心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

【実名か】匿名にもの申す【闘争か】

2006-01-17 12:45:03 | 臨床心理学

物々しいタイトル。もちろん,タイトルだけですが,ま,ロテ職人さんのところで盛り上がっていて(でも,なんかそんな盛り上がってないかも),先にもちっと書きましたが,もう一言付け足したいんですが,よろしいでしょうか。編集者的に興味深い問題なんでつ。よろしいですか。ありがとうございます。


何をもって科学というのか,学問というのか,研究というのか,サイエンスというのか,サイパブの脳年齢88歳並みの弱っちい頭だとよくわからないのですが,錬金術や呪術と科学を分けた境というのは,
「情報の公開」
「対話の可能性」
じゃなかったのではないかと,ざっくばらんに思っています。
もちろん,統計だとか,再現性とか,あるのでしょうが,それは「納得」までの一要素なり,一手段であって,絶対的基準ではないでしょう。ま,読み手の「腑に落ちた」へ向けて,どういう手段をとるか,ということじゃないかと。(というわけで,オナニーみたいな事例検討なんて研究じゃないぞ。)
そして,その読み手が「???」となったときに,あるいは思いっきし不満たらたらだったときに,読み手にデータの開示を求めたり,情報の公開を求めたり,対話を求めたりし,それに対して,書き手から回答があること,そのやりとりの可能性にこそ,オカルトと学問の違いがあると思います。要するに,応答責任という奴ですね。
事例研究のように一回性であっても,異同について討論し続ける必要があるハズで,「一回性ですから」という逃げは,「オナニーですから」と言うようなもんです。自慰,自慰五月蝿いでつが。

ま,何が言いたいかつうと,研究者なり,専門家の匿名ブログの問題は,応答責任ではないかと。

かように思うわけです。

その昔かどうか知りませんが,研究者である以上,「匿名」というのはありえなかったわけです。
だって,応答責任がないから。

でも,時代は変わりました。名前を伏せ,匿名で,ネット上ではありますが,さまざまな情報を伝えられるようになりました。
しかし,許されるのは応答責任がとれるコテハンのみのような気がします。コテハンってアイデンティティですもんね。
「(研究者の)良心」であるところの責任応答性についてクリアしていれば,つまり,「例:本名 △田□男=HN アリストレレス」のごとく,IDとして(突き詰めて)認知できるのであれば,匿名でもいいように思います。
とどのつまり,「連絡できる」ってことですね。

ですがね,名前出せないというのは寂しいものがあることは事実。気迫も違うような気がします。なんて言って,私も名前出しませんが。

というわけで,この論争,正直,決着つかないと思います。メディアリテラシーつうの,オジサンにはよくわからん問題もあります。また,所属と名前というアイデンティティは,情報として大きいものです。たとえば,京大を出た臨床心理士といえば,良くも悪くもある程度想像できるわけです。その想像はバイアスとなってその人の書いたものを判読するときに多かれ少なかれ影響を与えるでしょう。それは基本的に読み手の理解を楽にします。正直,そうした情報がないコテハンの人は,読み手の理解に負担を与えます。ま,毎日チェックするような人なら,何となく人となりがわかるような気がしますが。
とはいえ,発言側にとっては実名には実名の,匿名には匿名の面白さがあります。そもそも,結論出すことないし。


ロテ職人さんくらい有名になってしまうと,どうなんでしょう…。
編集者として,こう思うんですよね。
たとえば,ロテ職人さんが本を出す。しかし,本名で出した場合と,「ロテ職人」名で出した場合,どちらが売れるかと…。
たぶん(否,絶対)後者。
しかーし,会社で企画書を書くとしますわな。

ロールシャッハテスト超入門 (仮題)
ロテ職人 著

意気揚々と。
ですが,何も知らん編集長に
「ロテ職人? ハァ? お前,いてまうど,コラ」
と言われること必定であります。

とはいえ,ロテ職人さん,「ロテ職人」で学術雑誌に投稿するつうのはどうでしょうか。あるいは,他の方々はどうです?
「香山リカ」
「やまだようこ」
この辺りがよくて,「ロテ職人」はダメだっていうことはありません。あるいは「旧姓(=通称名」で仕事をしている人はいくらでもいるわけですし。
それに,昔の研究者はけっこう「号」とかもっていたわけで…それと一緒……?
というわけで,ロテ職人さんのロテ職人名での「学術雑誌デビュー」を期待しまふ。
掲載されたら楽しいなぁ。
引用は,「ロテ,2006」? それとも「職人,2006」か。どこからが氏で,どこからが名前か。


ま,でも,ネット上だけですと,ニセモノの判別が難しいですね。ま,これは実名でも同様ですが。
とにかく,果てしなく応答し続ける以外に,IDはありえないんじゃないでしょうか。




というのは,超長い前フリであります。
やっぱID,アイデンティティ大事だよ,というわけで,本来なら,我らがエリクソンを紹介したいところですが,今さらなので,

脱アイデンティティ

勁草書房

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ですがな。
そっか,やっぱ,脱アイデンティティなんだなぁというか,現代は,まさにいま論争せんとされている「複合的なアイデンティティ」で生きる時代なんですと。
ま,死に体のエリクソンのアイデンティティ概念を今さら痛めつけようなんて,朝青龍の土俵際よりひどいぞ,とは思いますが。エリクソン好きの方,ぜひ上野先生相手に論争されてみてください。

とはいえ,下記のごとき言葉が私のなかを去来するのであります。

「我思うゆえに我あり」

結局,その「我」に還元されるものでねぇの? それはアイデンティティといえるものであるのでしょうか,ないのでしょうか。



追加:
擱鍵盤後,思い出したのでありますが,アメリカの有名な法律相談サイトで,人気第一位だったのは15歳の少年(もち,無免許)だったつう話がありましたな。


ネクスト

アスペクト

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この本にありました。
面白ドキュメントでありましたが,アスペクトの本ってあんま本屋にないのね。
ちょっと考えさせられますなぁ。

といって,私が本当に出版社の社員なのか,証明できませんけどね。


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2 コメント

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Unknown (しゅう)
2006-01-18 22:23:35
>ロールシャッハテスト超入門 (仮題)

>ロテ職人 著



買います。



>引用は,「ロテ,2006」? 

>それとも「職人,2006」か。



無理やりでも引用します。



かなりウケましたですヾ(@^▽^@)ノ
Unknown (psy-pub)
2006-01-19 13:56:31
しゅうさん,アリガトンです。



このネタが書きたかっただけ…だったのかも。

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