PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

大学の不思議な用語あれこれ

2012年09月19日 23時58分00秒 | 大学という場所

もう、大学に身を置くようになって5年目になりますが。
未だに「不思議な言葉だな~」と思う、特殊な用語があります。
言葉に馴染みがないと、どこか異邦人感覚になってしまいます。
この不思議な世界に染まりきらないうちに、ここに記しておきましょう。


◆たんい

キログラムとかメートルとかの単位でなく、授業の「単位」のことです。
文科省が単位の基準を定めていて、足りないと卒業できなくなります。
この単位を取得するために、学生は授業に一生懸命出席する訳ですが。
精神科から来た人間には、トークンエコノミーのように思えてきてしまいます(笑)。

講義は、90分1コマの授業を最低8回、演習は15回やると、1単位と決まってるそうで。
前期と後期、それぞれ「月曜日1時限」というような帯番組をやると、15回になります。
学部の講義は、そんなわけでだいたい2単位ずつ取るようになっています。
卒業までに卒論以外に、学部生は最低90単位、大学院は30単位取らなきゃいけません。

僕らが学生のころは、授業が「休講」になると「やった~」と喜んでいたのですが。
今は必ず15回やることになっていて、必ず「補講」を組まねばいけないそうです。
なので、教員の都合で休講が出ると「予定が狂った」と学生には不評です。
ちなみに僕は、大学1年次の取得単位は6単位、2年次も4単位だけでした(爆!)。

(^_^;)


◆どっかい

「読会」と書いて「どっかい」と読みます。
単なる書類の読み合わせや、読書会のようなものと思ったら、大間違い。
現在の国会ではありませんが、昔は法案審議の際に「第一~第三読会」まであったそうで。
大学では、公募教員の新規採用にかかわる人事案件の、重要なステップです。

教員の公募が出ると、応募者から教育研究業績や履歴書が提出される訳ですが。
大学側の採用条件(担当科目、専門領域など)に合致する候補者を選考することになります。
名前をブラインドして、応募者全員の点数一覧が教授会に示されます。
上位得点者から提出された数点の論文を、選考委員が読んで講評を書き、点数をつけます。

これが「第一読会」で、色々な質問が教授たちから出ます。
きわめて公平に、より優秀な教員を採用するための、大事なステップなわけですが。
なかなか厳しい評価や疑問が出され、次回教授会の「第二読会」に進みます。
我ながら、よくぞこんなプロセスをクリアできて採用されたなと、今でも不思議です。

(?o?;)



◆かつあい

演歌じゃあるまいし「渇愛」ではなく「割愛」です。
漢字表記は合っていましたが、でも、意味がよくわかりません。
「文字数の関係で、残念ながら割愛させて頂きました」なんて言いますけど…。
「かつあい依頼が来ました」って会議で報告受けても、なんのことだかさっぱり…。

辞書では「惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること」
「愛着の気持ちを断ち切ること。恩愛や煩悩(ぼんのう)を捨て去ること」です。
実はこれ、大学間での人事採用案件にかかわる特殊用語です。
別の大学に採用が決まった教員について、元の大学に「悪いけど、了解してね」と…。

いわば、大学同士の間で「仁義を切る」方法として定着しているようですね。
「割愛拒否」はあり得ないそうで、穏便に人事異動ができるための知恵のようです。
でも、割愛依頼を受けた側は、新年度までに教員の補充をしなければならず、結構大変です。
僕などはそのうち、リストラという名の「割愛辞令」を、個人で頂くかも知れませんが…。

(^へ^;)


◆ぼ~と

最初は「暴徒」しか思いつきませんでした。
でも、会議で言われている意味がまったくつながりません。
「では、ぼ~とで決めますか?」などと言われて、いきなり暴れるわけにもいきません。
「ボード(board)」、つまり理事会とか委員会の意味かなとも思いましたが、違います。

「ボート(vote)」は、投票や賛否表示を意味します。
そういえば、「議席でキャスティング・ボートを握る」なんて言いますね。
要するに案件を議決する際に、挙手で採決ではなく無記名投票を行う。
特に役職者の選挙や、新規教員の採否を決定する際に、必ず「ぼ~と」が行われます。

仕切りを設けた投票所を設けて、いちいち、無記名投票をするんですね、大学では。
投票立会人を決めて、順番に教授会の部屋を出て、別室に投票しに行きます。
お互いにしこりを残さないための、とても民主的な手続きの知恵なのかとは思いますが。
決選投票までやたら時間がかかり、うんざり疲弊してくると、僕は暴徒と化したくなります。

(^o^;)


※画像は、名護市の「宮里そば」の「ぼ~とそば」。
 うそです、「ソーキそば」です。
 この店、昼は当たり前に相席で、大繁盛です。