解です」
 さらに、生産者は記者にQSマークという国が認める品質証明書まで示した。毒チャーシューが、国のお墨付きで作られていたのだ。
「工場では、腐敗して黒ずんだ豚肉を『敵百虫』という農薬と着色剤に浸して、中華ベーコンを作っていたのです。この農薬はトリクロルホンといい、主に蝿や蚊などの衛生害虫駆除に使用される猛毒。死豚のニオイを消すために使用されたようです」(林氏)
 この毒チャーシューは『湖南故郷の味』という商品名で、大手のスーパーの店頭に並んでいた。警察が押収した問題の豚肉は約三トン。生産量が多いということは、それだけ毒食品が流通していることの証でもある。
「中国では去年、問題食品を口にして病院に行った人が三億人にのぼったという話まで出ています。それほど食の問題は深刻なのです」(前出・現地記者)

 最近、問題になった中国の毒食品を挙げてみよう。
■豚肉を牛肉にする謎の粉
「最近『肉香王』という魔法の白い粉が大流行しました。豚肉にかけると牛肉の味がするという触れ込みで、飛ぶように売れていまじたが、成分が不明な添加物の塊。摂取しすぎると腎臓などへの影響が懸念されています」(中国食品関係者)
■毒生姜
 湖北省の野菜卸売市場で、不良の生姜を硫黄で燻製していた。採りたてのような鮮やかな色になるが、硫黄を体内に摂取しすぎると、めまいやだるさを引き起こす。肝臓や腎臓への影響もあることから、業者は摘発され、毒生姜約千キロが押収された。
■スーダンレッド卵
 工業用赤色着色料のスーダンレッドを使って、卵の黄身を赤く染め、塩卵を作っていた。もともとはオイルやガソリンの着色に使用される薬品。
■添加物米
 中国国家添加物使用基準によれば、中国米には増粘剤、防腐剤、光沢剤(香料)の使用が許可されている。「添加物を入れると、古米でもいい香りがして粘りも増し、見栄えもよくなる上に日持ちします。中国人は、こうした添加物を大量に入れ、粗悪な米をごまかして売っている」(別の記者)
 さらに、「人糞油」のように、もはや「食品」とは呼べないものまで、出回っている。
■腐った水と小麦の万頭
 腐った井戸の水と賞味期限が切れて変色した小麦を使って作られた万頭まで流通。当たり前だが、食べた人間は必ず下痢をする。
■皮革ミルク
 古くなった革靴やバッグなどの革製品を煮詰めると、たんぱく質を取り出すことができる。それを粉末に加工、乳児用のミルクとして売られていた。栄養がないため、飲んだ乳児が栄養失調になる被害が出ている。
 過去には「髪の毛のアミノ酸で作られた醤油」なども摘発されていたが、中国には「毒食品」の発明家も後を絶たないようだ。
 加えて、横行しているのは、家畜や野菜に成長促進剤を投与する“薬漬け生産”だ。こうした“薬漬け食品”を口にした消費者、特に子どもたちに深刻な影響も出ている。
「九歳の男の子にヒゲが生えたり、成長促進剤が入ったミルクを飲んだ七カ月の女の子の胸がふくらんだという報道もあります」(前出・現地記者)
 次のように、重大な被害も生じている。
■筋肉増強剤豚
 湖南省で二百八十六人、広西省で六十三人が下痢や嘔吐などによる集団食中毒で病院へ運ばれた。いずれも、筋肉増強剤を使って飼育された豚を食べたことが原因だった。
「中国では健康志向により赤身が高く売れる。だから、飼育段階で筋肉増強剤を与え、脂を落として赤身を増やすのです」(林氏)
■バリウムニワトリ
「ニワトリを高く売るために、口の中ヘバリウムを流し込んで、三百~四百グラム重くして販売している業者の存在も報じられています」(前出・中国食品関係者)
■ケミカルもやし
 動物用の成長促進剤をもやしにかけると、通常より早く成長するという。他にも亜硝酸ナトリウムや尿素などが使われていた。
■爆発スイ力
「大ぎくするために、膨張剤を入れていたスイカが破裂したりする騒、ぎもありました。スイカの種は日本から輸入しているため、皮は薄い。だから成長しすぎて肉割れしてしまうのです。キウイやトマト、ブドウでも同様の問題が起きています」(同前)

 こうした問題食品は、中国において日常化してしまっている、と語るのは、米国に本部を持つメディア、新唐人テレビの記者だ。水面下で当たり前のように行われてきた「毒食品」製造が、メディアなどで取り上げられたことで、一気に表面化しただけ、という。
「去年、養殖の上海ガニに、抗生物質や避妊薬を与えている業者の問題を取り上げました。養殖魚にも同じようなことが行われています。冗談で『風邪を引いたら上海ガニを二、三杯食べると治る』と言われているほど。
 病気を防ぐために大量の抗生物質を与えたり、養殖期間を短くする目的でホルモン剤などの成長促進剤を使うなどの“手法”は当たり前で、カニや魚が卵を産んで痩せることを防ぐために、避妊薬まで使用するのです」
 最近になって、メディアの報道や、当局の摘発が続いているのは、なぜか。
「中国で食品を管轄しているのは国務院。そのトップは温家宝首相です。温首相が、政府が食品問題に対して対策をしている、と国民にアピールしたいからだ、というのが一つの見方です。ここまで食の問題が深刻化した今、人民の怒りが政府へ向くことを恐れているわけです」(林氏)
 当の温家宝自身はメディアに対し、相次ぐ食品問題について「モラルの低下が深刻化している」と嘆いてみせた。だが、新唐人テレビ記者は、食品業者のモラルを低下させたのは政府の責任だ、と指摘する。
「共産党は、お金が第一という拝金主義の教育をしてきた。だから、金のためなら人の命なんて関係ないという価値観が、一般人の間に蔓延しているのです。
 以前、毒粉ミルク事件で、被害者の母親が中央政府へ陳情に行ったところ、逆に拘束されて刑務所へ入れられました。これでは誰も文句が言えません。被害者は泣き寝入りするしかない。生産者も平気で悪質な商品を作り、パレても逃げることしか考えません。大手企業は、政府の高官へ賄賂を渡せば見逃してもらえると知っている。だから、いつまで経っても毒食品はなくならないのです」
 その一方で、北京郊外で、政府の要人や官僚用に無農薬野菜を育てて売っている農場の存在が発覚した。彼らは、その地位を利用して安全な食品を買い求めているのだ。
 かつての「毒鮫子事件」のように、日本に危険な食品が入ってくることはないのだろうか。
 米国ラジオ放送VOAは、中国がロシアへ輸出した米やピーナッツ、そばからカドミウムが検出され、ロシア当局が頭を悩ませていると報じた。数年前には米国でメラニンの入った中国産ペットフードを食べた犬猫が多数死亡する事件が起きている。韓国でも中国産キムチから寄生虫の卵が検出され大騒ぎとなった。輸出用め食品にも「毒食品」は潜んでいるのだ。
「中国では、国務院や検出検査院といった監督機関が毒食品の発覚に対して責任を取らない。当局は業者を摘発するだけ。輸入国もサンプル検査を行っていますが、一度OKが出ると次はやらないことも多い」(前出・新唐人記者)
 事実、検査の網を逃れて、中国から毒食品が世界ヘ輸出されている。
 原発事故の影響で、食品不足が懸念される日本。中国からの「毒食品」に侵されないよう、万全の対策が必要だ。

週刊文春2011年6月16日号
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