超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

悪役モデルにされた「遠山敦子」元文科相の言論統制

2010-06-07 00:49:26 | 週刊誌から
 天下り宮僚の横暴という、事業仕分けの動機にもなったテーマの芝居が上演された。永井愛作・演出の「かたりの椅子」。実は官僚のモデルは遠山敦子元文部科学大臣(71)だが、嫌がったご当人、“言論統制”まで敷いたというので…。

「先月、劇作家の永井愛さん(58)の3年半ぷりの新作が上演されました。文科省から天下った文化振興財団の理事長が、造形作家のプランを退けて自分の案を強行し、実行委員たちが反対すると実行委員長を解任してしまう――。これ、永井さんの経験をそのまま劇にしたというんです」
 そう話すのは演劇関係者。世田谷パブリックシアターなどで上演された、竹下景子主演の「かたりの椅子」のことだが、「永井さんの経験」は説明が必要だろう。
 一昨年6月、東京の新国立劇場(新国)で演劇部門の芸術監督の“解任騒動”が起きた。前年9月に就任したばかりの鵜山仁監督が「コミュニケーションが取れない」からと、唐突に退任させられることになったのだが、その「理事長の独断」に対して理事や演劇関係者から不満が噴出。
 決定に至る過程の開示を求める声明が、亡くなった井上ひさし氏ら12人の連名で出され、朝日新聞は社説で<混乱のきっかけは、文部官僚出身で元文部科学大臣の遠山敦子理事長が、芸術監督全員を一気に代えようとしたことだ>と、異例の“個人批判”。で、嫌気がさして退任した理事の1人が、永井さんだった。
 つまり、劇中の銀粉蝶演じる雨田久里あまだくりという天下り理事長のモデルは、女性官僚の草分けで、小泉内閣の文科大臣まで務めた遠山女史だったのである。

「新国の問題では、私は劇場の評議員を務めていて遠山さんの決定に疑問を感じ、例の“声明”にも名を連ねた。だから、劇に出てくる理事長が遠山さんだと、すぐわかりました」
 そう語る演劇評論家の大笹吉雄氏によれば、
「劇中で、造形作家について理事長が言及する場面で、“コミュニケーション”という、騒動の際に使われた文言が出てくる。また、造形作家の提案が否決されるまでの議事の公開を求めた際、理事長から“守秘義務”を盾に拒まれるやりとりも、実際に永井さんが、理事会の内容を公表したことに対して、遠山理事長側から“守秘義務に反する”と抗議されたことそのままです。ちなみに永井さんは劇場に守秘義務という内規はないことを突き止め、理事長に反論したのですが」
 永井さんに聞くと、
「新国に理事として関わって私が目の当たりにした官僚主義を元に取材を重ねたものですが、理事長は遠山さんそのままではない。官僚言葉しか話さない彼女そのままだと、面白い劇にならないからです」
 ともあれ大笹氏によれば、
「自分が“解任”を決めた鵜山さんが新国で上演した芝居が賞を取ると、授賞式にノコノコと出て行き“いい演出家がいて、いいキャストがいて、いい戯曲があって、いい舞台ができるのです”と、自分の手柄のようにスピーチする」
 という遠山サンだが、ご自身がモデルになると、
「公演を取り上げないよう、マスコミに内々に要請してきた」(新聞社の幹部社員)
 それに対して、
「一切そのような事実はございません」
 と否定するが、元大臣なら笑って流せなくちゃ。

週刊新潮2010年5月27日号
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