超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

強制入院をさせた側の家族が抱える、苦悩とは

2008-09-16 18:47:05 | 週刊誌から
実際に心を病んでしまった当事者の家族も精神医療の被害者であり、強制入院はあってはならないと考えている。しかし、精神障害者犯罪の被害者の75%がその家族であることは、あまり知られていない。家族としては、どのような行為を受けても、当事者は愛する大切な家族の一員である。当事者の罪を罰する気持ち、守りたいという気持ち、そして自分たちを責める気持ちが交錯する。しかしそんな家族が強制入院に追い込まれないよう、手を差し伸べてくれる公的機関はほとんどない。家族たちの苦悩は増すばかりだ。
 現在76才になるAさんの息子は、小さい頃から自分を表現するのが苦手だった。社会から孤立した息子は、Aさんに暴力を振るうようになった。「はけ口を求めたんでしょうね。甘えも合って、私に」。Aさんは息子と別居。息子はある日、面倒を見ていたAさんの夫を傷つけ、強制入院となった。
 発病前も発病後も地域のケアがなく家族同士で支えあっている苦境。
 そんななか、孤立無援・疲労困憊する家族が強制入院に追い込まれないよう支え、また発病者の自立支援という観点からも活動しているのが、Hさん(83)。内向的な優等生だった息子は、学級委員に選ばれたがうまく立ち回れず、Hさんにもそれを理解してもらえないと暴力を振るうようになった。強制入院を選ばざるをえなかったHさんだが、「強制入院はあってはならない。本人にも家族にも、しこりが残る。そうならないようにショートステイや地域で当事者を支える仕組みを作らなければ」と訴える。
 社会から外れた人々を孤立させ、拘束する精神医療のあり方が問われている。

SPA!週刊スパ2008年6月3日号
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